※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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久しぶりにアイツがでますわ。

ここで出しておかないと、次の展開に続かないので~。


悪手の芽

 

 

 

 

 椿が司との衝突をしたその日の深夜…。

 

 

 

 港町の貿易船の停まり場では一隻の大型の貿易船がやってきて、港に着くなり、大量の木箱の荷物を船員たちが下ろしていた。掛け声も掛けず、ただ黙々と木箱を運び出す船員たちの様子を筋肉質の巨体の男を付き従え、あの男が窺い見ていた。

 

 

 「状況報告をしろ…。」

 

 

 あの男…、黒ずくめの覆面の男が後ろに控える巨体の男に命令する。

 

 

 「はっ! …現在、”例の物”は5割ほど、倉庫に運び入れが終了しております。そして、手配も準備完了できております。」

 

 

 巨体の割に声色が高い筋肉質な男がそう報告すると、覆面の男は不気味な笑いを、顔を覆う布から溢す。

 

 

 「くっくっく…。そうか…。いよいよという訳だな…。」

 

 

 なおも、笑いは収まらず、船から運び出される木箱の列をギラギラとした眼光で眺める覆面の男。その主に巨体の男は腰を曲げ、拝謁しながら、ふと気になっていた事を尋ねる。

 

 

 「わが主よ…。少しお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」

 

 

 「…なんだ? 俺様に聞きたい事とは?ふざけた事を申すようなら……」

 

 

 そう言いながら、腰に挿している刀の柄に手を置き、優しく撫でる。その手つきとは対照的に瞳は貫かんばかりの憤りの視線を投げつける。

 巨体の男はそんな視線にも臆さず、頭を垂らしたまま、尋ねる。

 

 

 「いえ、滅相もございません。ただ、少し腑に落ちない点がございましたので、解消すべく、お聞きしたいと思い、このように拝謁をしているのです。」

 

 

 「……腑に落ちないだと…?」

 

 

 「はい…、前回もこの港町で取引で手に入れた物を運び入れましたが、危うく我らに捜査の手が回りそうになるところでした…。それなのに、また敢えてこの場所で同じ繰り返しをする主の意図を理解できずにいるのです。」

 

 

 「ああ…、そういう事か…。」

 

 

 「本来ならば、主にご説明されなくても、理解すべき事なのですが、何分、頭の固い私めですので…。愚かな私をお許し下さい。」

 

 

 再び、頭を深く下げて、慈悲を乞う巨体の男を見下ろす覆面の男は思い切り溜息を吐きだすと、腕を軽く上げる。

 

 すると、停まり場の警備員の小屋から二人の警備員が出てきて、近寄ってきた。

 

 巨体の男はとっさに覆面の男の前に立ち、臨戦態勢を取り、身構える。

 

 

 「…よい。控えろ。」

 

 

 「…はっ!」

 

 

 巨体の男を制し、元の位置に戻るように指示する。

 

 巨体の男は一歩で元のいた場所に戻り、両手を後ろで組む。そして近づいてくる警備員達に警戒心を持った視線で迎える。

 

 

 「「お呼びでしょうか!」」

 

 

 二人の警備員が敬礼をする。

 

 

 「お前達、袖を捲って、腕を見せろ…!」

 

 

 「「は、はいっ!!」」

 

 

 覆面の男に命令され、制服の袖を捲って、二人とも、右腕を見せる。

 

 そこには、鮮やかな羽模様をした鳥と日本刀が描かれた入れ墨があった。それを見て、巨体の男は驚く。

 

 

 「もう良い。任務に戻れ…。」

 

 

 「「はいっ!!」」

 

 

 戸惑いはあったものの、すぐに警備小屋に戻る警備員達を見送った後、巨体の男は覆面の男に依然驚いた顔を向ける。

 

 

 「くくく…。お前も驚いたな…。

  そうだ、あいつらは俺達の下僕だ…!」

 

 

 彼らの腕にあった入れ墨は運び入れている木箱にもそれを運ぶ船員たちにも、そして巨体の男の二の腕にもあった。それは、自分たち組織の一員の証のようなもの。

 それをしているという事は…

 

 巨体の男はそれでようやく話が見えてきた。それでも主が話してくれようとしているので、口を挟まず、最後まで聞く。己からお願いしておいて、全て分かりましたと言って中断させれば、己の命が尽きる事をよく理解しているためだ。

 巨体の表情からその事を知りえた覆面の男も話を挟まない巨体の男に感心しながらも、半分は気落ちしていた。この男の事は信頼はしている…が、最近は何かと忙しく、人を斬れていないため、斬りたくてしょうがなかったのだ。

 

 

 「この俺の話を切るとは、いい度胸をしているな……!どうやら頭と胴体を離してほしいらしい…。」

 

 

 …と言って、斬ってみたかったと心の淵で残念がる覆面の男。

 

 

 しかし、巨体の男の対応はよかったので、我慢し、話を続ける。

 

 

 「この前は、買収した事で不快極まりなかったからな…!この俺様を欺こうとするとはな…!! 

  だから、次は買収するのではなく、潜入させたのさ!!

  組織の人間を警備員として働かせとけば、無駄な金を使う必要もないしな。

  我ながら、いい考えだと思わないか…!」

 

 

 眼光が開き、不敵な笑みを漏らす覆面の男に巨体の男は頭を下げ、主を讃える。

 

 

 「さすが、主です。お見事としか言い表せません。」

 

 

 「そうだろ…。だが、使い捨ての駒に過ぎないからな…。…これが終われば、後の処分は任せる。」

 

 

 「仰せのままに…。」

 

 

 主の命を受けた巨体の男が返事をした時、船員の一人が荷物の運び出しの完了を告げに来た。

 

 その報告を聞き、覆面の男の視線から命令を受けた巨体の男は積み荷を降ろし終えた船員たちに命令を告げる。

 

 

 「全員、直ちに船に乗り、出港せよ。」

 

 

 命令を受け、急いで船に乗り込み、港を後にしていく。

 

 それを確認した覆面の男は停まり場を去る。その後ろを巨体の男が付き従う。

 

 

 「乗組員たちも新しいのが入ったからもういらん。あれも処分しておけ…。」

 

 

 「仰せのままに…。」

 

 

 「やっとだ…!待ちに待った俺様の支配がはじまるのだ…!!

  この港町も俺様のものだ…!!

  くくくははははははは!!!

  ようやく俺の欲する物すべてが手に入る…!!

  愉快だな!!くくくはははははははは!!!」

 

 

 狂った笑いをしながら、覆面の男は巨体の男を連れて、停まり場を後にする。

 

 

 

 この覆面男が仕組む悪手がついに芽を出したのだった…。




部下まで殺す危ない奴だったよ~~!!

本当にむかつくよ!!
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