※この作品はR-18です。

刀剣乱舞SS集(BL・NL・友情主従ごった煮)   作:駒由李

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CCP一人称語り、くりちゃん主体の家族パロのようなものでホラーっぽいの。CCPと大倶利伽羅が兄弟です。都合上へしさに前提(長谷部:父、審神者:母)。ノリは「【実録】昨日、姉が備前国の審神者に着任しました。(https://syosetu.org/novel/85874/6.html)」に近いです。
何となくここでは
父:長谷部(社畜公務員)
母:審神者(♀)故人
兄:CCP
弟:大倶利伽羅 と決めてます。
▼2週間ほど前から私が咳喘息がぶり返しまして……今は薬のおかげかほぼ治まってますが偶に咳をすると長引くこと 季節の変わり目なので皆様もお気を付けて 特に冬場、喉の奥が血の味がするような方
pixivより転載


【とうらぶホラー】くりちゃんと僕 苦【現代パラレル】

卵が先か、

 

 時々語っていたことだと思うけども、ウチではくりちゃんが調理担当だ。僕はどちらかと言えば掃除や洗濯の担当。父は偶に気紛れに皿を洗うが乾いた食器の上に濡れた食器を重ねるのはやめて欲しい。閑話休題。

 そう言うわけで、安売りしていた食材や親戚の農家からもらった野菜などを繰り回して日々の献立を立てるのもくりちゃんだ。主に夕食が担当で、朝食と昼食は家族が各々で勝手に食べている。朝食の白米はくりちゃんが夜に米を研いで予約炊飯をしている。それもともかく。

 くりちゃんは父が夜勤のときは手を抜く。野菜が欲しいと言う父に対して、くりちゃんと僕はまだ動物性たんぱく質だけでも大丈夫だからだ。そのうち駄目になってくるのだろうけど……それでくりちゃんは、彼と僕のときだけは卵料理を作る。本当に簡単なもので、目玉焼きか炒り卵か……気が向けば卵焼きを作る。変則で2人分のパスタと言うこともあるが、今回重要なのは卵のことだ。

 その卵は、安売りの日にくりちゃんがスーパーから買ってきたごく普通の10個入りパックの卵のはずだった。くりちゃんはいつも通りに卵を割った。

 出て来たのは髪の毛だった。

 ぞるんと長い黒髪。それが黄身や白身に混じってボールに流れ出て来た。

 くりちゃんの声なき悲鳴。僕は偶々テレビを観るためにリビングにいたので気付けた。そしてその現場に駆け付けたのだった。

 ……僕はそっと、ゴミ箱に卵と一緒に髪の毛を捨てた。

 さすがにその晩は卵料理を作る気にはなれなかったようで、ミートソーススパゲティになった。

 以来、くりちゃんが卵を使うのを躊躇っているのを僕は何度も目撃することになる。

 

 

 

 

 

老いの繰り言

 

 さて。僕たちの地元は田舎だ。どれぐらい田舎かと言うと、市内を移動する手段がほとんどバスしかないという点だ。私鉄はあるのだけど、それもほとんど使われないので万年赤字だ。

 くりちゃんもそのときバスに乗っていたという。

 家に帰るためのバスで、夕暮れ時。くりちゃんはマナーを守る子なのでスマートフォンを弄ることもなくぼんやりと窓の外を眺めていたらしい。いつも通りの地元の風景。

 不意に、気付いたと言う。

 くりちゃんは後ろの方の席に座っていた――前半部分は優先席なので――らしい。その後ろの席から、ブツブツと声が聞こえて来た。それはどうやら老婆の声のようで、何を言っているかまでは聞き取れなかったと言う。くりちゃんは不気味に思ったが、それだけだった。田舎ゆえ、不審者は多い。そう言うものだ。慣れてしまったくりちゃんはこれもそういうことだろうと思った。

 くりちゃんが降りるときまでその声は続いていたらしい。鞄を片手に立ち上がったところで、ふと後ろを向いた。

 後ろの席には誰も座っていなかったという。

 

 

 

 

 

ヌシ

 

 くりちゃんが小学校1年生のときのこと。

 くりちゃんとは高校まで同じ学校だったから知っていることだけど、ウチの小学校は1年の学年のみ校舎が振り分けられている。例えて言うなら2年生以上が東校舎で1年生のみ西校舎の1階。具体的な方角は忘れたけどだいたいこんな感じ。

 それで1年生の教室の外は4クラス分ぶち抜いた土地が庭になっている。

 そこに、コンクリートに池がある。2つの長方形の短い方の辺の角を重ね合わせたような形だ。これが僕の頃から変わらず淀んでいて、何が棲んでいるかもわからない。藻で覆われているような状態だと言う。大人になった今は、あれは危ないんじゃないかと思う。小学校1年生の子どもなら簡単に溺れてしまう。しかしくりちゃんの頃にも変わらずそれはそこにあった。

 これは水に対する恐怖心なのだろうか。僕の頃から変わらない怪談がある。

 この池には鰐がいると言う。

 地下水道の都市伝説のようだけど、そんな話がある。勿論鰐など棲めるほどの大きさではない。それに鰐がいればあんな浅さの池など簡単に出て来てしまう――要はそこが話の肝らしい。

 くりちゃんはこの頃からクールだったので、そう言う話は信じていなかった。幽霊や妖精の類を感知できるからこそのクールさだと思う。

 けれど1年生の秋も深まった頃。くりちゃんが何気なく池の傍にいたとき。

 何かが背を見せたという。

 それの顔を見ることはできず、くりちゃんが見たのは背中。それも随分大きくて、そのあとシンン……と池は静まり返った。

 そのときのことを思い出して語ったくりちゃんは、最後にこう締め括った。

「多分、あれは鯨だったな」

 

 

 

 

 

 

 

引き潮

 

 ウチの母は亡くなっている。もう9年前のことだ。持病が悪化してのことだった。

 そういうわけで我が家には母の仏壇がある。父も亡くなればここに収まることだろう。まぁ、人間なんていつ死ぬかわかったものじゃないから僕やくりちゃんが先に入ることになるかも知れないけど。

 それはそれとして、日頃仏壇のお膳を取り換えているのはくりちゃんだ。これは特に取り決めをしたことではなく、ただなんとなくくりちゃんが担当しているだけのことだ。僕はと言えば、あまり死に纏わることに関わりたくないと言うのが本音で、週に1回線香をあげるのがいいところだ。お盆の迎え火や送り火もさして熱心ではない。くりちゃんはと言えば、見えるからだろうか。割とこういった先祖崇拝的なことに熱心だ。

 そんなくりちゃんが、その日もお膳を変えていたときのことだ。

 抽斗から替えの水入れを取り出したとき。ふと、くりちゃんは波の音を聞いた。

 不思議に思って水入れを見ると――器の中で、水が潮のように押し寄せては引いていった。

 それは一瞬のことで、くりちゃんが目を瞬くと元の空の器だったという。

 さて、母はどこにいるのだろう。

 

 

 

 

 

 

探し物はなんですか

 

 仏壇繋がりになる。

 唐突だが、くりちゃんが咳喘息になった。否、喘息自体は以前から発症していたのだけど、ここ数年はなんともなかったらしい。ところがこの季節の変わり目に激しい咳をするようになった。しかし熱はない。なので近所の呼吸器科に受診したところ、「咳喘息がぶり返した」と言うことだった。

 そういうわけで処方されたのは、咳止めと吸入薬。詳しいことはわからないけど、後者は長期的に服用することでじわじわと喘息の炎症を抑える、らしい。朝晩1回ずつ吸入するもの。要は中断するとまずい。

 まずいのに、くりちゃんはそれを紛失してしまった。

 くりちゃんの過失はあまりない。いつも通りテーブルの上に置いていた。その日は美容院に行って散髪してもらった。ところでくりちゃんとは同じ美容院に行っているのだけど、くりちゃんが美容師さんとどんな話をしているかは知らない。多分黙々と雑誌を読んでいる気がする。それはともかく。

 夜になってくりちゃんが薬を使おうとしたとき、はじめて紛失に気付いた。くりちゃんはまずい、と思った。探し回ったし、まさか飼い猫が玩具にした可能性も考えて常に扉を開け話している父の部屋まで訪ねて猫の様子を見たが特に何もなかった。なかったから困った。元々この時点でかなり眠かったくりちゃんは諦めて寝てしまった。

 翌朝、僕が訊かれたけど勿論わからない。否、心当たりはちょっとあったが、僕の心当たりはと言えばテーブルにぶつかって吸入薬を転がしてしまい、それを拾い上げて元の位置に戻した……というぐらいだ。くりちゃんはこの日は祝日で病院が休みだったので、翌日紛失の旨を伝えて病院で吸入薬をもらいにいく心構えをしたそうだ。それはそうとして仏壇のお膳を替えようと、替えの器を取るために抽斗を開いた。

 果たして、そこに吸入薬はあった。

 断っておくが、僕は先述の通り仏壇にはあまり近寄らない。少なくともこの日の前日からこの日にかけては一切近寄っていないのだ。そして帰って来た父も「入れてない」と言う。

 では誰がここに入れたか。よりにもよって仏壇の抽斗に。

「……母と言うことにしておくか」

「普通にホラーなんだけど」

 それはそれとして、わかりやすい場所なので今後も吸入薬は仏壇の抽斗に入れておくつもりらしい。ちょっとやめて欲しいな、と思った。

 

 

 

 

 

了

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