※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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女性のグループには必ずいる存在だよね。


女王蜂

 

 

 琴子に挨拶を返してもらった椿は嬉しさで胸がいっぱいになって、お嬢様仕様の笑顔にも自然体の笑顔が含まれていく。

 琴子も椿に笑顔で返す。

 

 

 「よくおいでになられましたわ!私の事は琴子と呼んでいただければ結構ですわよ。さぁ、あちらで一緒にお話ししましょう!」

 

 

 御令嬢の集まる輪を手の平で示し、会話に誘う琴子。

 

 

 「はい、喜んで。私の事も椿と呼んでいただければ幸いです。」

 

 

 椿も一番に話しかけてくれた琴子の親切心が気に入って、感謝の意を示すため、もう一度礼儀をする。

 

 その面差しにぴくっと肩を震わせる琴子は笑顔を張りつけたように一瞬固まったが、すぐに人が好意的に感じる可愛らしい笑顔で御令嬢たちの輪に案内する。

 

 

 

 

 

 そして一方、椿と琴子の挨拶の場を端から見ていた御曹司達の群れは顔を赤くして、見守っていた。というよりかは見惚れていた。特に椿に対して。

 

 椿の容姿に加え、その容姿を引き立てる着物と袴等の和装や小物品、そして先程見せた完璧なまでに美しい礼儀作法に御令嬢たちの元へと向かう洗練された足運びに御曹司達は心を奪われていた。

 

 御曹司の中には見惚れて身体が硬直する者や鼻血を出して退場する者がちやほやと姿を見せる。

 

 しかし次の瞬間、御曹司達は一斉に目を逸らし、再び男同士で家々の経営状況や自慢話を語らいだす。

 

 

 その理由は琴子が椿に気づかれないように一瞬の視線を御曹司に投げる事で御曹司達を黙らせたからだった。凍てつくような氷柱の如き鋭い視線で。

 

 

 椿は琴子は優しくて親切なお嬢様だとすっかりと思っている。

 

 しかし琴子の方は椿を忌まわしく思っていた。

 

 

 椿に話しかけられた時、その容姿と洗練された挨拶で自分の地位の危険を直感で感じた。

 琴子は今まで望みどおりにならなかった事は生まれて一度もなかった。欲しい物も全て手に入ったし、両親には甘やかされて育った。使用人も琴子の言う通り動いてくれた。豪華なもので着飾って、流行もふんだんに取り入れてその魅力で舞踏会やお茶会でも男達の心を全て鷲掴みにしてきた。

 そんな琴子は自分が一番美しく、愛される存在であり、自分に敵うものなどないとずっと思っていた。だから自尊心の塊の琴子には登場と瞬間に御曹司達を魅了した自分とは正反対の椿の存在が許せなかった。

 

 そこで、琴子はある提案を思いついた。

 

 椿を取り巻きの御令嬢たちと同じ扱いにすれば、更に自分のステータスが上がると踏んだのだ。見た限り騙されそうな雰囲気だからいいように利用すればいいと琴子は黒い事を考える。

 

 

 (そうよ!! 私こそが一番美しい男を引き付けられない事はない令嬢なのよ!!)

 

 

 心の中で椿にどんな仕打ちをしてあげようか策略する琴子。

 

 その策略に一切気づかなくて女友達ができたと思っている椿は上機嫌を隠そうともせずに御令嬢たちとの会話を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな琴子と椿のやり取りや御曹司達の反応を庭の入り口にずっと立って控えて状況を見ていた誠斗はこれは失敗だったと口に出さずに椿の身を案じた。

 

 人の反応や動きの観察眼に優れた誠斗には御令嬢と御曹司のこれまでのやり取りだけで手に取るように心の中で何を考えているのか理解した。

 

 御曹司達は行動でも分かるように椿に見惚れて、恐らくは惚れて求婚しようとした者がいる事も理解した。下心丸出しで椿に近づこうとするなら徹底的に排除すればいい。誠斗は御曹司達に対して身分の違いを通り越して遠慮のない考えを持つ。

 

 しかし、御曹司の件についてはまだ心配の領域には遥かに達しない。

 

 

 (あいつらは別に大した奴らではないからな。ほっておいても寄ってきてから蹴り返せばいい。問題は………)

 

 

 そう心の中で御曹司を格下扱いしながら(普通なら使用人がそんな思考を持つのもおかしいんだけど)、誠斗の視線は琴子に向けられる。

 

 誠斗は彼女の豪華な髪飾りや首飾り、金箔をこれでもかと使った特注の着物と椿に接した際の対応と御令嬢たちのあの怯えている様子から琴子の性格が金持ちに特にみられる典型的な傲慢で、自己中心な女だと読み取った。

 あの性格の女は誠斗が最も嫌う性格だ。

 

 そんな最悪な性格の琴子をあっさり信じた椿に頭を悩まし、どうするかと考える。

 

 このままでは琴子にいいように扱われて、最悪の場合は椿はそれに気づかずに傷つくことになる。

 二人を引き離す策を練りこみながら、女友達が椿にできればいいと思っていた誠斗は早くも後悔していた。

 

                               ・・・

 (やっぱり、華族って身分は息苦しいぜ…。多分司様や椿、それとあの人くらいだろうな。権力を徹底的に行使して威張らないのは…。

  はぁ~…。それにしても、椿は純粋すぎるから。それが椿の良さでもあるけど、ああいった奴らには最悪の長所だぜ。)

 

 

 使用人らしく控え続けている誠斗は椿の心配で一杯になると共に、この目にするのも鬱陶しい位のお茶会が早く終わればいいと蔑んだ視線で見通した。

 

 

 

 

 

 そんなお茶会が開かれている最中であるこの藤井邸に招かれざる客が忍び込んでいる事にまだ誰も気づいていなかった。

 

 




 友達作ろう作戦、早くも危機!?
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