プロローグ
「……」
《
「まあね。相手はチャンピオンだよ?私も緊張くらいするさ」
そう言って少し苦笑いしながら私の相棒を見る。
私の名前は
「それに今日は君のデビュー日になるんだから気合いも入れないとね☆」
《そこは親父さんの名誉回復ってことにしないの?まあ嬉しいけど》
苦笑いを浮かべながらも満更じゃなさそうな表情をする相棒にこちらも苦笑いを浮かべる
「榊
《…そうだったね。すまない》
相棒の顔がしまったっという顔になるとすまなそうに謝ってきた。私は気にしてなんかないのになぁ…
「ううん。 それよりも今日は頼んだよ?相棒♪」
そうニッと笑うと相棒は顔を上げ、力強く頷いてくれた。
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そもそもなぜ、チャンピオンとデュエルする事になったのかは少し前の出来事のせいである。
その日は遊勝塾に加入希望者が見学に来ていて、私は
「行くぞ
権現坂の宣言と共に、ほら貝らしき物を持った機械武者が2つの緑の環となり、『ワカーO2』と『ジシャーQ』が纏われ、やがて纏われた方の超重武者達の身体が4つずつの光の球と化す。
それにしても、なぜ権現坂は私を
《くるよ!遊奈》
分かってるよ。相棒。
「荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に煌びやかな戦場に現れよ!シンクロ召喚、いざ出陣!レベル10!『超重荒神スサノ―
超重荒神スサノ―O DEF3800
【超重荒神スサノ―O】
効果モンスター/シンクロ
星10 地属性 機械族 攻2400 守3800
機械族チューナー+チューナー以外の「超重武者」モンスター1体以上
このカードはルール上「超重武者」カードとしても扱う。
(1):このカードは表側守備表示のままで攻撃できる。その場合、このカードは守備力を攻撃力として扱いダメージ計算を行う。
(2):1ターンに1度、自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、相手の墓地の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはフィールドから離れた場合に除外される。この効果は相手ターンでも発動できる。
光の輪の中に一筋の光が差すと、暗色を基調とした、超重荒神が現れる。
ここで彼のエースの一体であるスサノーOが来るのは流石だね。でもさせない!
「
【強制脱出装置】
通常罠
(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
「させるか!アクションマジック『キャンディ・コート』これで自分のモンスターは魔法・罠の対象にならず、戦闘で破壊されない!」
「くっ!やるな」
「更に『スサノーO』の効果発動!遊矢、お前の墓地にある『強制脱出装置』を俺の場にセットさせてもらう」
自分の墓地に魔法・罠カードが無い場合という厳しい条件ながら、相手の墓地にある魔法・罠カードを1枚自分の物にする事が出来る効果も、1ターンに1度セット出来るという無茶苦茶な効果も持っている。
しかもこの効果は相手ターンでも使えるフリーチェーン、挙げ句セットしたカードはフィールドを離れると除外されるので、アクションデュエルにおいては、後になってセットしていた魔法・罠カードを発動した所為で効果が使えなくなる事も無いと、厄介極まりない。
アニメ効果なら魔法だけだったんだけど、こればかりは仕方ないか…
そして権現坂がセットしたカードは私が先ほど使って無効にされた『強制脱出装置』。これで、安易に召喚出来なくなった。
「俺はこれでターンエンド!さあ遊矢、この権現坂と1対1の本気の勝負だ!」
言われなくても分かってる、権現坂!
さて、観客もいるし、権現坂も普段はしないシンクロ召喚を見せたんだ、私も派手にやりますか!
「
『おお…!』
私の宣言に期待の籠った声が観客席から聞こえるのに答えるようにカードに手を添えた。
「さぁみんな、楽しんでくれよ!俺のエンタメデュエル!!俺のターン!ドロー!」
引いたカードは『エフェクト・ヴェーラー』。ここは…
「永続魔法になっている『魔導書院ラメイソン』の効果発動!墓地の『魔導書庫クレッセン』をデッキの一番下に戻し、1枚ドロー!来た!今引いた『サイクロン』を発動!権現坂の場にセットされた『強制脱出装置』を破壊するよ!」
「今引き『サイクロン』だと!?」
竜巻が強制脱出装置を破壊した。
よし!これで!
「手札から『ネクロの魔導書』発動!墓地の『魔導書士バテル』を除外し、墓地の『魔導戦士フォルス』を蘇生しこのカードを装備する!さらに除外した『バテル』のレベル分『フォルス』はレベルが上がるよ!」
魔導戦士フォルス ATK1500 星4→6
「更に『エフェクト・ヴェーラー』召喚!」
エフェクト・ヴェーラー ATK0
「チューナーと非チューナー…来るか!」
「
シンクロ召喚をしようとした時、管制室にいるであろう柚子の悲鳴が聞こえて思わず振り向く。
その次の瞬間、フィールド内に爆発音が鳴り響き、表示されていたソリッドビジョン(主にアクションフィールド)にノイズが走る等、不安定な状態になる。
《やばいよ!遊奈!》
『何やってんだ柚子!?』
『ご、ごめんなさいお父さん!』
『コイツが壊れちまったらソリッドビジョンが消えちまうぞぉ!』
暑苦しい声が響いたかと思ったら、ソリッドビジョンが消滅、実体を持っていた事もあってその門の上に立っていた私は一瞬にして宙に放り込まれた形となり、重力に従う形で落下してしまう。
「うわ!?( ローザ頼む!)」
素早く体制を立て直して『月華竜ブラックローズ・ドラゴン』のローザを召喚する。ローザは素早く私を翼で受け止めて守ってくれた。
なぜ、リアル・ソリットビジョンがないのにモンスターを実体化させることが出来たのかは、私のデュエルディスクがリアル・ソリットビジョンシステムを搭載しているからだ。
まあ、ディスクを使わなくても精霊なら実体化出来るけど他人がいるから今回は避けた。
《遊奈大丈夫ですか?》
「ああ。ありがとうローザ」
ローザが地面に降ろして心配そうに聞いてくるので、笑いながら礼を言い、ローザの頭を撫でてあげると嬉しそうに擦り寄りカードにもどった。
「大丈夫か遊矢!」
権現坂が駆け寄る。
「俺は大丈夫だよ。権現坂も大丈夫そうだな」
「俺は大丈夫だ。にしても何があったんだ?」
「会話聞く限り故障じゃないか?はあ…」
思わず溜息が漏れてしまう。
結局この事故が原因で加入希望者は帰っちゃうし、ソリットビジョンシステムは壊れるし散々だった。
「おやおや?何やらお困りの様子」
私達の塾…遊勝塾で、私と、私の幼馴染で塾生の
「ええと、どちら様で?」
おじさんは何処か戸惑い気味ながらも、突如入って来たその男に名前を訪ねる。
普段の暑苦しさもなりを潜めてしっかりした対応する。流石、父さんに代わって遊勝塾を守ってきただけあるね。
「申し遅れました。私、アクションデュエル現役チャンピオン、ストロング石島のマネージャー兼プロモーターをしております、ニコ・スマイリーと申します」
《ずいぶん変わった名前ですね》
そう言いながらデフォルメされて小さくなったローザが半透明で私の肩に現れる。
あれは芸名じゃないかな?
あれが本命ならビックリだ。
まあ、私の前いた世界ではキラキラネームというのが流行っていたから可能性はあるけど。
て、それよりも
「ストロング石島ですって…!?」
ストロング石島。
今の私の血の繋がった父親でプロデュエリスト、榊遊勝が失踪する前に、チャンピオンの座を賭けて戦う筈だったプロデュエリスト。
紫を基調としたトゲトゲヘアーにフェイスペイント、某世紀末漫画の連中が着用しそうな服装をしたデュエリストで、確かデッキはバーバリアンだったかな?
あの人ならまず勝てると言っても過言じゃ無い程度の相手だったけど、何故かその試合に出場する事無く、失踪してしまった。
それ故に、私は臆病者の子どもと言われ、母親はそのショックで亡くなってしまった。
まあそれは良いとして、どうしてそのストロング石島のマネージャーが私達の所に来たか、話を聞いてみないと
「今回此処を訪ねたのは他でもありません。
「…俺がストロング石島と……」
思い出すのは三年前、観客席から自分の父親への罵倒…
私にとって、榊遊勝は父親とは思えなくても、尊敬出来るデュエリストの一人だった。だからこそ、私はあの人の名誉回復という訳ではないがこの勝負を受けたい。そして何より強い奴と戦いたい。
「駄目だ、遊矢をそんな場所に出す訳には行かない」
「おじさん…!?」
「え、何故です!?」
しかし、私の思いとは裏腹におじさんは断ってしまう。
「あの榊遊勝の息子が登場するとなれば、お客様も大喜び!」
「遊矢を見世物には出来ん!」
なるほど、私がチャンピオンに負けて世間の笑い者になる可能性を考えて断ってくれたようだ。
でもね…
「おじさん。俺は受けるよ。このストロング石島の挑戦状を」
「遊矢!?」
「おじさんの思いも分かってる。でも俺は逃げ出したくないんだ!」
「遊矢…分かった。」
ジッとおじさんを見つめる。先に折れたのはおじさんの方だった。
「おお、ご承諾頂けますか!でしたらお礼として、
壊れてしまった遊勝塾のソリッドビジョンシステムの代わり…いえ、それのアップグレード版が無料で提供される。
一石二鳥だね。
私はニコの言葉を聞いて内心笑っていた。