▼強化プログラムの特級がいい感じの難易度でおらわくわくすっぞ! な審神者です 大侵寇はとにかく経験値が美味しくて楽しかったという思い出しかなくて……今回のプログラムで細かい記憶拾ってる感じですね
pixivより転載
梅雨の景趣から夏の景趣に切り替えて1か月近く経つ。政府からの報せが届き、審神者はふむ、と刀剣男士たちを大広間に呼び寄せた。
「えー、もう話は伝わってるだろうけど、期間限定で異去が封じられるそうだ」
それにざわ……と火車切に視線が集まる。火車切は「今の俺は何も知らないんだけど」と拗ねたように言うのだった。
その流れに構わず審神者はホロモニターを空中に掲げながら言った。
「そういうわけで異去周回部隊の大倶利伽羅、平野、大包平、不動、信濃、今剣は一時解体」
「そうか」
「わかりました」
「ふん」
「わかったよ」
「わかった!」
「でもあるじさま、どうせぼくたちにはまたしごとがあるんでしょう?」
今剣は不審そうに言う。それに、審神者は「ご明察」とホロの書類を広げて見せた。
そこには「対大規模模擬戦強化プログラム」とある。
そして、そこに記されていた名は……。
「大包平、大倶利伽羅、今剣、信濃、平野。それに七星剣、あ、待てこら七星剣どこに行く、丙子捕まえろ!」
「放せ、放せ! おれはもういやだ!」
俄かに騒ぎになる。外へ出せ、と喚きたてる七星剣。そんな彼をとりあえず神技で拘束したのは丙子椒林剣だ。ジタバタと光る蔦に縛られる彼に、審神者は傍へやってくると嘆息交じりに言う。
「七星剣、お前のことは異去には行かせてないでしょ」
「極にでもならんと練度が足らんという理由でな……!」
「大丈夫、強化プログラムは折れないから」
「折れない代わりに疲労はするだろう!」
「函館周回頑張ろうね」
「狂っている! この仕組みは狂っている!!」
――既に神技は解けていたが、七星剣は審神者に嚙みついておりそれに気づいていない。
そんな彼らを見て、丙子椒林剣は近くにいた平野に問う。
「七星剣はいつもああなのか」
「最初はよかったんですけど、あまりにもあちこちに毎日のように引っ張りだこにされるものだから段々とお怒りになられて……」
「まともな休みって、主が結婚して旅行に行ってた間ぐらいじゃないかな。それも去年の6月以来」
――丙子椒林剣は、ここは所謂ホワイト本丸だと思っていた。きちんとした采配、きちんとした手入れ、聞けば斥候として他の本丸より早く開かれた本丸だというが、それでも折れた刀剣は1振りたりともいないという。政府からの案件を請け負うこともあるようだが、それを本業に支障を来させたことはない。
ただし、七星剣は別のようだ。正確には、彼の神技のためだろう。彼と組んだ刀剣男士の練度を上げるというものだから。気力が50以上なければ効果が薄れるということで函館を周回させられてもいる。疲れれば疲れることをさせられて疲労が回復する。狂った仕組みだというのは丙子椒林剣も同意だった。
七星剣は叫ぶ。
「助けてくれ労働基準法!」
「いいことを教えてあげよう、七星剣」
審神者は彼の肩を叩いた。振り返った先の審神者の顔は、アルカイックスマイルと言うものだった。
「俺も訴えてはいるんだけどね。今のところ、付喪神に人権はない」
「助けてくれーっ!!」
「さあー今呼ばれたメンバーは集まって早速強化プログラムに行ってもらおうか」
「七星剣、諦めろ」
「お前は極カンストしても隠居の許されない身だ。その神技を持って来てしまったのが運の尽きだったな」
大包平と大倶利伽羅が無情なことを言いながら、七星剣を引っ張っていった。
既に夏の連隊戦でカンストしてしまった丙子椒林剣は、哀れな同胞を見送ることしかできなかった……。
「……主よ。特級だとおれは普通に吹っ飛ばされるのだが」
「でもお前がいれば経験値は上がるから、お前はこのまま編成続行ね。これからも宜しく」
「労働基準法……!!」
了