▼私が高校生の頃の時点で中学生が合コンするの珍しくなかったみたいなんで……
pixivより転載
さて、俺はと言えば現在審神者の予備役に編入されている。
時間停止型審神者として、実質22歳まで前線に立っていた。契約期間はその22歳になる年度の3月まで。そして俺は元の男子中学生として現世に復帰した。
俺に課せられた規約はただひとつ、「2212年度3月までの未来の出来事を口外しないこと」。俺は2204年の秋に戻り――俺は他の審神者より少し早く、斥候として本丸に就任した――、本丸との鍵になる現世近侍の御手杵と共に現世で生活している。
現世での生活はこれはこれで平和だった。本丸での暮らしも平和だったけども、実の家族が傍におり、学友と共に学校生活を送る現代人としての平和というものもあるのだ。ついでに俺の近侍の他に家には弟の現世近侍が2振りいるので(通常現世近侍は一振りだけど弟は特例だ)安全面は審神者就任前よりぐっと上がっている。
ついでに言えば御手杵とは本丸にいた頃からお付き合いしているので、恋人の傍にいられるというのは十二分に幸せだった。
さて、それから中3に進級したある日のことだった。
「は? 合コン?」
「頼むって、俺の別のダチが休むことになっちまってさ!」
俺は今、同級生の友人に懇願されている。
中学生で合コンと言うのは別段珍しい話ではない。200年ぐらい前から普通だと聞いていた。下手をすると小学生が合コンすると言う話も聞く。勿論同じ年代の者たちが常識的な時間で行うから許されるものであって、これに18歳以上の者が加わっていた場合通報案件である。
それはともかく。
俺は頭を振る。
「行かないけど……」
「頼むって! お前顔良いから女釣れるし、飲み食いしてるだけでいいからさ」
「行かないって」
俺は困り切っていた。そう言う場に興味がないのもあったし、繰り返すようだけど俺は付き合っている相手がいる。現在霊体化して傍にいる御手杵がそうだ。俺が困惑していると――助けは他の同級生から来た。
「待て〇〇! そいつは審神者な上に刀剣男士と付き合ってるんだぞ」
――俺のいる時間軸は2205年4月。歴史修正主義者との戦が話題になって久しい。審神者と言う職が広まっている上に、俺は特段自分の仕事を隠していなかった。未来の出来事を口にしないこと、とは言われているけど審神者のことを口にしてはいけないとは言われていない。それに実のところ、ウチの学校に審神者は多い。同級生にも審神者がちらほらといるのだ。
その同級生に友人は首を傾げた。
「それは知ってるけど、こいつ顔は良いだろ」
「知らないのか?! 刀剣男士と付き合ってる審神者に恋愛的な意味で誰かが絡むと祟られるんだぞ!」
どこでそんな話を聞いたのか。
「マジで?! こっわ!」
信じるし。
友人は手を合わせた。
「ごめんな●●! 今度俺たち男だけでカラオケ行こうな!」
「うん」
そして友人たちは去って行った。
……トイレに入ってから、ぼそりと念話で告げる。
『……えらい言われようだったね、御手杵』
『はは、どこから仕入れた情報なんだろうな』
御手杵は横で笑っている。いつも通りの彼だった。よかった、怒ってない。はははと笑った。
『まぁその通りなんだけどな』
――背中に氷が落ちた。
『ヒン』
『少なくとも俺は祟るぞ。めっちゃ祟る』
『ヒイン……』
『あ、でも友達と仲良くするのはいいぞ!』
御手杵は隣でにこやかに笑った。ただし目は笑っていない。
『ただ、俺はずーっと霊体化して見守ってるからな』
『ヒイン………………』
そうだ、こいつは神だった。俺はすっかり背筋が冷却されたのだった。
了