一応、R18なので要注意。
いったいどれだけの時が過ぎたのだろうか?
醜悪な匂いが立ちこもっている。あれから数日経ち、今日は昼間から男の趣向でマントだけ着せられ、いつも実験で使われる広い部屋で両腕を天井から伸びる鎖で吊るされて蹂躙された。フードを被った状態で頭から顔全体にかけられた男の欲望を拭うことも出来ない私は、ただただ、吊るされたまま虚空を見つめていた。
鎖を嵌められている腕は、その部分が擦れて赤黒く腫れ上がり、複数の注射の痕が痣のように痛々しい。彼女の白い肌には、無数のうっ血した跡と噛み傷と擦り傷。唯一身にまとっているマントには明らかにマントの白とは違う白濁した染みが飛び散り、そして下腹部には、白くドロッとしたものが身体にこべり付き、臀部と陰部には白い欲望があふれ出ていた。あふれ出した白いものと、無理を強いられたのか鮮血が混じり、足と床を汚している。そして今は外されているが、足首は行為中、閉じられないように拘束棒で固定されていた為、新しい痣が出来ている。
昼は機械につながれ、この男の言う実験として、無理矢理、精霊やカードの力を限界まで引き出されたり、時には身体を切り裂かれたり、薬を投与された。そして、夜はその男の性欲を満たすために、部屋に連れ込まれ蹂躙される。
シャワーを浴びる時も、男と共に入り、そこでも襲われる。
心が休まる暇もなく、擦り切れていく。
この数日で前回の時に無理矢理、開発されてた事もあって、身体は遊奈の意思に反して浅ましくその男を求めるようになってしまった。
いっそう、狂ってしまいたいとも思うが、内にいるファントムがそれを許さない。
ふとヨハンお父さんと十代お母さんや遊斗達家族と仲間…そして何より零児を思い出した。
零児の笑い顔や色んな表情を思い出す度、まだ、諦めるのは早いと思い直すのと同時に心が悲鳴を上げる。
だってそうだろう?こんな浅ましい身体…無理矢理犯されているのに関わらず身体は歓喜するのだ。まるで発情した獣の様に…好きでもなんでもない相手に腰を振る姿を零児が見たら失望されるだろう。
零児に…嫌われたくないな…
そう思って、遊奈は自分の思いを自覚した。その途端、彼女のオッドアイからさっきとは違う涙が溢れ、喉からは殆ど音にならなかった乾いた笑みが思わず漏れる
「ハハハ…(今更気づいても遅いよ…)」
男によって身体も心も穢された。そして何より人を捨てた私なんて受け入れてくれるハズがない。
「そんなに気持ちよかったのですか?フフフ!私嬉しいです!」
そんな遊奈に男は自分の着衣を整えると、ウットリとした顔で顔を高揚させながら気持ち悪く笑う。
どうやら、遊奈が笑ったのは男との行為で嬉しかったのだと勘違いしているようだ。
実際は自嘲の笑みだったのだが、狂った男の目には写らない。
「ああ!そうだ!私とした事が、貴女に伝えないと行けない事を忘れていました!まあ、これも全部貴女が誘って来たのが悪いんですがね…」
そう言って男は徐に機械をいじろうとしたその時
「見つけたぞ!曰理知之!」
扉を壊す音が聞こえたと同時に零児、ヨハン、遊斗、遊馬、零の5人が入ってきた。
──────────────────────
ーSide/零児
遊奈が攫われてから4日後、予定よりも早く場所を突き止めた一同(LDSで密かに結成された特殊戦闘部隊も引連れて)は奴のアジトを攻めていた。
特殊戦闘部隊は数班に別れ先導し、アジト内を混乱させつつ制圧をして行き、遊戯、アテム、黒咲の三人は遊奈の居場所である実験広場に向かう途中に現れた敵の足止めの為、先に私達を行かしていた。
そして、遊奈がいる扉を壊して中に入ると、広場という名に恥じない広さを誇る部屋の中心には巨大な機械が柱のようにそびえ立っていた。
そして…
「見つけたぞ!曰理知之!」
その機械の前白衣を着た中年男と天井から鎖で吊るされ、マントのフードで顔は見えないが明らかに蹂躙された姿の遊奈がいた。
「遊奈!」
「ようこそ!私の研究室へ!!」
「……れい…じ」
「おやおや!久しぶりですね零児君!」
「曰理知之!貴様!!」
「何を怒っているんです?彼女と僕は愛し合っている!赤の他人である君にとやかく言われる筋合いはないはずですよ?それにしても随分と立派になって今では若社長とか…いやいや時間の流れは恐ろしい…「ご諾はいい!娘を返してもらう!」…おやおや野蛮ですね」
曰理のまるで世間話をするような態度にそばにいたヨハンさんが普通の人間じゃ出せないようなスピードで殴り掛かるが、どこからか現れた餓狼が曰理の首根っこを引っ張り躱される。上から思いっきり振りかぶった為、コンクリで出来た地面には軽くクレーターが出来ていた。
「おいおい、いきなりってのは無いだろ?どうやらお前も化け物みたいだが、人間みたいに娘の事が大事なのか?こいつは傑作だ!化け物が家族ごっこなんて、なぁ!!」
「っ危ない!」
「っ!」
手榴弾の様な物が投げられて爆発するが、間一髪遊奈の声のおかげで直撃を避け爆風から出るとヨハンは零児達がいる傍に着地した。
「ヨハンさん!大丈夫ですか!?」
「…かすり傷さ」
ヨハンさんは返事をしながら奴を睨みつける。その瞳は虹色に変わっていた。
「…精霊の力を解放してる彼を傷つけるなんて、ただの手榴弾じゃなさそうだな」
「御明答!これは人ではなく精霊を殺すことが出来る代物なんですよ!だからこんなに近くで爆発しても私達は無傷!ああ、彼女にも少しダメージが行ったみたいですが問題ないでしょう」
爆風のせいで覆っていたフードが後ろへ行き遊奈の顔がハッキリ見えるようになる。
「…見ないで」
フードで隠れていて見えなかった頬は赤く腫れ、そう、両目から涙を流しながら蹂躙された身体を隠すように身動ぎする姿を見て私は今までにない荒々しい感情に心を蝕まれながら、その衝動に耐える。
握りしめた両手から血が流れ出ていたが、今1番辛いのは彼女だ。
「遊奈、安心しろ。私はどんな君でも受け入れる。必ず曰理から君を救い出す」
「…っ」
ハッとした顔で私を見た彼女は新たな涙を流しながら軽く頷いてくれた。
「勝手な事を言ってくれてますがまあいいでしょう。そんなことより、こんなに早く私達の元へ来てくれるとは嬉しい限りですよ。私の世紀の大発明を見せるのにギャラリーがいないとつまらないですからね。まさか、御父様に会えるとは思っても見なかったですが」
「貴様にそう呼ばれる筋合いは無い!」
「おいおい、動くなよ?お前らはあくまでゲストだ。これ以上勝手なマネをするっていうならどうなるか分からねぇぜ?」
「あまり彼女を傷つけたくはないんですがねぇ」
「っ…」
餓狼がナイフを遊奈の喉元に当てる。それを見て私達は迂闊に行動が出来なくなってしまった。
「フフフ。ではお見せしましょう!私の最高傑作!『
バチバチという音とともに目の前が激しい光で真っ白に染まると次元の裂け目が出来る。光が収まると中から黒い何かが這い出てきて地面に落ちる。
「うっああああああああぁぁぁ!!!」
「っく(なんだ!?この感じ、俺のリベリオン・ドラゴンが共鳴しているのか?)」
黒い何か-Origin-が出てきた瞬間に遊奈と遊斗の様子が豹変する。遊奈は悲鳴をあげながら苦しみだし、遊斗は頭を抱えながら膝を着く。
「遊奈!?遊斗!?」
「遊斗!大丈夫か!?」
「竜の咆哮が聞こえる…この咆哮はリベリオンとオッドアイズ…?」
「!、奴の狙いは遊斗だ!」
《グオァアーーー!》
嫌な予感を感じたヨハンが叫ぶのと同時にOriginが竜の様な獣の様な咆哮をあげる。すると遊斗のエクストラデッキから黒いオーラのようなモノが飛び出しOriginはその顎で黒いオーラを喰らう。
その瞬間、遊斗と遊奈の意識は途切れ、Originは姿を変えていく
「遊斗!」
《遊馬落ち着け。気を失っただけだ》
「そうか…でもよ…」
気絶した遊斗を遊馬が支える中、そばにいたアストラルはそう言う
アストラルの言いたいことが分かった遊馬はOriginそして、曰理、餓狼を睨みつける
「アハハハハ!!!これがOrigin!こいつは精霊を捕食しその力を糧にしてドンドン強化される、人工精霊だ!」
「人工精霊…研究は既に完成していたということか…」
これが精霊…?なんて禍々しいのか…
Originはボコボコと身体の形を変えていき禍々しい黒い竜に姿を変えた。
《グオァアーーー!》
凄まじい殺気と威圧感が空間を支配する。
Originの姿はまるで『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を融合した様な姿をしていた
情けない話だが身体の震えと冷や汗が止まらない、奴に睨まれただけで死ぬような感覚が背中を襲い、本能が逃げろと告げている
「アハハ!素晴らしい!私と遊奈の愛の結晶!さあ、Origin!その力を私に見せてください!」
《グルル…》
「な、何を…離せ!私はお前の親だぞ!うわぁぁぁ!?」
「「「「「なっ!?」」」」」
Originは喉を鳴らしながら曰理の方を向くと、足元から小さい闇の怪物というべきモノが大量に現れ彼を闇へ飲み込んでいった。
「冗談じゃねぇ!……うわぁぁぁ!来るな!来るなぁぁ!!?」
闇はどんどん広がっていき、逃げ出そうとした餓狼をも飲み込み、我々も飲み込もうと広がっていく
「させない!みんな頼む!」
ヨハンさんの声に彼のデッキが光ると5人を囲む様に7色の光が現れ、それぞれモンスターの姿に変わっていく。遊馬の傍には青い少年がそばに居た
そうか、これがヨハンさんの精霊達とアストラル。だが、精霊や彼が見えなかった私にすら見えるのはどういう事だ?
疑問が残るがヨハンさんの家族である精霊達を呼んだ理由は直ぐに分かった。
闇の怪物達は精霊達を恐れて囲む様にしているが近づく事が出来ないようだ
「ハッ!遊奈は!?」
Originの後ろにいる遊奈を見ると怪物達に囲まれてはいるが襲ってくる気配はなかった。
しかし、遊奈は遊斗と同じく気を失っているのか力無く鎖でぶら下がっている状態だ。このままではいつOriginが遊奈の中にいる精霊やこちらの精霊を狙って襲ってくるか分からない。
こちらには気を失っている遊斗もいる…。どうするか…
チラっと後ろにいる真月に背負われている遊斗を見る。
いつの間にか身体の震えは止まり、頭が動くようになってきた。
「ヨハンさん、どう見ますか?」
「厄介だな。今この空間は普通の世界とは隔離されてしまっている。君が精霊を見えるようになったのもそれが影響しているんだ。この化け物も昔十代から聞いていた魔物だから対処出来た。こいつらは精霊がいれば近寄ってこない。十代もハネクリボーのおかげで助かったって言っていた。しかし、問題は…」
「Originですね」
「ああ、さっき奴が喰らったのは遊斗の精霊であるリベリオンだろう。奴はリベリオンの力を喰らい姿を変えた。精霊の力を糧にするが精霊とは別のものだ。恐らく魔物と同じく闇のものだろう」
「…ヨハンさん、Originの気を引くことは出来ますか?」
「ああ。奴が精霊を捕食する理由は恐らく本能的なもの。それこそ喉の乾きを潤す為に精霊を喰らう感じでな。この中で1番高位が高い精霊を所持しているのは俺と遊奈だと思うから狙うなら俺達だろう」
「なら、ヨハンさんが気を引いてる間に、俺が遊奈を救出します」
「な!?いくら何でも危険すぎる!1人じゃ行かせらんねぇよ!」
「遊斗が倒れているんだ、遊馬と真月は遊斗を守ってくれ。いくらヨハンさんの精霊達が結界のようにいてくれても何が起こるか分からないからな」
《遊馬、ここは彼の案に乗るべきだと私は思う》
「…分かった」
「赤馬。遊奈を頼む」
真剣な表情で見つめてくる真月に頷くとヨハンさんの横に並ぶ。すると足元から猫のような赤い瞳の精霊が這い上がってきて肩に止まる
「そいつはルビー・カーバンクルのルビー。その子が君を魔物から守る。ルビー頼んだぞ」
「よろしく頼む」
《ルビルビ!》
まるで任せてと言ってるように胸を張って返事するルビーを見て改めて覚悟を決めるとヨハンさんと同時にしかし違う方向へ向かってルビーが先導する道を走り抜ける
遊奈、どうか無事でいてくれ
──────────────────────
ーSide/ヨハン
さて、こういうのは十代の方が得意なんだけどな…
《そんな事言っている場合では無いですよヨハン。アレからはどう見ても『暗黒の深遠』の気配を感じます。一筋縄にはいかないでしょう》
分かってる。
《先ずは奴の気を引いて、隙を見て奴に私の力をぶつけて、奴に喰われた精霊を引き剥がしましょう》
了解。行くぞレイン!
「こっちだOrigin!!」
《グルアァ!》
レインの力を解放してOriginを呼びながら遊奈達から離れるように走り出すとこちらの思惑通りOriginは俺に向かって闇を伸ばして襲いかかってきた
横にジャンプして躱すが地面にいた魔物がヨハンを捕らえようと手を伸ばしてくる
「危ない!」
「おっとっ!」
遊馬が咄嗟に叫ぶが、ヨハンは背中からレインの翼を出すとそれを使って宙を舞い魔物と闇を躱し続ける
魔物はOriginの意思で精霊を襲う事も出来るみたいだな。遊奈達は…
10分程時間を稼いでから、遊奈達を見ると零児君が遊奈を抱えて遊馬達に合流する所だった
《そろそろ問題無いでしょう。ヨハン私を》
闇を躱すのを止めるとヨハンに闇が命中するが闇の中から光が溢れ出し闇を祓う。
《グル!?》
「ああ、さて今度はこっちの番だ。レイン!」
光の膜に包まれたヨハンとヨハンの身体に寄り添うように虹色に輝く『究極宝玉
「オーバー・ザ・レインボー!」
ヨハンが上げていた右手を振り下ろすとレインが光線をOriginにぶつける
《ギャアアアア!!》
光線をくらったOriginは、苦しげに叫び声をあげながら闇が光に溶けていくように姿を保てなくなり、闇の塊に変わるとその体から光が2つ飛び出し、それぞれ遊奈と遊斗のエクストラデッキに戻る
それを見て一旦みんなの元に戻ることにした。
次話も連続で投稿します。