何とか首の皮一枚繋がった村人たち…。
しかし、あれほどの啖呵を切った張本人さえ、2ヵ月でこの村の状況を激変させる様な突拍子もない方法を考えて、言ったわけではなかった。
あの時は、本当にどうにか村人全員をこの危機的状況から何とか救わないと!!
…と必死に頭を回転させて、紡いだ言葉だった。
それでも、村人たちはお偉いさんに立ち向かった村人に感謝した。
その村人は村一番の賢い青年で、村の自慢でもあったから。
でも、やはり事態が苦しいのは、変わらない。
村人たちは一か所に集まって、話し合った。
色々な案が出されたが、これといったいい案はなかった。
それどころか、何も変わらない結果になるという結論に至る事に。
名物といえるものもないし、国を潤すような仕事もない。
毎日、その日の食べ物を探して食べるというのが、この村の今の仕事だ。
まさに生き地獄のこの村に、人を呼び込めるようなものはどこにもなく、村人たちは落胆した。
そんな時に、村に一人の若い女性が足を運んできた。
その女性は顔まですっぼりと被った黒い外套を身に纏い、そこから微かに見える金髪の前髪と赤い口紅を唇に塗っていて、人間のようで人間じゃないように思えた。
最初は村に訪れた女性を不思議に思い、眉をひそめたが、その彼女が発した声と香りで村人全員が魅了されてしまった。
村人を代表して、村長がその彼女の話を聞くことに。
そして彼女が長い旅をしてきた旅人であり、しばし旅も疲れたので、落ち着ける安息の地を探していたという。そして彼女はその場所をこの村に決め、しばらくの間こちらで居を構えてもいいかと訪ねてきたのだった。
その話を聞いて、村長は困った顔をした。
いつもなら、二つ返事ですぐに受け入れていたと思うが、つい先ほど、この村の存続が途切れていたかもしれない出来事が起きたばかりだ。村の訪問者である彼女をこの村の滞在を認めてしまえば、2か月後の村の未来と共に、関係もないのに命を落とすかもしれない…。彼女の身を案じ、断ろうとする一方、せっかく立ち寄ってくれたのだから、ゆっくり身体を休ませてあげたいとおもてなししようとする思いが板挟みになっていた。どうすればいいのかとそう思った村長はなかなか返事が返せず、口を開くのを渋っていた。
「……先程馬に乗った、それはもう立派な装束を纏った方々がこの辺鄙な村から去っていくのを、ここに来る途中で見ました。そして、ここに着いてから、皆さんの優れない表情…。
もしや、何か不都合な事が起き、それで皆さんは悩んでいて、私に返事ができないのではないですか?」
的を射た言葉に村長が大きく身体を跳ねる。
その動きが、まるで兎みたいで面白かったのか、顔を逸らし、含み笑いする彼女に、村長は人間味を感じ、彼女に先程の出来事を全て話した。
「………そうですか、そんな事が…。
なんと自分本位な方でしょう。同じ自国の民にそのような勝手が許されると思っている節が気に入りません。」
嫌悪感を窺わせる声色も美しく歌っているように聞こえ、和むのを感じながら、村長も大きく頷く。
「…でも、それなら、私もお手伝いいたします。
私にいい考えがあります。それを教える代わりに、私をここに置いてくださいませんか?それなら、構いませんよね?」
確かに、色んな土地を旅してきた彼女なら、たくさんの知恵を持っていて、力になるのはありがたい。
村長はまた大きく頷き、彼女の村への滞在を認めた。
もう村長は彼女の虜になっていた。
そして、彼女は村長を見つめ、微笑み、村人達と対面して、今後の村興しへの策とある物を差し出したのだった…。
***中編 終了***
素顔を見せないまま、村人を魅了するなんて…!!
もしや惚れ薬を仕込んだのか!!?