「一時的狂気表6を引いてしまいました、殺人癖あるいは自殺癖です」と言う感じの話 首絞めが性癖なので「首」に執着してそうな肥前が見たいな……と 以蔵さんのことメチャクチャ引き摺ってる肥前、性癖です ちなみに審神者はダイスの女神が味方してSAN値無事でした
▼前にも似たようなネタ書きましたがあちらは間接的な感じだったので今回は直接手を下してもらいました 大丈夫です、人死には出ません
pixivより転載
出張先で迷い込んだ森。そこで、俺と審神者は「それ」を見た。
あれはなんだ、と口に出すことすら憚られた。
それはあまりに冒涜的な存在だった。仮にも神の末席にいる俺ですら、いや、付喪神だからこそ、それは涜神的にもほどがあると思った。
口に出すのも憚られる存在。確実にこちらの正気を削って来る。
――そして、ぷつりとなにかが音を立てて切れた。
「……っ! ひぜ、」
草叢に審神者を押し倒した。驚く彼に構っている余裕はない。俺は出張先に合わせてスーツを着ていた審神者の首に手をかける。ギリギリと絞め上げると、かは、と審神者の口から息が漏れた。成人男性特有の太めの首には俺の手は少し小さいが、刀剣男士の膂力ならば十分に絞め殺せる。
そう、殺したいのだ俺は。この審神者を、――主を。
できるだけ長く苦しませたい。それが何に由来するものかはわからない。否、本当はわかっている。
止めて欲しい。だから、助けが来るまでできるだけ強くは絞めない。けれど沸き起こって来る殺人衝動が、目の前の青年を殺せと叫んでくる。
殺したい。殺したい。その死体を見下ろしたい。普段は、こんなことを思わないのに。
否。それも嘘だ。
俺は日頃からこの気持ちを上手に隠していた。ぶっきらぼうな態度で、自分の本音をひた隠しにしていた。もしかしたら、土佐の同郷たちは気付いていたかもしれないが。
審神者は予備役から現場復帰後、立派な成人男性として戻って来た。それを見て、俺は内心で愕然とした。
8年間中学生の姿をしていた子ども。中身は大人だとわかっていても、どうしても幼い庇護対象だと思っていた。それが、大きくなってしまった。
成長すると言うことは、老化すること。即ち――行きつく先は、死。
俺はそれに耐えられなかった。また主人を喪うことが。
それぐらいなら、俺がこの手で――
俺は気が付かなかった。強い殺人衝動のために、周りに気を配る余裕など欠片もなかったのだ。後頭部を強くどやかされ、俺はほぼ意識を失った。
……遠退く意識の中、聞き馴染んだ同郷たちの声がする。
「主、大丈夫かい?」
「首に痣ができちゅうの……」
「そ、それより肥前のことを」
「被害者なのに被害者ぶらないのは最早悪癖ぜよ」
ああ、俺は今代の主を殺し損ねたらしい。精神分析(物理)を受けた身として正気に返りながら、俺は今度こそ本当に意識を投げ出した。
「で、結局あれはどんな生物だったの」
「わしらが着いたときにはおらんかったのぉ。気をつけんといけんの、見たら1発で正気が失われる生き物なんぞ。のぉ、肥前」
「……そうだな」
了