※この作品はR-18です。

刀剣乱舞SS集(BL・NL・友情主従ごった煮)   作:駒由李

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水心子が本丸襲撃により破壊されています 男性妊娠があります すべては夢オチです そうじゃないと私が悲しいからです
pixivからの転載


【麿水前提さに麿R-18】つきがきれいですね

 満月の夜だ。

 抱いて欲しい、そう言った声は、自分でも掠れていたと思う。しかし、主の耳にはしっかりと届いたらしい。蒲団の上に座りながら書物に落としていた目を、驚いたように瞠ってこちらに向けたから。

 それでも、僕は、寝間着の帯を解いた。潤滑液の瓶を片手に。

「準備はしてきたから」

 前を開く。下穿きは穿いていなかった。

「抱いて欲しいんだ。何回でも。水心子のことを忘れさせて欲しい」

 短い言葉だったと思う。それでもつっかえつっかえで、言い終えるのに1分を要した。前を開いたままの僕に、主は、息を吐いた。そして本を置く。

「俺が抱かれてもいいけど」

 それは、同衾への合意。主の声は落ち着いていて、それに泣きたくなる。それでも涙は出なかった。あの日、あのときから、涙腺は動きを止めていた。泣けない。泣けないのだ。

 あんなにも水心子のことを思い出すのに。

 僕は笑った。きっと、下手くそな笑い方だったと思う。

「男を抱くと、水心子を思い出すから。だから、抱いて欲しいんだ」

「……わかった。おいで」

 胡座を掻いた主が、両手を広げてくれる。あぁ、はじめて会ったときはほんの少年だったのが、随分と大きくなった。背丈はさして変わらないが、体の厚みが増し、顔つきが大人びて、低い声に見合った外見になった。いつまで経っても少年のままの自分たちと違って、主は成長し、年を取っていくのだ。

 自分たちは変わらないはずだった。それはこの本丸が終焉を迎えるまで。それなのに。

 僕は主の膝に乗る。彼の肩に手を添えると、主は僕に口付けてきた。温かい感触が、かなしかった。

 障子を開いたまま、僕たちは事に及んだ。

 

 水心子は破壊された。1ヶ月前のことだ。

 本丸が襲撃を受け、運悪く門の1番近くにいた水心子は応戦したが、多勢に無勢。他の者が――僕が駆けつけたときには、既に折れた刀だけが残っていた。

 僕はその折れた破片を拾った。硬く、冷たい感触だった。握ると、痛みが走った。掌が切れていて、破片に血が付着した。ぽたり、地面に血が流れた。涙は、出なかった。

 

「んっ……」

 蒲団の上に横たえられた体。乳首が舐られる。くすぐったいようでいて、微熱のような性感が伝わってくる。そして、主の手が、僕自身に添えられた。緩く上下し出す。審神者は基本的に戦わないが、刀剣男士に剣を教わり体を鍛えることがある。ここの審神者もその例で、彼の場合は病弱な体を鍛えるためだった。かくして10年、スポーツもやっていた彼の手はすっかり硬くなっていた。女のように柔らかくない。しかしその感触は、自身に熱を与えるのに充分だった。主の手はそれなりに大きく、僕自身を包み込む。緩急をつけて与えられる刺激に、声が漏れる。

「ふ、ぅっ……」

 ぞくぞくと、背筋に快感が走る。成る程、これが抱かれるということか。為すがままの体。与えられる快楽。身の内に燻るような感覚が生じ――呆気なく達した。恐らく今までで1番速かったと思う。あまりに速かったので、主は呆れていないだろうか。それよりも服が汚れていないだろうか。そう思いながら、体を起こそうとした。

 不意に、視界に空が入る。夜空。そこに浮かんだ白く丸い穴。

 満月だ。

 思い出した。1ヶ月前のあの日の前の晩も、こんな月夜だった。

 

「月がきれいだな」

 あの夜は、酒を酌み交わしていた。寝間着で、縁側で。あまりに良い月夜だったから。交わしていたたわいない会話の中で、不意に水心子が呟いた。僕は何気なく肯いた。

「そうだね、きれいだね」

「………………あっ、違う、そういう意味じゃなくて」

「えっ?」

「あっわからなかったなら、その、いい……」

「……」

 慌てふためいた様子の水心子を眺めて、ふと、自身は思い至った。成る程、と。僕は笑った。

「僕は死んでも良いよ」

「っよくない」

「……今の返事のつもりだったんだけどな」

「あ、うん。あ、でも……」

 水心子は噛みつくぐらいの勢いで否定して、僕の続きの言葉を聞くと、肯いたあと、頭を振った。

 不安そうな顔だった。

「たとえでも、よくない。一緒に、月がきれいだと言ってくれ」

「…………そうだね、水心子。君が望むなら」

 

 君が望むなら、僕は破壊されたって構わなかったんだ。

 

「大丈夫か」

 不意に、声が降ってくる。見ると、主が、心配そうな顔をしてこちらを見ていた。僕の右足を抱えていたが、その手を止めていた。

「駄目なようならやめるけど」

「……いい。大丈夫」

 僕は頭を振った。想い出の中の水心子のように。

 僕の目は、月を映した。

「ただ、今は月を見させて」

「……わかった。続けるよ」

 そう言われた途端、後孔に冷たいものが触れる。潤滑液だろう。後孔の周りでくるくると指が回る感触がする。「準備」をしてきたとはいえ慣れない感覚だ。やがてその指は、音を立てて僕の中に入ってきた。

「んっ」

 声が漏れる。潤滑液のお陰で滑りがよい。僕の中に入ってきた指はほとんど未知の感覚だ。その指は慣れたように僕の中の良いところを見つけた。ぐ、とそこを圧される。背中がピンと伸びた。ぐりぐりとそこを圧されて、さらに指が2本、3本と滑り込んでくる。眩暈がしそうだったが、それでも僕の目は、月を映していた。

「……入れるよ」

「んぅっ」

 宣言と共に、僕の中に指よりももっと太いものが入って来た。体が仰け反る。左足を抱えられ、ゆっくりゆっくり、主のものが挿されては限界まで引っこ抜かれる。

 ふと、僕自身にも手が触れたようだった。前立腺を刺激されて半分ほど屹立していたそれが、主の手で擦られてどんどん硬くなる。先走りが主の手を再び汚したようだった。後孔を突かれ、前を触られ、僕は喘いだ。

 それでも、僕は月を見ていた。

「んっあっ、あっ」

「清麿……イくよ」

「あっ……うん、あっあっ」

 快感が高まる。主のピストンが、僕自身に触れる手の動きが激しくなる。僕は敷布を握りしめながら、仰け反って絶頂した。

 果てた僕の目に、月が映っていた。

 

 

「え、子どもが?」

「おめでとうございます、3ヶ月ですね」

 主に抱かれる生活を3ヶ月か4ヶ月ほど過ごした頃だろうか。体調を崩した僕は手入れでも治らず、政府で検査を受けた。その結果が受胎告知だ。

 主が避妊具をつけていなかったのは、はじめの日の夜だけだ。だから、あの月夜の晩に孕んだのだろう。ぼんやりと、医者や主の声を聴きながら、僕は自分の腹に手を添えた。

 3ヶ月。ここにいるのは、どう足掻いても水心子との子ではないんだ。主に抱かれる日々を過ごしてかなしみは薄れた。けれど、喜びも薄いようだった。

 それが、腹の子に申し訳なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開くと、そこに愛しい人がいた。

「清麿、起きたか。魘されていたぞ」

「……水心子?」

 雀の鳴く声が聞こえる。遠くから刀剣男士たちの声も聞こえるようだった。蒲団の中にいた僕は、水心子に顔を覗き込まれていた。どうやら頬を軽く叩いていたらしい、水心子が僕の顔から手を引っ込めた。彼は優しく微笑んだ。

「悪い夢でも見ていたのか」

「……夢……夢だったのかな……――」

「っおい? どうした」

 起き上がり、水心子に抱きつく。途惑う水心子に構わず、彼の首筋に顔を埋めた。水心子のにおいだ、水心子の体温だ、水心子の体の形だ。ぎゅっと抱き締めていると、水心子の手が恐る恐るといった様子で背中に回される。そして軽く叩かれた。

「そんなにひどい夢だったのか?」

 尋ねられて、僕は思い返す。

「……優しい夢だったよ」

「それならなんで」

「優しくて、かなしい夢だったんだ」

 そういって、僕はさらに力をこめて水心子を抱き締めた。蛙が轢かれたような声がしたので力を緩めたが、それでもしばらくは水心子を放すことはできなかった。

 僕らが朝食のことを思い出したのは、偶々らしく部屋の前を通り過ぎた主だった。主は、出会ったときと変わらない中学生ほどの外見をしていた。そもそも出会って1年も経っていないのだ。主があんなに大きい訳がない。彼は「仲が良いのは良いけどご飯を食べてからにしたら?」と優しく笑った。あの夢の中の月のように。

 夢だった。月の夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

了

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