でも、ストーリーが次に行かなくなるから、進める~~。
いよいよだからね!!
人の声が飛び交い、ざわめく港町を歩く誠斗は、さっきまで椿とドーナツを食べていた和みモードとは打って変わって、仕事の時の真面目な表情に入っていた。無表情に感じる顔で、その瞳が見つめる先には、誠斗がよく知る人物が優雅に歩いていた。
(お嬢の事で一杯で、俺…、すっかり忘れていたぜ。
またしばらくは、世良さんにお嬢の事を頼むしかないな。これもお嬢のためだ…。)
いろいろあったが、椿との日常に戻って、心にゆとりをようやく取り戻した誠斗だったが、今がどんな状況なのかを思い出し、この港町にいるのだ。
そして…
「本当に、私についてきてくれて大丈夫だったのかね?私が頼んでおいてなんだが、椿の専属護衛の方に回っても…」
「いえ、このまま、この事態を野放しにすれば、それこそ、お嬢の身に危険が及ぶかもしれません。そうならないためにも、それが形作られる前に、何としても、ここで蹴りをつけなければ…!」
「………そうか。分かった。私についてきなさい、誠斗。お前にも来てもらいたい場所がある。」
「畏まりました、司様。」
そう、今まさに誠斗の前を優雅に歩き、同行しているのは司だった。
椿とのドーナツ祭りを堪能中に司が帰ってきて早々、誠斗を引きつれて、再び港町に来たのだった。
誠斗は司に命令されれば付き従うまでだが、それを近くで鑑賞していた椿に、物凄く睨まれて屋敷を出る時は、椿を説得するのに時間がかかったものだ。
本来なら、もう少し幸せに浸っておきたいところだが、司が自分を連れ出した理由を理解している誠斗はただ、司の目的場所に後ろから付き従うだけだ。
まぁ、司と誠斗の二人だけでなく、若葉さんもいる訳だが。
この三人がこれから向かう場所は、椿との楽しい時間を過ごすような甘い雰囲気が漂う所ではないのは確か。
そして、その目的場所までの道のりを馬車ではなく、徒歩で向かう(司が歩いていきたいと言ったからである)司達一行は歩道を歩き、港町の人々と挨拶を交わして行く。その時の港町の人々の表情や仕草等を観察し、港町の雰囲気をさりげなく探る誠斗は以前とは違った街並みを感じた。
(なんだ…?いつもの活気が感じられない。いつもと同じように働き、過ごしているはずなのに、声音や表情に何か影を感じるぜ…。
これは…、不安…、恐怖…か。
何かに怯えているみたいだな。)
人の顔色を見る事に長けてしまっている誠斗は港町の人々が怯えている何かについて、心当たりを浮かべる。そしてその心当たりがある場所に今、向かっているのだ。
「………、………斗、………誠斗。」
港町の様子に感覚を研ぎ澄ましていた誠斗は司に名を呼ばれて、意識を切り替える。
「はい、司様。」
「着いたよ、今からここに入るから、頼んだよ…?」
「畏まりました、司様」
一礼して、司の命を受け入れる誠斗は鉄格子を全ての窓に取り付けられた古ぼけた洋館の玄関前に来ていた。
なんだか、怪談的な事が起きるのでは?最後の物言いが!!
甘さからの泥落とし~~~!!