今日、落ち込んでいると、妹が面白いっていう話をしてくれた。
しかし、それはある意味グロい話だった。
続きを聞きたい方はあとがきにて。
ただし、かなり夢を壊すものなので、志してください。 グロいのは嫌だという方はあとがきを見ないでください。
では、どうぞ!
「高坂公昭さんは…………
自分で命を絶ったんですね…?」
その言葉に健介は握っていた拳を更に強く握りしめた。
あの時の光景が頭の中に蘇る。
大量の血を流して目の前で死にゆく親友の姿。
黙り込んだ健介に優しく落ち着かせる口調で誠斗は話す。
「あんた達高橋夫妻と高坂公昭さん…。コウさんと呼ばせていただきます。コウさんは非常に仲が良く、お二人が結ばれてからもその関係は続いていた。あんたとコウさんは立派な警察官になろうと誓い合って、努力して来た。
そんな平和な生活がある事がきっかけで揺らいだ。
それが、あんたの奥さん、梅子さんの病気の悪化だった。」
「その病気は日本の医術では手に負えない物だった。しかし、こちらに滞在している異国の医者が梅子さんの病気を治せることができると知り、そのための手術費用を必死に稼ぎ始めた。警備員だけでなく、甘味処の店員として昼夜問わずに働いた。」
「梅子とコウには内緒だったんだけどな…。」
健介は懐かしいのか、裏付けの意味で、誠斗の証言をまとめた話に肯定する。
「しかし、あんたがなぜ働いているのか、そしてその理由をコウさんは知ってしまった…。」
健介は肯定の意味での頷きをした。そして、自分が知るべきことを全てを話す。もう聞くのも嫌になったからだ。自分で口に出した方が今まで溜めていたものが少しは掬うんじゃないかと。
「甘味処で働いているとき、たまたま店に来たコウと鉢合わせした。なぜそんな事をしているのかと憤りを露わに説明を要求してきたコウに俺は全てを話した。梅子の病気を治すためにお金が必要だから。だけど、梅子はこの事を知らないから黙っていてくれと。コウは全てを聞いた時、身体が縮んだみたいに脱力し、去っていった。
俺はその後を追う余裕はなく、それ以来、俺達は警備の仕事をしていても、会話はしなかった。そうして手術費用が着々と進んでいたある日に、梅子の担当医に呼ばれて、このままだと余命は後1か月しかないと宣告された。1か月で残りを稼ぐには全然足りなかった。
俺は絶望し、飲み屋で酔いに任せて飲んでいた時だ。あいつらに声を掛けられた。いい話があるから、それを受けてくれたら、多額の金を支払うと儲け話を持ち掛けてきた。最初は藁にも縋る気分で、その話に耳を傾けた…。だが、話を聞くうちにそれが危ない橋を渡る物で俺は正直迷った。今まで正義を貫くために警察官になる事を目標に努力してきた。それを金のために罪を犯してもいいのかってな。
もちろん、その金があれば、梅子の病気を治す事ができると手を差し伸べそうになった。迷った末、俺は断る事にした。あともう一歩であいつらの話に乗りそうになった時、梅子とコウが俺の手に自分達の手を置いて、踏み留めさせてくれた気がした。そうしたら、梅子とコウとの約束を思い出した。俺が犯罪に手を染めれば、きっと泣くだろう…。そう思うと、俺はもう決心して、きっぱりと断った。どうせなら、必死に貯めた金で梅子を幸せにしたいって。また、コウとも笑って話したいって思ったんだ。」
ずっと自分の思いを話していたため、喉が渇く。誠斗は持ってきていた水筒を健介に渡す。それを受け取り、健介は水を口に入れ、喉を潤す。
水を飲み終え、水筒を誠斗に返すと、再び話し出す。
「それから俺は色んな仕事をした。屋根修理、新聞配達、荷物持ち等の俺ができる事は何でもやって仕事をした。その甲斐あって、あと一歩の所まで稼ぐことができた。そんな時、梅子の誕生日がそろそろ近いという事を思い出し、久しぶりに3人で祝おうと思って、警備の仕事の休憩中にコウに話しかけた。近くにいたのに随分と話していなかったせいか、コウの顔を見るのも久しぶりだった気がした。少し緊張したが、コウに『梅子の誕生日を3人で祝わないか?』って。コウは一瞬、驚いた顔をしたけど、笑顔で『大丈夫だ』と言ってくれたんだ。だから梅子の誕生日に入っていた俺達の勤務日を変えてもらって、非番にしてもらった。
そして、あの日だ。
家で梅子の祝いの準備をしていた俺は、久々に梅子の喜ぶ顔を見ながら、コウの来る時を待っていたら、甘味処の店主がやってきて、『コウが非番の交代してくれた仲間に用事が入って、俺が入る事になったから行けない。ごめん。』と伝言を頼まれていた。あと、『お詫びに酒を奢るから、行きつけの酒屋で待っていてくれ』と。
梅子は少々がっかりしていたが、仕方がないと先に祝いを始める事にした。そして、特別な時だからと、少々お酒を口にし、楽しんだ梅子は寝室へと戻っていった。
梅子が深い眠りに入ったのを確認して、俺は着替えて、家を出た。
そして俺が向かったのは、行きつけの酒屋ではなく、船の停まり場の警備小屋だった。やっぱりコウが来ないで、頑張っているのに、俺が休んでいるなんて嫌だったから、警備服に着替えて向かったんだ。
着いた後、警備小屋に入って、コウに話しかけると、いつもの無邪気に挨拶を返すコウがまったく俺の声を聞かずに真剣な表情で考え込んでいた。今思えば、追い込まれているようにも見えた。
心配して、もう一度、はっきりとあいさつしたんだ。そしたらコウの奴、心底驚いた表情で『何でここに!?』って聞き返したんで、一緒に警備するために来たっていうと『ここに来るな! 今すぐ酒屋に行ってくれ! 後生の頼みだ。』と声を荒げて俺を追い返そうとした。ひどく慌てていたコウが不自然で、『どうした?』と尋ねたんだが…。」
ここで、話が詰まり、涙を流し始めた健介は顔を覆い、嗚咽を漏らした。
誠斗は健介の話を継いだ。
「コウさんは時間を気にして、焦っていた。そして、目の前で彼が持ってきていた包丁を自分の腹部に深く刺した。それを目撃したあんたは何とか助けようとして、慌てて包丁を抜いた。しかしその時、何者かがその場に現れ、口封じを要求する。
そうして、その者が去ってから、あんたは全てを察したんだ。彼がどこで嗅ぎつけたのか、あんたが持ちかけられた話を彼が代わりに呑み、それが寸前であんたにばれて自殺したと、あんたは思った。」
「ああ…、ううぅぅ~、そうだ。 コウは金のために怪しい儲け話に乗ったのが最初は信じられなかった。俺なんかより正義を貫くことを強く考えていたのに、その精神を曲げてまで金を手に入れようとしていた。だがな…!コウをよく知る俺には分かるっ!! コウはその金を梅子の手術代として梅子に渡そうとしていたんだ。コウも梅子を好いていたからな。梅子をどうしても助けたかったんだろう。
そのためにコウは闇に手を染めた。俺はコウにそうさせた責任がある!
だから、コウのために儲け話を持ち掛け、船の停まり場で何かをしていたあいつらの正体を突き止めて、もしここに口封じに来たら、コウの仇を取るつもりだったんだよ!」
号泣する健介は自責の念に駆られていた。これは健介が悪くはない。しかし、健介は自分があんな話に少しでも興味を見せたために、コウにまで被害が及んだと思い、自分が悪いと思っていた。だからコウが自殺したのではなく、他殺にして、自分がやったように見せかけた。そして、コウの汚名を消そうとしたのだった。
健介の告白を全て聞いた誠斗は健介の背中を優しく摩る。そして、落ち着いた口調で健介を宥める。健介の勘違いを正すため。
「あんたが想い悩む事はない。確かに、コウさんはそいつらの儲け話を聞いて、乗った。しかし、それは梅子さんの手術代を手に入れる為じゃなかったんだ。」
「?? それはどういう事だ?」
健介はしゃっくりを上げつつ、誠斗に理由を問いただす。
誠斗は微笑み、口を開く。
「あんたと梅子さんのために、死んだんだ。約束も守ってね。」
ピーターパンに成長した仲間がいないのは、ピーターパンが成長した子供たちを殺しているから。
と聞かされた。
子供たちの夢を壊すな~。
もしかしたら、明日は投稿難しいかも…。