pixivからの転載
余所の山鳥毛は、所謂すぱだりという個体が多いらしい。そうでなくともヤクザ。審神者に好意は示してくれるが、それは飽くまで臣としてのものだという。
この本丸の山鳥毛といえば。
「小鳥、……今宵、閨を尋ねても良いだろうか」
これである。
縁側を歩いているときにすれ違いに囁かれることもあれば、書類を渡しに来たときに言われることもある。なんなら食事の席でも隣に座っているときに醤油を渡してくるときにもぼそっと話してくることもあるから気が抜けない。とにかく、山鳥毛は自身を閨に誘ってくる。
それを断ったことのない自分も自分なのだが。
ゲイとして生きてきて30年と少し。所謂クマ系、テディベア系と評される自分はゲイの1部の需要はあった。だが、刀剣男士たちの性的嗜好はどうなのだろうか。確かめたことはないからわからない。少なくとも、ここの山鳥毛は、割と最初から自身に誘いを掛けてきていた。どこで調べてきたのか、最初から後ろの準備を済ませて、どこで調達してきたのか潤滑液の瓶を持ってきて。おかげではじめての山鳥毛との性交渉も比較的スムーズに済んだし、山鳥毛も嬉しそうに満足していた様子だったから、それはよかったと思う。
しかし、気になった。他にも一般的な美形の刀剣男士もいる。なぜ自分なのだと――今宵、閨に迎えた山鳥毛に、自身は改まって尋ねた。いつもと様子が違う自身に警戒心が出たのか、「なんだね」と尋ね返してくる。
「なんで俺なんだ?」
「え?」
「はっきり言って俺はゲイ……男の同性愛者の1部界隈にしか受けない見た目をしている。なのにお前は最初から俺のことを閨に誘ってきたよな。なにか遠慮していることでもあるのか、……山鳥毛?」
「……」
山鳥毛は寝間着のまま、顔を伏せる。そして顔を背けると、前髪を掻き上げた。薄暗い夜の中、山鳥毛の顔に赤みが差したのを俺は見た。
「……笑わないで聴いてくれるか」
「努力する」
「………………一目惚れだったんだ。悪いか」
「――それはそれは」
「あ」
立ったままだった山鳥毛の片手を引っ張る。そして胡座を掻いていた膝の上に、山鳥毛の体を乗せた。筋肉がある分それなりに重いが、これぐらい自分の体重ならなんともない。そして間近に迫った山鳥毛の顎を引く。
「光栄の限りだよ」
「……ん」
山鳥毛の腰を撫でる。口付ける唇から、山鳥毛の吐息が漏れた。
山鳥毛の寝間着が乱れる。ほとんど帯紐で引っ掛かっているだけの状態だ。
山鳥毛は自身の股座に跨ると、潤滑液で湿らせたそこが俺自身を受け入れる。騎乗位に近い体勢で、僅かに上体を起こしている自身の突き出た腹に、山鳥毛の立派な逸物が引っ掛かって、俺の腹を湿らせた。がくがくと体を揺らす山鳥毛は、ほとんど掠れた声で囁く。
「あっ……小鳥、小鳥」
「なんだ。ここがいいのか」
「うぁっ」
慣れたもので、俺自身で山鳥毛の中を引っ掻く。山鳥毛はびくびくと体を震わせた。
しばらくそうしていたかと思うと、山鳥毛はゆっくりと腰を揺らしはじめる。後孔に俺自身を抜き差しした。直前まで引き抜いて、また深く突き入れさせる。その度に「ぅ、ん」「あっ」などと声を上げる。掠れた声ははっきりいって耳の毒だ。忍耐して自分の腰を動かさないようにしたが、山鳥毛が自ら腰を振り喘ぎ声を小さく上げるものだから堪えがたい。
「うっ……小鳥」
「気持ちいいところは見つかったか?」
「もう少しっ……」
腰に手を添える。山鳥毛の腰の線は美しい。つつ、となぞる。「う」と山鳥毛は小さく唸った。それでも腰を振ることはやめない。
不意に、山鳥毛の腰が自身の股座にべたっとくっつき、彼の中を深く穿った。
「あっ……!」
再び体がびくびくと震えた。山鳥毛の自身は硬くそそり立っている。この彼の逸物は、この本丸に顕現した以上誰にも使われることはないのだ。それを思うと、優越感や征服感といった感情も浮かぶ。そしてそれ以上に愛おしかった。堪らず抱き締める。俺の突き出た腹と山鳥毛の引き締まった腹の間に、山鳥毛のそれが挟まった。俺が腰を振ると、俺の肩を掴んだ山鳥毛が声を上げる。
「やめっ、こすれる、こすれるから、離してくれ、腰を振らないでくれ」
「嫌だ」
「あっ、あっ」
蒲団の上に引き倒す。山鳥毛の脚を抱えると、体をくっつけたまま俺は腰を振った。ピストンする度、山鳥毛の声が上がる。垂れた先走りで俺の腹はもうびしょ濡れだった。
山鳥毛の中を深く抉る。
「山鳥毛、イくぞ」
「あっ……私もっ……」
ピストンする速度が上がる。何度も擦ると、山鳥毛の腰が震えた。後孔が強く引き締められ、俺は山鳥毛の中に精を放つ。それとほぼ同時に、山鳥毛の精が俺の腹の上に放たれた。
置行灯の薄明かりが灯る中、喘鳴にも似た息切れが部屋に響く。俺が山鳥毛の顔の刺青に唇を落とすと、彼は幸せそうに微笑んだ。
了