※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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やっぱり誠斗は、甘い物を食べて、子供っぽくしている所もいいな~♪


甘い誘いに釣られて…

 

 

 

 

 

 

 高級料理店の並ぶ通りから軽く足を弾ませ、鼻歌を歌う誠斗が目指すのは、以前出店通りに来たときに物凄い美味しいドーナツを食べさせてくれた義理が厚く、男気溢れるドーナツ屋のオッサンに会うためだ。

 

 もちろん、オッサンの自慢のドーナツを腹いっぱいに食べる気満々で。

 

 

 「いや~!! それにしても、そんなに日が経った気がしないのに、随分会ってない気分になるな。

  まぁ~、それだけオッサンのドーナツが待ち遠しくて、舞い上がっているのかもな!!」

 

 

 確かに、誠斗は自分で言ったとおり舞い上がっていた。理由も述べた通り。

 

 それでもドーナツを食べられるだけで、これだけ浮かれて舞い上がるのは、いつもの誠斗ではありえない。

 ならどうして、鼻歌歌って、元気なのか?

 

 それは、椿に関係する事でしかありえない…。

 

 

 誠斗は、知恵熱からの地獄から生還した時、世良さんから頂いたオッサンのドーナツで、椿とまた話せるようになったと、本気でそう思っている。

 喧嘩らしい喧嘩をした訳ではないが、気まずい雰囲気だったし、その後に起きた椿の看病は仲直りを通り越しての地獄体験だったし、椿と仲直りをどうにかしないとと思っていた時に、ドーナツが二人の前に現れた事で難なく元通りになった。

 

 誠斗の中では、”ドーナツが仲介に入ってくれた!! いわば、オッサンのおかげ!そしてオッサンは異国で言う、『恋のキューピット』だぜ!!とオッサンに感謝していた。

 

 その、椿との仲を取り持ってくれた『恋のキューピット』のオッサンの元へと向かうのだから、気分が浮かれ、舞い上がらない訳にはいかない!

 

 …やはりまだ心の奥では、椿に純粋な片思いを抱いているからか。

 

 椿との良い関係を築きたいという欲が出たのか…。

 

 

 ともかく、誠斗は完全に浮かれていた。

 

 

 

 先ほどまでの捜査に真剣だったあれは、どこに行ったやら…。

 

 そして、舞い上がっている誠斗は、機嫌が良すぎて、見た目はクールな感じなのに、爽やかな笑みを浮かべて通りを歩く者だから、誠斗とすれ違う年頃の女性たちは、立ち止まって凝視し、頬を染める。そして、こっそりと後ろをついていく女性達が続出し、誠斗が目的のドーナツ屋に着いた時には、一定の距離をあけた後ろには、黄色い声を出す女性たちがぞろぞろと人の塊をつくって、ついて来ていた。

 誠斗についてきた女性の中には、誠斗に惚れて、色目を使う女性達もいる。

 

 

 しかし、まったく女性達には、目を向けず…、そればかりか気付いていない誠斗は、久しぶりに会うドーナツ屋のオッサンに元気に挨拶する。

 

 

 「オッサン!!久しぶり!! オッサンのドーナツ、ものすご~~~く食いたくて、来てしまった!! とりあえず5つくれ!!」

 

 

 「お!! 兄ちゃんじゃないか!! よくき……………、お、おお!! すぐに用意してやる!!」

 

 

 オッサンはと言えば、誠斗が連れてきた大勢の女性の数を誠斗の肩越しから見て、驚愕のあまり絶句し、目を大きく瞠るが、すぐに復活して、焼きたてのドーナツを包み紙をくるみ、誠斗に渡す。

 前回も、誠斗に心奪われた女性達によって、売り上げが上がったのを思い出し、今回も食べてもらいたいなと思った事で自分を取り戻したオッサンは、本当に素晴らしい。

 …モテていて、悔しいと少しは思ってはいるが。

 

 

 

 誠斗にドーナツを渡すと、子供みたいに無邪気に食べ始める誠斗を見て、ハートを撃ちぬかれた女性は、土煙が舞うほどの勢いで出店に近づき、先程の動きとは想像できないほどの上品にドーナツを注文し、さりげなく誠斗に目配せし、いじらしい演技をして、同じドーナツをゲットする。そして、一人分の間隔をあけて、誠斗の隣でドーナツを食べる女性の頬は真っ赤で、耳まで真っ赤になっていた。何度か話しかけようとするが、なかなか一歩先へと踏み出せない行動に、第三者目線で見ているオッサンは、ドーナツを買ってくれた女性に、心の中から熱い応援した。

 

 

 その女性の行動に、遠くから見ていた他の女性たちがチャンスと言わんばかりに、出店に押し掛けて、前回同様に、ドーナツを求め、手を伸ばし、我先にと身を乗り出す。

 

 逆にオッサンは、やっと来たという感じで、張り切ってドーナツを揚げ始め、女性達に渡していった。

 

 ドーナツを手に入れた女性達は、誠斗に話しかけ、色仕掛けし、ものにしようとした。

 

 

 

 しかし誠斗に素っ気ない態度で返され、相手にされない押し問答が続き、女性達の闘いは幕を引いた…。

 

 

 

 がっくりして去っていく女性達の背中を見て、誠斗は…

 

 

 (あの女たちは、一体何をしたかったんだ?

 

  意味がわかんねぇ…。 胸を腕に当ててきたりもしてきたな~…。

 

  遊びにしても、もう少しまともな奴に声かけろよ。)

 

 

 …と呆れ混じりに見つめ、彼女たちの争いに巻き込まれ、お預けとなっていた冷えたドーナツを口にする。

 

 

 

 そして、今回の女性たちの報われない闘いを、一番近くで見ていたオッサンは、涙を流し、うんうんと頷いていた。

 

 

 (今回は、残念だったが、諦めるな!女子たちよ!!

  俺も、微力ながら応援してやるからな!!  ビジっ!!)

 

 

 

 

 女性達の惚れた男への愛情表現の深さに感動し、男前な応援を胸に秘めるオッサン。

 

 しかし、そのオッサンが手に持つ笊には、大量の銭が山となって、積まれていた…。

 

 

 

 

 




オッサン…、また意外にも稼げたな~~!!

そして、誠斗のモテっぷりが相変わらず凄いわ…。一目ぼれが続出するほど。

でも、誠斗は椿が好きだから、完全お断り!!

女性達には悪いけど、誠斗のひたすら想いつづける愛の深さにも感動するね!!
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