▼明けましておめでとう御座います。元旦から煩悩塗れです
pixivからの転載
まだ酒豪連中は大広間で酒を飲んでいる。まだこの部屋に喧噪が僅かに届いてきていた。元日の夜である。
「あいつらは元気だな」
「はは、そうだね」
私室に戻って蒲団を敷く水心子と清麿は、既に寝間着だ。短刀男士たちと同じ頃に大広間から離脱した2振りは、風呂に入り部屋に戻ってきていたのだった。大晦日に取り替えたばかりの敷布はぱりっとしていて肌触りがよい。掛け布団を敷きながら、ふと水心子は尋ねた。
「そういえば、清麿。お前はいいのか」
「うん?」
「お前も酒が好きだろう。一緒に飲んでくればよかったのに」
同様に掛け布団を敷いていた清麿は、水心子にそう言われて、ふと微笑んだ。その笑みに、艶を見出して水心子は僅かにたじろぐ。清麿は、蒲団の傍らにしゃがんでいた水心子の傍にそっと躙り寄ってきた。そして、彼の頬に手を添える。
「お酒もいいけどね。今夜は君に酔いたいな、水心子」
「そ、それってどういう」
「ふふ、わからせてあげるからこっちにおいで」
そういって、清麿は水心子を蒲団の上に引き倒す。そして、水心子に口付けをすると、彼の寝間着を脱がそうとして――
「だ、駄目だ!」
顔を手で突っ張られた。
まさかの制止に、清麿は途惑った声を出す。顔は突っ張られたままだ。
「ど、どうしたんだい水心子」
「知らないのか、ひ、姫始めは2日からだぞ! 1日にしちゃいけない! 今はまだ1日の夜だ!」
そういわれて、清麿は突っ張られたまま、水心子の主張は納得した。
姫始めとは新年初の夫婦の交合を指す。水心子と清麿は男同士であり夫婦ではなくそもそも結婚もしていないが、まぁざっくり言えば新年初の交合はだいたい皆姫始めと考えてもらいたい。水心子もそれを主張したいらしい。清麿の顔を突っ張ったまま真っ赤な顔で言う水心子に、手を1本1本外した清麿は肯いた。
「成る程。確かに2日からだったね」
「そう、だから」
「だからあと1時間か2時間かな」
「えっ」
「挿入しなければいいんだろう」
そういって、清麿は水心子を蒲団の上で抱き締めた。そして、その手が水心子の体を寝間着の上から滑る。
「んっ」
「……服の上からのペッティングだけなら、交合に入らないだろう」
「き、清麿」
「大丈夫」
清麿は、水心子の顔の間近で微笑んだ。いつも通りの優しい笑みだった。
「気持ちいいだけだから。声も我慢しなくていいよ」
そういって、水心子の尻を撫でた。
「んぅ」
水心子の腰に跨った清麿は、寝間着の裾の上から脚をなぞった。つつつ、と指が這う感覚がぴくりと僅かに水心子の体を震わせる。何度か上下したのち、その手は水心子の脇腹を布の上から撫でた。以前はくすぐったいだけの感覚だったが、今はそれだけで熱に変わる。水心子自身に集められる熱に。清麿の手で変えられた部分の何と多きことか――水心子が既に喘ぎはじめていると、その手は1番案じていた部分に触れられた。乳首の上だ。服の上から正確にそこに触れられた。びくりと体が跳ねる。
「ん、っ」
「あぁ、ここかな」
「なんで、わかっ」
「僕が水心子に何回抱かれてると思う? 数えてごらん」
「……憶えてない」
「それぐらいだよ」
「んっやめ、んんっ」
説明しておくが、彼らの着ている寝間着は冬向けの、比較的厚手のものだ。しかしそれでもとても厚いというわけではない。そういうわけで、清麿が水心子の寝間着越しに乳首へ与える刺激は、敏感にされていたそれに十分な影響を与えた。かりかり、かりかり、爪で引っ掻く。
ふと片側の手が乳首から離れたが、その手は腰や尻、脚を何度も往復する。敏感になりはじめた体に、それは十分な刺激だった。乳首に、脚に、腰に、尻に――それが何度続いた頃か。ふと、清麿が破顔した。
「あは、水心子の、硬くなってる。僕のおしりに当たってるよ」
「……っ!」
羞恥でさらに顔を赤らめる水心子に、清麿は艶やかに笑いながら謳うように言う。
「嬉しいなぁ、気持ちいいんだね。早く0時にならないかなぁ、僕、ちゃんと後ろの準備をしてきたんだよ。元日だってことを忘れててさ。早く君に抱かれたいなぁ、いっぱい入れて欲しいなぁ……」
その間にも撫でる手は止めない。手を交互に入れ替え、過敏になっていく水心子の体は、清麿の下でびくびくと震えていった。
0時を告げる、時計の鐘が鳴る。それに、清麿は顔を上げた。彼の下でこの2時間弱体を震わせていた水心子は、すっかりぐったりとしていた。その代わりといわんばかりに彼自身は強く主張している。それににこにこと機嫌良く笑っている清麿は、一旦彼の体の上から退いた。戸棚へと向かう。中には潤滑液の瓶が入っていた。それを取って戻ってきた清麿。水心子の下の前を寛げようとして――その手を掴まれた。
「えっ」
「……いい加減に、しろ。清麿」
瓶を取り落とす。それは蒲団の上に落ちた。それに構わず、水心子は起き上がり、清麿を蒲団の上に引き倒した。先程と逆転した位置関係。水心子は素早く清麿の寝間着の下を開くと、彼の下穿きを脱がせた。清麿が止める暇もない。水心子は清麿の脚を開くと、潤滑液の瓶から中身を手に注いだ。そして、清麿の後孔にそれを宛がう。
「ひゃっ……冷たい……」
「我慢しろ。僕も2時間我慢したんだ」
水心子の声が低められていた。清麿が恐る恐る見ると――水心子は、普段見せないような、「雄」の顔をしていた。水心子自身も猛っているのがわかって――清麿は背筋を粟立たせた。それは歓喜によるものだった。
水心子は、清麿の中に潤滑液が充分滑り込んだことを確認するや否や、自分自身を下穿きから取り出す。それは2時間弱の清麿によるペッティングによりすっかり硬くそそり立っていた。それを見て、清麿は自ら両脚を大きく広げる。
「ん……水心子、来て」
「いわれずとも」
「――あっ、あっ……!」
水心子は、避妊具もつけずに清麿の中に自身を突き入れた。常の彼ならあり得ないことだった。傍に見当たらなかったのもある。しかしいつもの彼ならば準備も怠らなかったし、探したはずだった。それが、なんの余裕も遠慮もなく清麿の中に突き入れられる。清麿は薄い膜越しではない感触に、歓喜に震えた。びくびくと腰を震わせる。
水心子は何度も自身を抜き差しした。突き入れられる度に、清麿は何度も高く喘いだ。清麿自身も先走りが垂れ、そして絶頂がもうすぐそこだった。清麿は喘ぎながら言う。
「水心子、すいしんし、イく、イっちゃう」
「僕もだっ……」
「ぎゅって、おしり、ぎゅってするから、水心子もイって……」
宣言通り、清麿は後孔を締める。その感覚に、水心子は堪らず後孔の中で精を放った。最後に前立腺を掠ったことで、清麿自身も白濁を放った。
互いに息が荒い。水心子が自身を抜くと、清麿が「んぅ」と小さく喘ぐ。それに再び火が点きそうだ、と水心子が思っていると、清麿は、とろりと溶けた目で言う。
「すいしんし、きもちよかった……? 僕はすっごいよかったよ……」
「――もう1回するぞ」
「えっ、水心子? えっ、んっ」
途惑う清麿の口を口で塞ぐ。そして清麿の両脚を抱えたのだった。
翌朝、寝不足で朝食の席で船を漕いでいる2振りの姿が見られた。
了