※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

137 / 178
深夜ラーメンキメる病弱審神者と、「何してるんですか」と注意しに来た平野
pixivより転載


「それ絶対身体に悪いですよ」

 刀剣男士の作る料理は美味しい。特に料理上手の刀剣男士の番に当たると舌が喜ぶのを感じる。

 それはそれとして、ジャンクフードは食べたいのだ。

「みっそらーめん、みっそらーめん」

 口中で歌いながら、片手に袋ラーメン。私室に1番近い給湯室にこっそり入り込む。電灯を点けると、ぼう……と光が拡がった。誰もいない。深夜2時だから当然だろう。夜警の刀剣男士の目も潜り抜けて来た。抜かりはない。

 冷蔵庫を開く。ここは主に料理が作られる厨ではなく給湯室だが、目当ての食材は……あった。ベーコンとキャベツ、長ネギ、もやし、卵。バターと味噌、大蒜チューブ。乾燥わかめとみりんとごま油、焼きのりは棚の方だろうか。皿と箸と手鍋、メジャーカップを取り出す。

 皿に水を入れ、卵を割り入れる。黄身を菜箸で突いてラップをかけ、電子レンジへ。温める間にさくさくとベーコンとキャベツを切る。もやしは手早く洗った。手鍋にごま油を敷いて火を点け、切った食材と洗った食材を投入。炒めること、しばし。電子レンジの方で軽く爆発する音がした。振り返り、電子レンジが喚き散らす前に、「ぴ」の時点で扉を開く。ややラップがよれたが、卵はちゃんと半熟で固まっていた。それを取り出しつつ、手鍋のことを思い出す。そろそろ頃合いだ。

 バターを景気よく切って入れる。味噌とみりんもちょっとずつ投入。それからメジャーカップで500mlの水を。

 沸騰するまでに乾燥ワカメと長ネギを投入。その間にキッチンタイマーを準備しておく。2分30秒が俺の好みだ。……湯が沸騰した。

 ここで登場、俺のとっとき、袋ラーメン(味噌味)! 乾麺を投入しタイマーを仕掛ける。内包されていた調味料をラーメンどんぶりに入れる。ぐらぐらぐら、鍋が煮える。菜箸で麺を解しながら、手元のタイマーを睨む。

 ――1秒。そこでタイマーのボタンを押した。火を止める。

 手鍋を持ち、ラーメンどんぶりに汁を入れる。菜箸で手早く調味料を溶かし、中身を入れる。

 卵を皿から入れ、のりを折り切って飾る。コショウを適量。俺はにやりと笑い、テーブルにラーメンを置く。抽斗から適当に箸を取る。割り合い無神経な俺が主のためか、この本丸は誰がどの箸や皿、コップを使っても気にしないものがほとんどだ。俺は椅子に座り、手をそろえる。

「いただきまー」

「主」

「ヒョッ」

 低められた声がした。

 給湯室の入り口に、小柄な影――平野がそこにいた。俺が目を掻い潜って来たはずの刀剣男士である。今夜の夜警だ。

「深夜ラーメンとはいい御身分ですね」

「ヒョエエ……平野、よく気付いたね……」

「僕が夜警部屋から戻ってきたらあなたの気配が消えていたので。……夕食は存分に召し上がっていたでしょう。そんなに空腹なんですか」

「ままま、平野、お前も食べよう。今器に盛るから」

 ガタガタと席を立ちながら俺はなんとか茶を濁そうとする。濁すにも既に現場を目撃された事実に変わりはないのだけど。小さめの器に新しい箸でラーメンの1部を盛りながら差し出すと、平野は諦めた様子で溜息を吐いた。そして席に着く。

「このことは清光さんに報告させてもらいますからね」

「容赦ないね……」

「あ、でも美味しい。深夜に食べるにはあまりに罪深い味がしますが」

「油マシマシだからねえ。ベーコンもチャーシュー代わりに入れたし。野菜も入れたよ!」

「でも深夜ラーメンの罪は深いですよ」

「ヒイン……」

 顔を顰めながらも、お互いにラーメンをすする手は止めない。伸びてしまうからだ。

 やがて俺が先に、平野があとから皿を空にしたところで、俺は言い訳をする。

「でもさ、俺眠気が覚めちゃったからラーメン食べたわけで。そうしょっちゅう食べてるわけじゃ」

「眠気とラーメンに相互関係は……」

「いや、俺の場合はある」

 俺はごく真面目に顔を作った。平野の皿と箸を受け取り、シンクに置きながら。

「深夜にラーメンを食べるとすごく眠くなるんだよね」

「それ絶対身体に悪いですよ」

「あ、もう眠い。今皿洗っちゃうから拭くの任せていい?」

「主、今後深夜ラーメンは禁止です」

「そんなー」

 そんな、深夜の一幕。

 

 

 

 

 

了

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。