…明日も!!
自警隊の派出所の地下牢には普段は使われないため、掃除はされておらず、蜘蛛の巣が天井に巣くっていたり、ほこりが舞っており、牢屋生活は厳しい環境かもしれない。ここ十数年は主に使用されるほどの凶悪犯はいなかったため、仕方ないと言えばそうなる。そんな地下牢のいくつものある牢屋の一番奥に今回の事件の被告人である高橋健介が横たわって寝ていた。寒い夜のため、地下牢もかなり冷える。それでも、彼は地下牢に入ってからも弱音を一つも漏らさずに、耐えていた。
そんな彼の牢屋に忍び寄る影が現れる。その気配に横たわっていた健介は忍び寄る足の振動を微かに寝ていたために気づき、そのまま寝たふりをする。
そして、牢屋に入ってきた人影が自分に近づいてきた瞬間に飛びかかった。
しかし、飛びかかった健介を横に避けて躱し、彼の手首を掴んで、背中に回し、関節を極めたまま、地面に倒す。そのまま人影に向かって、殺意丸出しで睨みつける健介を人影は宥める口調で話しかける。
「悪いな。俺はあんたが探している者ではない。高さそんなに殺気を立てないでほしいな。…って言っても、これじゃ信じられないか。」
健介を抑え付けながら、懐に手を伸ばし、手紙を取り出す。それを広げ、健介の顔の目の前に読めるように翳す。それを訝しく読んでいく健介だったが、最後の手紙の差出人の名前と捺印を見て、大人しくなった。どうやら、誤解が解けたようだと判断し、拘束を解く。
「理解してくれてよかった。俺は、司様の命令で極秘裏に今回の事件を調べていた。そして、その事実確認に来た。俺は誠斗。くれぐれも自警隊は呼ぶなよ。あいつらが来ると話が聞けなくなるからな。」
誠斗がマスクを取り、顔を見せる。その顔に見覚えのあった健介はそれで手紙の内容の信憑性を認め、座り込む。誠斗も向かい合う形で座り込む。
誠斗が座るのを待ってから、健介は自分から話を切り出した。
「で、調べた結果、やっぱり犯人は俺ってわかったんだろ?
俺は親友を殺した人でなしだってさ。なら、さっさと俺を処刑すればいい。こっちは自首しているんだから、身柄を神戸からきている警察に渡せばいいのによ。」
「いや、その必要はない。何だって、あんたは親友を殺していないからな。」
「……俺は妻の事で口論になって、殺したんだ。」
誠斗の衝撃な言葉に健介は平然を装って、それでも自分が殺したと言い張る。その言動に誠斗の仮説が確信へと変わり、健介に問い返す。
「お前はなぜ無実の罪を被ってまでして、罪人としてここに居続ける?
それは、お前が死ぬ前に絶対に成し遂げたい事があるからだろ?
親友の敵討ちという名の復讐を。
お前のさっきの行動ですべて納得したよ。だから、これから俺が調べて出した結論を話す。お前はただ聞いてくれるだけでいい。」
誠斗の前半の台詞を聞いて、一瞬肩を震わせる健介は全てを知られているんだと悟った。俺達の関係、そして、あいつの事も…。
心の中で葛藤する健介の表情を見て、何を考えているか読み取った誠斗は断腸の思いで、自分の推理を話す。このままでは彼が一線を超えてしまう。それを阻止するべく、健介を見据え、意を決する。
「高坂公昭さんは…………
自分で命を絶ったんですね…?」
その言葉に健介は握っていた拳を更に強く握りしめた。
まさかの真実。
なんてかは次回に…。
お楽しみを先送りでごめんなさい!!