pixivより転載
刀剣男士の服の損耗率は高い。何せ真剣必殺すると服が脱げてしまう。ただ、衣服に関しては手入れをすればいかなる仕組みでか直る。
問題は靴下や手袋などの小物だ。こういったものはあまり直らない。要は外から見える部分の衣服は直るらしい。
このために万屋ではそう言った小物が売られている。ただ、中には万屋まで行くのすら面倒くさいと言う無精者もいるので、Sanizonでは靴下の纏め売りなどもしている。
火車切は無精者と言う訳ではなかったが、偶々内番などで忙しかったのでSanizonで注文した。
靴下である。
朝に着替えようとして、箪笥の靴下がほとんどないことに気付いた。まだ比較的低練度の火車切は、出陣する度に負傷することが多かった。靴下も同様である。踏ん張って、靴の中で靴下が擦り切れるのだ。刀剣男士の膂力についていける繊維は限られてくる。
火車切はその場で考え、これから朝食であること、そのあと内番もあることを思い出し、買い出しに行く暇はないことと明日の朝まで忘れてしまいそうだな、と考え、その場でSanizonで注文した。
このとき適当に「靴下 まとめ買い」で出て来たものをタップして買ったのがまずかった、とのちに火車切は振り返る。
その場に落ちて来た段ボール箱を視認し、着替え終えた大倶利伽羅に「先に行くぞ」と声をかけられたので慌ててついていった。
……さて、夜である。
「あー疲れた」
ぼやきながら火車切は自室に入る。既に夕食と入浴を済ませてあとは寝るだけだ。布団を敷こうとしたところで、足元にぶつかるもの。――今朝注文し配達された段ボール箱。
(忘れてた。開けとこう)
火車切はちゃぶ台のペン立てに入っていたカッターナイフを取り出す。新参者の刃物は気に入らないと言う感覚は彼にもあるが、そんなことを言っていたら日常生活が送れないので彼は素直にこういった日常使いの刃物を使っていた。
さて、段ボール箱の中身である。箱相応に中身は小さい。まとめ買いと言っても精々5足程度だったはずだ。火車切はそう思いながら中の袋を取り出し――眉間を顰める。
(……丈が長い気がする)
火車切は訝し気に矯めつ眇めつ靴下を見る。色も黒を指定したつもりだったが、白だ。寝ぼけていただろうか……火車切はそう思いながら、試しに履いてみることにした。
爪先を伸ばして靴下を履いていく。……やはり丈が長い。やけに長い。ハイソックスよりも長い――最終的に、その靴下は膝上に来た。
ニーソックスと言うものだと、靴下の入っていた袋を見て知った。
「……今の時期は寒いから丁度いいけどさ……」
「入るぞ」
そのとき、障子が開いた。
寝間着姿の大倶利伽羅だ。彼に「あ、お帰り」と声をかける、ごくいつも通りの声音の火車切。そんな彼を――正確には脚を――見た大倶利伽羅は。
彼の前にしゃがみこみ、言った。
「両方とも履け」
「えっ」
「そのままスるぞ」
「えっなに? えっ? どうしたの? なんで?」
「いいから」
大倶利伽羅にぐいぐいと押し込まれた火車切は、戸惑いながらも両方履く。そしてそのまま押し倒された。火車切は何が彼の琴線に触れたのか翌朝鬱血痕だらけになってもわからなかった。
裸ニーソなるジャンルを知ることになるのはだいぶあとのことだ。
了