▼作中の委員会、おすすめです ただ学校によって違うかも知れないからその辺調べてからにしましょうね
pixivより転載
主が帰って来た。大人になって。
審神者に就任してからずっと中学生ほどの外見年齢だったから、3月付で予備役編入したのち4月1日付で戻って来た、身も心も成人男性の姿になった主に少々戸惑ったものの、早くも本丸の面子は慣れつつある。俺もそのうちのひとりだ。尤も、主としては8年ぶりの本丸らしく現世近侍だった御手杵と共にやや困惑しているようだった。
それでも慣れつつあった主は、以前のように執務室でキーボードを叩いていた。少しだけ身長が伸びて、体の厚みが増した主は、それでもその姿だけは一緒だった。俺は、そんな主の背中をゴロゴロして漫画を読みながら眺めていた。加州と御手杵は遠征に行っている。代わりの近侍が偶々執務室の前を通り過ぎた俺だった。
俺は何周もした漫画を閉じる。暇だった。なので、丁度読んだ漫画の中の話を振ることにした。
「あのさー主」
「何かな」
「主って学生時代、イインカイって何入ってた?」
「その漫画学園ものだったのか」
看破された。さすが主、と思いつつ返答を待っていると、主は振り返らずに言う。
「中学までのはもう忘れたけど、高校は3年間選管だったよ」
「戦艦?」
「選挙管理委員会」
「あぁそっち。……なんで?」
俺は目を瞬く。ウチの主なら生徒会とか入るかと思ったからだ。確かに選挙管理委員会とはお堅そうな響きだが……俺が首を傾げていると、主は振り返った。つい先日までの幼い顔からすっかり大人びた顔つきだった。彼はにやりと笑った。
「選挙管理委員会ってお堅そうな響きって思ったでしょ」
「まさに」
「ところがどっこい抜け穴がある。選挙管理委員会って何するところだと思う?」
問い返され、戸惑いながらも少し考えてから答えた。
「選挙の管理……?」
「その選挙ってのは少なくともウチの母校じゃ生徒会選挙を指すんだよ。で、生徒会選挙と言えば年に1回」
主は言った。
「つまり、年に1回の投票の集計と開票しか仕事がないんだよ」
「――あ、つまり、楽したな?!」
「はっはっは。みんな気付かないもんでさ、選管って面倒そうな仕事だと思ってる奴が多くて。俺は無競争で楽な仕事にありつけたってわけ」
からからと笑う主は、それでも不意に表情に影を差した。
「抜けるところは手を抜かないとね……」
――変わった、と思う。
予備役編入前の主は、政府からの仕事を任せられて、それを社畜気味にこなしていた。でも、どうやら8年の予備役編入中にその傾向は抜けたらしい。よかったのだと思う。主は思い詰める節があったから。
(要はずる賢さに磨きがかかったというべきなんだろうけど)
「主、若い頃の苦労は買ってでもしろって言葉知ってる?」
「ハッ、老害の戯言だね」
主は鼻で笑って吐き捨てた。あぁやっぱり変わったな、と俺は思いながら「ところで仕事は進んだ?」と一応近侍としての仕事をするのだった。
了