pixivより転載
雲生は至極真面目な顔で申し出た。
「再考してください」
「この決定は覆らないよ」
傍には加州がいる。審神者と雲生が対面する時は常に誰かが側にいることになっていた。この本丸に来てからの雲生の行状が酷すぎたゆえである。
審神者はモニターに貼りついている。画面に映るのは部隊長に渡してある式神だ。これを通して審神者は戦場を見る。尤も、今回の催物の特性上その式神は交代で渡されるのだが。
雲生はそれをはらはらと見ながら言う。
「ちよこ作戦は今回は遠慮しましょうと……!」
「遠慮する必要を感じないね。是が非でもウチの本丸はちよこ作戦に参加します」
「そんな……!」
「少なくとも雲次が出るまではやる」
「それを1番おやめ頂きたい……!」
最早雲生は審神者に縋り付いている。加州は刀の柄に手を伸ばしていた。それに気付いた雲生は手を引っ込めた。正座に戻る彼に、モニターから目を離さず審神者は言う。
「雲次とは仲良いんでしょ」
「それはそれとして、あなたと顔が似てるから色々やりづらいんですよ……!」
そう。先だって公開された雲次の容姿は、あまりにこの審神者に似ていた。七三で前髪を斜め分けしている雲次とナチュラルショートの審神者という髪型の違いはあれど、目鼻立ちや雰囲気が似ていた。恐らく外に出れば「あら、ご兄弟?」と言われるのは、雲生と雲次ではなく雲次と審神者の方と思われる。それぐらい似ていた。刀剣男士は本霊とデザイン担当が協力した結果美形に偏るが、この場合審神者も美形なのが偶然の一致だったのだろう。
絶賛審神者に横恋慕中の雲生にとっては堪らない話だ。
審神者は振り返った。その顔は「しれっ」という言葉そのものだ。
「俺としては具合が良いね。俺を襲おうとする度に身内の刀の顔がちらつくならやりづらいことこの上ないでしょ。だからそういう下心も含めて、雲次は絶対手に入れる」
「お慈悲をぉ……!」
「あ、10万ポイント貯まった。雲次来るよ」
「ああああああああ」
「さーて迎えに行こうか。清光、雲生、ついといで」
「ほーら行くよ。身内迎えに行くよ」
「あああああああああああああ」
立ち上がった審神者のあとを加州がついていく。左手で雲生の首根っこを掴んで引き摺りながら――
……受取箱から雲次を回収したときは、雲生は立ち直ってはいたが、酷く顰め面だった。
雲次は笑って審神者と握手を交わした。
「これから宜しく」
「こちらこそ! ……ところで雲生またなんでしかめっ面してんの?」
「さあね」
審神者は知らんぷりした。
その後本丸で過ごすうちにじわじわと事情を知った雲次が「雲生……君……」とドン引きすることになる。
了