※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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琴子の生活態度が見えるな~。


敵に塩を送る

 

 

 

 

 

 「まぁ!では、椿さんは一度も外に出た事はなかったのですか?」

 

 

 「はい、そうなのです。ですので、今回のお茶会の招待状が届いたときは感嘆の極みでございました。お招きいただいた琴子さんには感謝したりないくらいですわ!」

 

 

 琴子と楽しそうに会話する椿は初めてできた年頃の友達(本人はそう思っている)ができて上機嫌だ。会話しながらも輝く笑顔を見せる椿を遠くから眺める御曹司が後を絶たず、琴子の機嫌を更に損ねていく。

 

 そうとは知らない椿は自分の話を聞いてくれて、華族の御令嬢の間で流行っている帽子のデザイン等も教えてくれる琴子が輝いて見え、尊敬の念まで抱いていた。

 

 琴子はそろそろ信頼を得られたかと頃合いを見張って、椿を取り巻きにする…、場合によればどん底に突き落とす計画を開始する。

 

 

 「あら?大変ですわ。もう紅茶がありませんわ~。…椿さん、そちらに置いてあるポットの紅茶を私のカップに注いでもらえます?」

 

 

 まずは、自分のカップに紅茶を淹れる給仕をさせる。普通は使用人を呼んでさせるものだが、琴子は華族出身の身分の高い人がそんな給仕をする事はないと自分の経験からそう思っているため、これをさせて恥をかかせる計画なのだ。もちろん、琴子の取り巻きの御令嬢たちもした事はない。

 彼女達がしたら、紅茶がたっぷり入ったポットだ。重たくて持ち上げられず、無理をすればポットを割る…という結果を招くことになっていただろう。

 

 しかし、椿はそんな失態はしなかった。

 

 

 「畏まりました。琴子さん、少々お待ちくださいね。」

 

 

 満面の笑みを浮かべ、席を立つとポットを持って、琴子の所まで行き、ポットの蓋部分を指をそろえた手で押さえながら、琴子のカップに紅茶を注ぐ。その紅茶を注ぐ姿はあたふたせず、むしろ堂々として更に可憐な立ち住まいだった。

 椿は日頃から司や自分のために紅茶を注いでいるため、いつもの自然な動きだったのだ。しかし余談だが、紅茶を注ぐ事はできるが、ブレンドしたり、共に食す貸しに会った紅茶を選んで準備する事は出来ない事だけは伝えておく。

 

 

 その結果、御曹司達の椿への好感度が一気に上がり、琴子の不機嫌さが増し、敵に塩を送っただけだった。

 

 

 椿に激しい対抗心と嫉妬に燃える琴子は次なる計画を実行していく…が、悉く失敗に終わる。

 

 控えている使用人に視線で合図し、風を吹かせて整えている髪を乱れさせようとするが、椿はその風を楽しむかのように手で耳に髪を上品に掛け、和やかな雰囲気を醸し出す。

 教養は琴子も華族であるため他の御令嬢たちの平均と比べて学んでいる。それで頭の良さを演出しようと問題を言うが、椿にあっさりと答えられるだけでなく、その問題の詳細な説明や問題点等も答えてしまい、いつの間にか才色兼備な椿だという事を御曹司達に知らせてしまっただけでなく、取り巻きの御令嬢達にも一目置かれる状態となってしまった。

 

 

 琴子は悔しくて思わず椿を睨みつける。計画を実行しても、椿の持前の天然さで自分が陥れられようとしている事も気づかずに乗り切る。

 

 今まで自分の思い通りにならなかった事はない琴子はこうも自分に逆らう(逆らっているわけではないけどね)椿にもう人前では出れないほどの痛い目に遭わせる事だけしか考えられなくなってきた。

 

 

 そこで思いついたのが、椿の使用人を使って椿に恥を掻かせる事だった。椿には通用しなくても使用人ならざんざん使えない事を洗いざらい仰げばそんな使えない使用人を雇っている椿の責任にも繋がり、椿の家が崩壊すればいいと考えたからだ。

 

 その邪な考えを浮かべる琴子の顔には目を細ませ、口角を上げて含み笑いしていた。

 

 

 「……そういえば、椿さんはどんな使用人を従わせていらっしゃるの?見てみたいわ。」

 

 

 さっきまでの邪な考えと表情をぱっさりと消して乙女のおねだりする表情へと変えて、椿に話しかける。

 

 

 「そうですか?琴子さんがそうおっしゃるなら…ここに呼んでも構いませんが…、大丈夫でしょうか?」

 

 

 琴子の企みなど一切気づいていない椿は躊躇った表情でチラチラと庭の入り口付近を見る。

 

 椿のその動作で椿が何を考えているのか理解した琴子。

 

 椿は本来、このお茶会に給仕するのはこの屋敷の持ち主である藤井正造の使用人たち、言うなら琴子の使用人たちがする事になっている。だから招かれた御令嬢や御曹司達は自分達の使用人を入り口に待機させているのだ。

 

 庭に入るという事は、つまりお茶会に参加すること。それは身分を超えた行い。だから、自分の使用人を安易に呼び出すのは失礼だと椿は思ったのだ。

 

 

 それを理解した琴子は椿の使用人をここに呼び出すため、安心させる笑みで話す。

 

 

 「大丈夫ですわ。何なら、私の使用人だけでなく、皆さまの使用人が給仕しても問題ないですわ。

  日頃から主にどうせ世話をしているのか見て、良ければ私の使用人やメイドに学ばせたいわ!」

 

 

 そういって、椿や御令嬢たちの使用人を庭に招き入れる事を承諾する。その言葉に椿は安堵し、嬉しそうな笑顔になる。

 

 その笑顔に癒される御曹司達は御令嬢たちが次々と呼び入れる使用人たちには目をくれなかった。

                ・・・

 その代わりに椿の使用人がどんなメイドなのか注目していた。

 

 

 しかし御曹司だけでなく御令嬢や琴子までもが驚きを隠せずに椿の元へとやってきた使用人を食い入るように見つめる。

 

 

 

 「お呼びで御座いますか、椿お嬢様?」

 

 

 丁寧に腰を曲げて椿の命令を待つ男…、誠斗にこの場にいる全員が驚嘆する。

 

 

 





そんなに驚く事ではないと思うけどね。

でも、誠斗はこれからどうなるかは面白くなってきた!
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