※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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男性なら、このシチュエーション、憧れるのでは?

でも、椿だからな~…。


夢描いていた幸せ…ではない!!?

 

 

 

 

 

 誠斗が知恵熱を出して、寝込んでしまった翌日。

 

 

 誠斗はベッドでまだ熱にうなされ、横になっていた。

 しかも昨日より、熱が上がっていて、顔色も悪く、息遣いも荒い。

 

 明らかに昨晩より悪化しているのだ。もう相当苦しそうな表情で横になっている誠斗の傍には、負のオーラを纏った椿が俯いて、椅子に座っていた。そのオーラが部屋中に重くのしかかる。

 

 なぜこのような事態になったかというと…。

 

 誠斗が眠りについたあの後、誠斗の看病に乗り出した椿が手拭いを交換したり、誠斗の額だけでなく首回りや頬の汗を拭ったりと動いたため、眠りについていた誠斗も意識を起こし、寝ているフリで椿の看病をしみじみと噛み締めて、堪能していた。まさに、憧れていた展開に内心で、嬉しさのあまり踊りだす誠斗。

 しかし、それを感じられたのはここまでで、この先は、嬉しさを噛み締められるほどのゆとりなんかはなくなったのだった。

 

 

 「誠斗の着替えって…、どこにあるのかしら?」

 

 

 誠斗が起きた時に着替えられるようにと部屋着を探す椿。

 

 誠斗はまだ使用人専用の仕事着を着替えずにベッドに倒れ込んで眠っていたので、もっと楽な服…、部屋着に着替えさせようとしていた椿はその暇が取れないまま、眠ってしまった誠斗を起こす事は憚れた。そこで、起きたらすぐに着替えてもらうように探して、傍に置いておこうと考えたのだ。

 

 誠斗の部屋は机とベッドと本棚しかないが、大量の書籍が床に積み上げられており、一種の迷路状態になっていた。その中から、目当ての部屋着をたった訪問2回の椿が見つめるのは至難の業で…。案の定、積み上げられた書籍をばら撒き、ベッドで横になっていた誠斗に本が落ちていき、埋もれさせる結果となる。

 

 その後も、慣れない看病に作ってもらったおかゆを温め直すだけなのに、なぜか得体の知れないどす黒くて、グツグツと煮えたぎったもはや毒が入っているのではと思えないおかゆを嬉しそうに誠斗に差し出し、”あ~ん”をする椿。誠斗も”あ~ん”をしてくれるのは、ものすごく嬉しいし、今だけの特権という事で舞い上がっていた……と普通なら思うが、その提供されるもうおかゆではないグロすぎるおかゆを食べさせられる目の前の恐怖に、”あ~ん”の本来の効果は半減どころか、あの世へと誘う案内人を代役するレベルまで逸した。

 

 

 (なぜ、こうなったんだ…?

 

  俺は、こんな事を…望んでは…、いや、確かに”あ~ん”はしてもらいたいな~とは思ったけどな!

  だけど!温め直すだけでこのレベルはないだろ!! これを食べたら、間違いなく俺は死ぬっ!!

 

  …ああああ~~~~!! ほら! おかゆに人の顔がたくさんこっちを見ているじゃねぇ~か!!しかも、皆、嘆いていたり、怨めしや~的な、祟り顔しているぞ!!

 

  ……それに、グツグツ言っているけど、俺には、『呪う~。呪うぞ~!!』って聞こえてくるぞ!! 幻聴であってほしい!!)

 

 

 

 「??誠斗、どうしたの? ほら、昨日から何も食べてないんだから、食べないと!! そうしないと、薬、飲めないじゃない!?

  さぁ、食べて!! 大丈夫、私も温めた後、味見したから! うまくできたと思うわ!温めただけですもの!! はい、お口を開けて。」

 

 

 (これを味見して平気だとっ!! ウソだろっ!! お嬢!! あんた、味覚大丈夫か!?

  それに、おかゆを温めただけでどうしてこんなグロイ液体ができるんだ!!)

 

 

 口にする事は憚れたので、誠斗は心の中で必死に訴えながら、おかゆを拒み続ける。そして、もう明朝を迎えていたため、司がお見舞いに来てくれたのだった。

 

 誠斗はこれで助かった、食べなくて済んだと思っていたが、司がなぜか誠斗の部屋で椿が看病している現場を目撃する。そして椿は今、敬遠している司だが、誠斗に何とか食事してもらおうと久しぶりに司と話す。それを司は若干涙を流し、嬉しそうな笑顔で椿の話を聞いていたが、おかゆを食べてくれないという椿の訴えに、突如、ベッドに座る誠斗のそばに寄り、笑顔で体調はどうかと尋ねてきた。しかし、その笑顔は作り笑いで、寧ろ嫉妬が含まれていた。

 

 

 「誠斗、どうして椿のおかゆを食べてあげないのか、理由を言ってごらん。」

 

 

 「………あれは、普通のおかゆの次元を遥かに超えてしまっています。あれを食べれば、俺の命は尽きますよ、司様。」

 

 

 「うん、なるほど…。つまり、誠斗は私の愛娘の厚意を、せっかく誠斗のために温めてくれたおかゆを食べてあげないという訳なんだね?

  ……私は、椿からおかゆをもらえないというのに。」

 

 

 「……いや、欲しいならあげますよ、全部。どうぞ。俺は腹いっぱいなんで。」

 

 

 「もちろん、もらいたいと思う…。だが、今ここで、私がおかゆをもらえば、やっと椿と会話できたというのに、また反感を買って、愛娘との会話ができなくなるのは私としても耐えられないのだよ…!

 

  ここは、私の代わりとして、仕事に励め! それが今日の誠斗の仕事だ。食べ終わったら、感想を私に詳しく!教えように!分かったね?

 

 

 

 

  ……ああ、言い忘れていた。今日も休んでくれていて結構だ。椿にも今日の稽古は断っておくから、誠斗の看病、頑張りなさい。」

 

 

 最後の言葉で前半は、誠斗に『今日は休んでもいいから、とにかくおかゆを食べろ。』という命令を下し、後半は、椿に対し、『おかゆを食べさせなさい』という意図を残すのだった。

 

 

 (……司さん。それはあんまりだ!)

 

 

 部屋を後にして去っていった司に、愚痴る誠斗をよそに、椿はおかゆの”あ~ん”を再度始める。

 

 それを誠斗の口元に持ってきた椿の目をキラキラとした期待の眼差しに誠斗はついに折れる。

 

 

 (…ああ~~~~!! もう分かった! 食べてやるっ! 俺は負けねぇ~!! 男は根性!!)

 

 

 覚悟を決め、勇気を振り絞って、おかゆを口にした誠斗…。

 

 その瞬間、ベッドから激しく転げ落ち、床を勢いよく転がって苦しんだと思えば、きゅうに動かなくなって、身体が痙攣し始める。そして、呼吸困難に陥り、意識を出放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、誠斗は約半日以上、意識を取り戻す事なく苦しみもがき、喉が詰まる錯覚を感じながら、天国の境目を行き来する事になった……という訳だ。

 

 

 その原因はもちろん……

 

 

 

 

 

                              おかゆだった…。




おっちょこちょい、天然椿発揮!!

きっと誠斗は花咲くような展開を待っていたと思うけど、椿だから!

ドンマイ!!
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