pixivからの転載
真っ白い四角い部屋。隅にはダブルベッド。机の上には小瓶がある。それらを一通り眺めた山鳥毛は、腕を組みながら真正面の扉を見た。鋼鉄製で、どう足掻いてもぶち破れそうにはない。
「このけったいな部屋はなんだね」
審神者は頭を掻いた。今日は非番を決め込むつもりで、いつもの狩衣ではなく着流し姿だった。
「あー、特定条件を満たさないと出られない部屋だね……俺何回目かなあ遭遇するの」
「バグか何かか」
「らしいよ、よくわかんないけど本丸に紛れ込むことがあるんだ。さて……俺の嫌な予感が当たったとすれば……」
2人が扉を眺めていると、その上に掲げられたプレートに文字が浮かぶ。左から右に、墨色の文字が……
「……『セックスしないと出られない部屋』。直球で来たな」
「……小鳥よ。その、つまりそういうことか」
気まずそうに見下ろしてくる山鳥毛に、審神者は溜息を吐く。
「そういうことだね。あー嫌だ嫌だ、前は3Pしないと出られない部屋でそのときは外から助けてもらえたけど、今回もそういう幸運に恵まれるとは思えないし。しょうがない、山鳥毛、ヤろう」
「そうか。それでは、小鳥。横になってくれ」
「山鳥毛が横になってよ」
「……」
「……」
見つめ合い、互いに黙る。それが数十秒ほど続いただろうか。じり、と間合いを取り合う。そして、突然互いに両腕を掴み合った。ベッド際で攻防した。
「まあ待ってよ山鳥毛、俺は男を抱くのに慣れてるよ。そりゃ最近は抱く方はご無沙汰だけどさ、経験がある方に任せた方がいいよ」
「小鳥の意見には一分の理がある。しかし膂力が強い方が抱かれる方の喘ぐ力に対抗できるんじゃないか」
「本音を言いなよ山鳥毛」
審神者が睨むと、山鳥毛は言った。
「抱かれるのは嫌だ。抱きたい」
「俺もだよ! あっくそ、寄り切るな、あっ」
審神者がベッドの前に来た途端、山鳥毛はそのタイミングを見計らって足払いをかけた。バランスを崩した審神者がベッドに沈み込む。無闇にスプリングの利いたベッドだ。ぎしぎしと音を鳴らすベッドの上で、2人は見つめ合う。しばし黙っていたが、山鳥毛は審神者の体をベッドに押し上げ、指ぬきグローブを外すと、それを放って自らのネクタイを緩めた。押し倒されたままの審神者を見下ろして、微笑んだ。
「大丈夫だ、小鳥。できるだけ優しく抱くからな」
「嫌だって言ってんじゃん! くっそ、あ、帯を解くな!」
山鳥毛は、審神者の両手首をまとめて抑えた。空いた右手で審神者の着流しの帯を解く。そして、境目から素肌に触れた。びくりと審神者の体が揺れる。
「ちょっ……と」
「力を抜け、小鳥」
「んっ……」
する、と山鳥毛の手がゆっくりと審神者の体をなぞる。腹から、腰にかけて。着流しもはだけ、下穿きが露出する。恥ずかしそうに身を捩る審神者に、山鳥毛は内心楽しくなってきた。着流しの中に突っ込んだ手で、浮いていた審神者の背骨をなぞった。体が跳ねる。過敏な反応に、山鳥毛はうっそりと微笑んだ。着流しの前を開き、鎖骨に唇を落とす。そして囁いた。
「……随分開発されているのだな」
「うるさっ……! あ、やだ」
抵抗を再開しようとした審神者だったが、指で乳首をなぞられてその気概が萎える。唇が宛がわれ、吸われる。審神者はびくびくと震えた。
「やっ、あっ、~~っ」
10秒ほど吸われたのち、唇が離れた。審神者は顔を背けながら息を荒げる。山鳥毛は、審神者の自身が下穿きの中で形を持ちはじめているのを見て、それから審神者の背けられた顔、普段は髪で隠れている耳を見た。真っ赤だ。それを見て悪戯心が起きる。腹や腰を撫でながら、そっと耳打ちした。
「気持ちいいのか、小鳥」
「んっ……!」
1番強い反応だった。抑えていた手が持ち上がろうとする。それを力尽くでねじ伏せながら、山鳥毛は、耳を咥えた。
「やっ……!」
身動ぎする。それをねじ伏せたまま、耳を甘噛みした。そして耳朶に舌をなぞらせると、声もなく――噛み殺している――審神者は震える。それに愉悦を感じながら、耳の孔に舌先を突っ込んだ。舌先を細く尖らせ、唾液で湿らせ、音を立てて蹂躙する。審神者は口をはくはくと開閉させていた。それを眺めていた山鳥毛は、ふと舌を離すと、耳に息を吹きかけた。
「耳が弱いんだな、小鳥」
「っ――あっ……!」
「ん?」
審神者の腰が揺れる。見ると、下穿きから主張していた審神者自身が萎えていた。そして下穿きが濡れている。それはつまり、と山鳥毛は言う。
「……耳だけでイったのか」
「……うう……」
見下ろすと、審神者は哀れなほどに顔を真っ赤に染めている。唾液で湿った耳はぬらぬらと照らされていた。そして、山鳥毛は残酷な事実を告げる。
「小鳥よ、小鳥が達してしまったのは事実だが……私はまだイっていない」
「…………つまり」
審神者は一挙に青ざめた。
「まだ付き合ってもらうぞ」
「うえ、も、もうやだあ、恥ずかしい」
「恥ずかしがり屋は私の専売特許だぞ。安心しろ、痛くはしないと」
「体は痛くなくても心は痛いよお、あ、ひゃ、やめ」
既に抵抗することは諦めたらしい、手首の拘束をやめても暴れることはなかった。脱力しきっていたのもあるようだ。そんなことを思いながら、山鳥毛は審神者の下穿きを脱がせた。先走りと精液に塗れている。それを放ると、ベッドの脇に置かれていた机の小瓶を手に取った。「潤滑液」とわかりやすくラベルが貼られているので、それを使わせてもらう。手にとって滑らせて温めてから、審神者の後孔に宛がった。びくりと体が震える。
「ちょっと待って、やだ」
「早く済ませたいだろう? 大丈夫、ちゃんと慣らすから」
「そういう問題じゃ――あっ、あっ!」
充分湿らせた後孔、そこを山鳥毛の指が滑り込んだ――そして拡張を済ませると、置いてあった避妊具を装着する。審神者の裏腿を持ち上げると、後孔に山鳥毛自身を宛がった。震える審神者に、山鳥毛はできるだけ優しく微笑んだ。そうしたところで、それは猛禽類の笑みだったが。
「大丈夫だ、充分慣らしたからな」
「あ、やだ、やだ、あ、――っ!!」
膝を抱えて、審神者の中に山鳥毛自身を挿入した。一挙に最奥を突いたそれは、ゆるゆると引き戻され、ゆっくりとまた最奥を突く。緩急をつけたその動きに、後孔で性感を覚えることに慣れてしまった審神者の体は、触れられずとも再びぐんぐんと形を成していった。山鳥毛自身がぐいぐいと前立腺を刺激することで、どんどん強張っていく審神者自身。その度に後孔が締めつけられていく。締めつけることで審神者は更に性感を高めていき――最奥が強く強く抉られたとき、審神者は仰け反った。
「あっ、あっ、あっ……――!!」
「くっ……!」
審神者の精が放たれ、ほぼ同時に山鳥毛も避妊具越しに審神者の中に精を放った。
どうやってもぶち破ることのできなかった扉。そこから山鳥毛と審神者が出て来たのは1時間ほどのちのことだ。取り囲んでいた面子は驚いた。なんと、いつも腹の底を見せない審神者が泣きじゃくっているのである。その肩には山鳥毛の上着がかけられていた。何とも気まずそうな山鳥毛。そんな彼らに突撃したのは、初期刀の加州であった。
「主、何があったの。言ってごらん」
「さ、山鳥毛に」
泣きじゃくりながら審神者は言った。
「ちょもに、耳イキされまくったっ……嫌だっていったのにっ……」
「…………すまん。楽しくなって、つい」
審神者の乱れた髪。常は隠れている髪から覗いた耳は真っ赤に染まっていた。
了