※この作品はR-18です。

運命のシナリオ   作:薔薇大書館の管理人

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さて、誠斗は次は何をするのかな?


協力してくれませんか?

 

 

 

 

 

 案内された厨房では、かなりの人数のシェフや従業員、下っ端がいた。

 

 

 お互いの肘がぶつかったり、移動する際に正面衝突したりとするほどの人数だ。そんなに店の厨房に入った事がない誠斗でも、いくらなんでもこれは異常だと思った。

 屋敷でも厨房があり、そこには名の通った料理人が厨房を仕切っている。厨房で働いている者を見る限りでも6人ほどだ。いつも料理や菓子の話をしたり、料理の運び出しの時に顔を合わせたりしている誠斗には、屋敷の倍以上の人数が必要なほど忙しいとは思えなかったのだ。実際に、屋敷の料理人と話している時も、「これでも多いくらいだよ。寧ろ3人でも賄えるか?」…と話していた。

 

 だからか、厨房に入ってすぐ、人の多さに驚いた。

 

 

 「…皆さん、真剣に向き合っていますね。」

 

 

 だが、口に出たのは、彼らの態度に感心しました…というニュアンスを述べたものだった。

 思った事をそのままいえば、逆にどこが悪いのかと突っ込まれ、貴族ではないと気付かれるかもしれないからだ。

 

 貴族ともなると、屋敷に使用人をたくさん雇っていても当たり前で、どんな働きをさせるのかは、命令できるし、自分の屋敷内だから好き放題できる。

 そのため、世間の貴族から見れば、「なかなかの使いようだな…。」と考えるのが彼らのやり方である。

 身分の低い人を使うのは、当然とし、それを自分の利益に変える貴族がここ最近は見られるようになったため、誠斗はあのセリフを口にしたのだった。

 

 

 もちろん、誠斗はこの貴族の見下すような扱いが嫌いだ。

 

 

 しかし、田中シェフは誠斗を貴族だから大丈夫だと判断し、更に自分の扱いは素晴らしい物だとアピールしたかった。

 

 これが誠斗の腸で煮えぐり返りそうになっている怒りを強めた。

 

 

 (我慢だ…!誠斗!! 貴族になりきれ…!! お前は貴族だ!!)

 

 

 …と自分に言い聞かせ、愛想笑いを続け、見学していく。

 

 

 

 

 

 

 田中シェフが物凄い大きな声で話す自慢話を聞かされながら、彼が作る料理の手際や腕を見せつけられ、内心反吐が出るが、耐えて愛想笑いを顔に付けて頷きを見せる。

 

 その間、厨房で働くシェフや従業員たちが一切目もくれずにひたすら料理を作り続ける様に不審感が芽生える。

 例えば、ジャガイモや玉ねぎを永遠に皮むきし続ける従業員がいたり、食材を斬り続けるだけだったりする従業員もいる。その者達が目もくれないどころか、まるで話など聞こえないみたいにひたすら自分に与えられた仕事を進めていくのだ。

 

 これを不審に思わないのは、よほどの空気読めない人間か、徹底的に人を虐げる事に慣れた人間くらいだ。

 

 

 そして、この厨房の責任者でもある田中シェフの今まで見た性格からすると、後者で決まりだ。

 彼らを完全に空気だと思って、誠斗に自慢するのを止めない田中シェフを見ている誠斗は、壊れそうな理性を何とかこらえるのに必死になった。

 

 

 その時、誠斗は目の前で作られていく料理に目が行き、その動作の中で田中シェフが使用した粉に注目した。

 

 その粉がどうしても気になってしまうのだ。

 

 

 「…その赤い粉は一体なんでしょうか?調味料か何かですか?」

 

 

 「え? ああこれですか。ええ、そうですよ。これは、最近輸入されてきた珍しい調味料で貴重な代物なんですよ~~。

  かなり高価な値がかけられていて、私もこれを手に入れるためにいろいろ無茶をした物です。ですが、これのおかげで客足も増えてきましたし、本当に素晴らしいですね!!

  これを手に入れた物の中では、『神の恵み粉』とも呼ぶ者がいるくらいです。

  あ、この呼び名は私が考えて広めたものなんですが…!!カカカカカっ!!!」

 

 

 「…なるほど。これが巷で噂の調味料だったのですね。知り合いからよく聞かされていまして、ぜひこの目でずっと見てみたかったのです。その願いが叶ってとても嬉しく思います。」

 

 

 「そうでしょう!! 貴族や豪商たちがこの魅力にはまっていますから!!」

 

 

 「……では、その魅力をもっと有意義に使いましょう。…私達だけで。」

 

 

 「何ですと?」

 

 

 「この調味料は素晴らしい。ですが、他の人の手に渡ってしまえば、その魅力を知り、独占したいと思っても不思議ではありません。

  独占すれば、今以上の値打ちをつけ、高額な買い物をさせられる可能性は否定できませんから。そしてその利益はすべて懐の中へ…。

  ない話ではないでしょう?」

 

 

 「…確かに、そうなれば俺の名声が崩れ去る!! それは絶対に許さない!!」

 

 

 「そうです、私達と同じ考えを持った貴族たちが動き出すのも時間の問題です。彼らが動き出す前に先に手を付けなければ…。」

 

 

 誠斗の話を強く頷き、口調も本音も変わりだし、誠斗の案に乗ってくる田中シェフの反応をちらっと確認する。

 

 

 「実は、私…、今度新しく店を出す事にしていまして…。そこで名物になるような料理を…、そしてそれを作れる唯一の料理人を探しておりまして…。その者には、その唯一を作れるという名声を背負って、店を守っていただきたいと思っております。

  今は、計画している段階なので、実現は出来ていませんが、その噂の調味料を手にし、店舗を作った暁には、この港町一番…、いえ、日本帝国一番の人気店に宣伝していこうと思っているのです!!

  そのためにも、私の考えに賛同していただける方を求めているのですが…、どこかに居ませんか」

 

 

 誠斗が田中シェフにそう、話しかける…。

 

 

 田中シェフは、誠斗の話を聞き、目を輝かせて、

 

 

 「俺がその料理人をやってやる!! 俺はこんなちっぽけでただのクズたちの面倒を見ながら料理して埋もれるべき人間ではないんだ!!

  俺の実力を見せてやる!!」

 

 

 …と即答した。

 

 

 更なる名声を手に入れられるだけでなく、その名声に”唯一”という誰にも取れない物がついてくる。

 自尊心の強い田中シェフには、この上ない魅力的なものだった。

 

 その美味しい話を見逃す田中シェフではなかった。

 

 やる気を出しまくって、作っている料理の腕も猛アピールしてくる。それを見て、誠斗はしばらく考えるふりをして、観察した後、真面目に今後の調査の予定をもう一度組立てた。表面上では、値踏みする貴族特有の偉そうな雰囲気を出して、演じながら。

 

 

 そして、一回頷きを見せ、作り笑顔を浮かべ、田中シェフに告げる…。

 

 

 

 

 「…いいでしょう。 私達の未来のために、ご協力してくださいますか?」

 

 

 「もちろんだ!!…です!! お任せください!!」

 

 

 …こうして、田中シェフというチップを手に入れた誠斗は、この店での作戦を遂行した。

 

 誠斗の目的は、『この店のシェフを使って、”マリハ”の入手ルートを掴み、壊滅させる』だったのだ。

 

 その第一段階がうまくいき、誠斗は田中シェフと握手しながら、喜んだ。

 

 

 (田中シェフの喜びとは意味が違っているので。)

 

 

 

 

 

 そして詳しい話をする日取りを決めて、誠斗は店を出て、しばらく歩いた後、路地に入って抜け出した誠斗の足取りは軽く、スキップしていた。

 

 

 

 




ハハハハ…。
要するに、情報源を確保したのか、誠斗は。

それは今後の展開に物凄く必要になるからな~~。さすが、誠斗は頭が冴え渡っているな!!
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