幼馴染の三角関係が~~!!!
*投稿が遅くなり申し訳ありません。
他の小説の投稿に手いっぱいとなり、遅れてしまいました。
「ま、誠斗………?」
鋭い視線で怒りに満ちた顔で見つめてくる誠斗に恐怖を感じ、思わず後ずさる。怖いけど、目を背ける事も出来ず、誠斗が何で怒っているのか分からなかった。
もしかして、さっき女心を学びなさいって偉そうに言ったから?
それとも、しっかりと寝間着を着て寝てなかったから?
私、誠斗に気に障る事をしたのかしら?
考えれば考えるほど、誠斗が何で起こっているか分からず、なぜ自分がこんな目に遭ているのか分からない。
それに、いつもはからかってくる誠斗でも、こんなに怒りを向けてきた事はなかった。笑顔の絶えない表情をして、傍にいる誠斗。
でもそれが今は、まるっきり逆で、優しさなんて感じられない。ただ激しく怒っているとしか見れない。
そのあまりにも誠斗の怒っている表情が怖くて、顔色真っ青の椿の目から、波dが流れ落ちる。
足も震え、力も入らない。
そんな状態で後退りなんてしたら…
よろめくのは必然で…。
「あ…」
よろめき後ろへと倒れそうになる椿の背後には、先程キスマークを見ていた姿鏡があった。
このままいけば、大転倒で鏡が割れて、椿も怪我を…。
それを察した椿は目を瞑って、顔と頭を覆う。
「貴臣~~~~!!!」
ガシャー――ン!! …ドサッ!!
「う、うう……」
姿鏡が割れ、床に倒れる。
でも、思ったほどの痛みは感じない。その代わりに全身を包み込むような温かい感触がある。
おそるおそる目を開けると、目の前に誠斗の顔があった。
「!!」
「……………」
驚き、目を丸くする椿の顔を近距離で見つめる誠斗。
椿を抱きかかえたまま、ベッドに向かい、座らせる。
そして、椿に怪我がないのを全身を隈なく見て、怪我がないのを確認する。
安堵してそっと息を吐き出す誠斗を見下ろす椿の視線に気づき、誠斗が顔を上げると、椿は泣いていた。
椿の泣き顔を見て、再び俯き、今日の服に合う靴を椿の足に無言で履かせる。
その時、物音を聞きつけ、世良さんや使用人がやってきた。
「椿お嬢様!! 御無事ですか!!」
「……は! はい!! 大丈夫ですわ。」
「本当ですか!! …って、鏡が!!」
「………申し訳ありません、世良さん。それは俺が不注意で壊してしまいまして。すぐに片付けますので、世良さんたちはお嬢様の身支度をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「それはいいけど…! でも、誠斗君、あなたかなりの怪我じゃない!!」
「……大したことはありませんよ、これくらい。ただの切り傷ですし。舐めとけば治りますんで。」
「そんな治療法はありませんよ! 早く手当てを!!」
「いえ、もう血は止まってますし、本当に大丈夫ですから。それに、いつまでもお嬢様をこのような姿でいてもらうのはいけませんので。…嫁入り前ですし。」
そう言って、誠斗が椿を手で指し、世良さんが椿に目を向けると、ほぼ布一枚の状態でベッドに座っていた。いくらなんでも女の子に恥ずかしい恰好はいつまでもよくないと思ったのか、世良さんはしょうがないと呟き、他のメイドと一緒に椿を空き部屋へと連れて行き、着替えを手伝うのであった。
部屋を後にする際、誠斗と椿がすれ違う。
誠斗は背中を見せて、振り向かずに立ち去る椿を見送った。
そして、姿を消した椿が離れたのを気配で確認し、ドアを閉め、鏡の後片付けに入る。
「……………ははは。俺って、最低だな…。
嫉妬して、椿を怖がらせて、危うく怪我させるところだった…。」
倒れる直前に、鏡と椿との間に割り込み、椿を抱きしめる事で、椿が怪我するのを防いだ。
恐怖で涙を流した椿を見て、我にかえった。胸に深く突き刺さったのだ。
自分が泣かしてしまったと。
そして、怪我がないか確認する時に、それ以上に泣かれて、更に深く突き刺さる。
こんな事したかったわけじゃない。
ただ、踏み越えてはいけないと堪えていた境界をいともたやすく飛び越え、二人の仲が深まった事に敗北感だけでなく、やるせなさも、悔しさも、愛しさも、独占欲も…。色んな感情がごった返しになり、もう気持ちを止められなかった。
俺だって、椿にキスマークくらい付けれる。
俺だって、椿を愛する事が出来る。
俺だって、誰よりも椿が好きだ!
そう思ったら、嫉妬が激しくなり、妙な対抗心が生まれた。
でも、椿の泣き顔を見て、椿が自分を求めていない事を知った気がした。椿が咄嗟に助けを求めたのは、自分ではない。貴臣だった。
それが昨日からの胸の痛みに更なる痛みを刻む。身を裂かれそうに痛む胸。
もう自分に勝ち目も何も(元々告白する気もなかったが)ないと思い知らされた気分だ。
だから、椿と距離を取るために椿を世良さんに任せて、ここに残った。
椿がそうしてほしそうに感じたからだ。
ズキズキ…
なんだか胸の痛みが激しくなりながらも、割れて床に散っている鏡の破片を拾い集める。
そして割れた鏡に映る自分の顔を見て、苦笑する。
「………なんだ、お前は。………これは椿に見せないで正解だったな。」
そう呟き、破片を拾って、見つめる先には、顔が歪むほどに苦しそうに、そして辛そうに嘆いているみじめな男の顔が映っていた。
誠斗は、改めて自分が失恋した事を実感し、誰もいない部屋で静かに声を押し殺して、珍しく泣いた。
…………あかん。誠斗の事を思うとなんだか泣けてきた…。
貴臣と椿が結ばれて嬉しい半面、苦しくなる面もある…。気持ちに整理をつけようとして、何度も沸き起こる椿への愛。
届かない想いに終止符をとうとう打つのかな…?(泣)