※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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ついに、あの!! 椿の世話役のメイドさんが!!本格的に参戦です!!


心強いお姉さん

 

 

 

 

 

 

 誠斗が司から休みをもらい、椿の世話役メイドである彼女が代わりを務め、本日の奉仕を終えた。彼女は軽く湯浴びをし、別館にある使用人たちの自室がある中の一つ…、自分の自室で今日の疲れを大好きな小説を読みながら、夜食を食べて寛いでいた。

 

 仕事の時のメイド服を脱いだ彼女…、世良明美(せらあけみ)はいつもアップしている髪を下ろし、淡い藍色で花を描いた白い浴衣を着て、夏の夜を涼しく過ごしているその姿はメイドとは思えないほど、世良さんの美人さを物語っていた。

 

 そんな彼女が食べているのは、今日、誠斗が帰ってきた時に椿に渡したドーナツだった。誠斗からもらったものの、一緒に食べるって約束したから食べないと涙ぐみながら告げる椿に、ドーナツを保管した方がいいかと打診すると、椿が首を振って、食べてもいいと世良さんにドーナツをあげたのだ。彼女としても、食べてみたいとも思っていたが、これは誠斗が椿のために買ってきたもの。それを知っている彼女はその気持ちを台無しにするのではないかと考え、口を開きかけた。しかし、椿の表情を見て、気が変わり、有難く頂戴する事にしたのだった。

 

 

 そして、そのドーナツを今、夜食として口にしていた。

 

 揚げたてではないが、ふっくらと甘くて、弾力がある触感に頬が緩む。その美味しさについつい寝る前だというのに、全部食べてしまい、満腹感を感じ、少し飲み物が欲しくなってきたと小説の続きにしおりを挟み、閉じた後、椅子から立ち上がって、使用人専用の調理場に向かおうとドアに手を翳そうとする。

 すると、そのタイミングを待っていたかのように、軽くノックの音がした。

 

 

 すぐに、ドアを開けて尋ね人の顔を見る。その相手に世良さんはビックリ。

 

 

 「つ、椿お嬢様…!? …どうなされたのですか? このような場所へ来られて。しかももう日が変わっていますよ?」

 

 

 椿が突然訪ねてきたので、それはもう驚くだろう。しかし、彼女もこの仕事をして長い。すぐに驚きを克服し、冷静に対処を始める。しかし、表面だけだ。まだ内心では、椿が尋ねてきた理由は分からず、冷や冷やしている。

 

 

 「あ、私としたことか…。どうぞ、椿お嬢様。少し散らかっていますが、お入りください。」

 

 

 さっきから玄関に椿を絶たせている事に気づいた世良さんは中へと導くため、招き入れようとした。しかし、椿は勢いよく首を横に振り、今にも泣きだしそうな顔で、世良さんの手首を掴み、懇願してきた。

 

 

 「お招きいただきありがとう。でも、またの機会があれば、その時に…。

 

  それよりも、あなたに頼みたい事があります!! 協力してくださいませんか?」

 

 

 その必死なお願いに世良さんは断る事は出来なかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、二人が来た場所は別館の使用人専用調理場。ここで、使用人たちが食べる料理を作っている。食材は港町や貿易で手に入れた新鮮そのものを使っている。本来なら使用人たちの食事など、華族が食べる料理に比べたら、かなりの差を感じるが、ここでは、司が使用人たちにも健康的にいてほしいと考えているため、使用人たちの分も自分達が食べる物と変わりない食材を提供している。

 だからここに住み込みで働いている使用人たちは純粋に司とその娘である椿を心から慕っているのだ。そしてそれは世良さんも同じ。

 世良さんも、雇い主である司やお茶目で可愛らしい椿に役に立てるように一日、一日を噛み締めて、過ごしている。そんな彼女が椿のお願いを断るはずはない。

 

 しかし、それでも疑問は覚える。椿はこれまで、彼女の部屋を尋ねてきたことはない。今回は初だ。しかも、もう深夜となったこの時間に、なぜか調理場…。疑問を持つなという方が無理だ。

 訝しく思っていると椿がやっと自分をここに連れてきた理由を教えてくれた。

 

 

 

 「こんな夜遅くにごめんなさい。どうしてもあなたの力を貸してもらいたくて…。

 

  実は…、熱がある人の看病の仕方を教えてほしいの!!」

 

 

 「…………つまり、誠斗君が熱を出してしまったから、その看病の方法を教えてもらいたいという事ですね。

  畏まりました。ではさっそく、冷蔵庫に冷やしている氷を細かく砕いて、水につけるとしましょう。」

 

 

 「!!!!! 何でわかったの!?」

 

 

 「ふふふふふ。それは見ていれば、分かりますよ。これでも私は椿お嬢様の世話役ですからね。」

 

 

 少ししか話していないのに、あっさりとバレてしまった事に驚くとともに、頬を赤く染め、焦る椿。その表情に愛らしさを感じて見つめる世良さんにとっては簡単な事だった。

 

 

 (本当に…、いつも陰ながら見ていますもの。 私もなかなかの観察者ですわね。)

 

 

 心の内でそう語る世良さんは、実は、椿と誠斗のよき理解者だった。

 

 だから、彼らの置かれている状況を考慮して、繋げれば見えてくる。考え込む必要もないほどに。

 

 

 椿が何で悩んでいるか、今日の付き人で理解していたし、誠斗が椿を一途に思っている事も前々から知っていた。寧ろ、誠斗が椿を愛しているのは、メイド達の間では、当然の事実として知られていたのだ。(当の本人はその事を知らないが。)

 そして、世良さんは唯一、メイド達の中で二人と接触があるメイド。二人の関係がどうなっているのか、一番理解していた。

 

 そんな彼女が、椿が今日、一緒に入れなかった誠斗の顔を見ようと尋ね、その際に、誠斗が熱を出している事に気づき、慌てて自分の方に助けを求めに来たという事が手に取るように分かり、応援したくなったという訳だ。

 

 

 「大丈夫です。私がしっかりと教えますので、椿お嬢様にも看病できますよ!

  頑張って下さい!!」

 

 

 「本当!? ありがとう、あなたに相談してよかったわ! では、さっそくご教授お願いいたしますわ。」

 

 

 なぜ自分の言いたい事が分かったのか気になったか、今日は色々と付き合ってくれたのに、こんな深夜でも笑顔で助けてくれる心強い世良さんに感謝を抱き、何度も心の中でお礼を言った。そして今は誠斗のためだと自分を奮いあがらせ、看病の仕方を学び始める。その意気込みを確認し、世良さんは、隣で事細かくしっかりと教えながら、横目で椿を見て、微笑を浮かべる。

 

 世良さんは、椿と誠斗の事を妹、弟のように思っており、二人が幸せになればいいのにと心の中でいつも願っていた…。

 その想いを燃え上がらせ、世良さんはその手助けに勢いづく。

 

 

 

 

 こうして、世良さんの協力を得た椿は世良さんと二人で誠斗の看病のためのスキルを学んでいく…。

 

 お冷を作って、手拭いを取り換える事や、寝汗をそのままにすると、急激に体が冷えていくから、着替える事、そして体力があるうちに食事を摂らせること…等々を世良さんは椿に叩き込んでいく。

 

 

 その過程の中には、おかゆ作りも含まれていた…。

 

 

 

 




出ました!!世話役メイドにとうとう名前が!!

お姉さん的キャラがいたらな~って思っていたので、出せてよかった!

でも、あの、おかゆ…、出てきたな~、最後に。
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