pixivより転載
雲次。ちよこ作戦で新加入したお天気お兄さん系男士である。
この本丸では、審神者と双子レベルで似ている。なぜかは真相は不明である。本霊とデザイン担当がここの審神者を参考にしたのではないかと言う説すらある。少年審神者時代から「刀剣男士みたい」と言われ続けた審神者だったが、とうとうそっくりな刀剣男士まで出てきてしまったのだ。なお声が似ている刀剣男士は笹貫である。閑話休題。
同じ刀派の雲生のポジションは航空管制官、そして彼は運行管理者ポジションである。「予報」するのがいわば彼の能力だ。本丸に蓄積されたデータで一種の未来予知をすることもあると言われている。雲次としては「飽くまで予報であって超能力ではない」と思っている。
その彼が日常的に使われると思われる「予報」は天気予報、のはずだった。少なくとも、他の本丸では。
「あ」
執務室。不意に、審神者がモニターから顔を上げる。加州が遠征に出ていたため近侍を務めていた雲次が「どしたの主」と声をかける。彼は呑気に漫画を読んでいた。
審神者は「ちょっと……」と言葉を濁しながら、ガタガタと執務机の片隅にある据え置きマイクを取り出す。
それのスイッチを入れると、同じく取り出した手元の木琴を叩いた。
「あーあー、テステス。えー本丸全域にお知らせです。これから30分後ぐらいに雨が降ります。洗濯物を取り込んでください」
そして再び木琴を叩く。スイッチを切った彼の背中を見て、雲次は呆けるしかない。
「は?」
「えっマジ!?」
外から一様に障子が開かれる音がする。
わぁわぁと声がした。
「今日テレビだと晴れの予報だったじゃん!?」
「みんなー! 取り込むの手伝ってー!! 主も!!」
「はいはい、今行きますよ。雲次も行くよー」
「いやあのね主」
雲次の言葉を無視して、審神者は小走りに駆けて行った。
そして審神者の言葉通り、30分後に雨が降り出したのである。
それはほんの通り雨だったが、洗濯物をびしょ濡れにさせるには十分だっただろう。
呆ける雲次に、通りがかった加州が声をかける。
「どしたの」
「あの……主はなんであんな正確に雨が降るって……?」
「あぁ、お天気お兄さんとしては気になるよね」
理解を示した加州は言う。
「お天気お兄さんなら知ってると思うけど、『気象病』って知ってる?」
「すべてを理解した」
「話が速くて助かるよ」
審神者は鎮痛剤を飲みながら答える。
「清光の言う通り、俺、所謂気象病でさ。雨が降る30分前になると頭痛を起こすんだ。現世だと特に役に立たなかったけど、本丸に来てからはこういうときには役に立つんだよね」
「なるほど。10代のうちは自律神経が弱いってのはよく聴くけど、主今24歳なんだよね? いまだになるんだ?」
雲次の問いかけに、審神者は苦笑した。
「俺は今やすっかり忘れられてるけど、身体が弱いんだよ」
「え、そうなの?」
「ほら知らない。着任当初は風邪引いてビビられて冬の間監禁されたぐらいなんだからね」
「どうしてそうなったんだい」
「まあそこは語ると長いから……でも、俺のこれもお役御免かねえ」
「え?」
残った水を飲み干してから、審神者は笑った。
「お天気お兄さんのお前が来てくれたからねえ。俺は雑に『30分後に雨が降る』ぐらいしかわからないから、雨の規模がどんなものかもわかんないし。でもお前ならわかるでしょ」
「……まぁね」
「これからも戦場の『予報』も頼んだよ」
そう言って、審神者は「これ厨に出しといて」とコップを雲次に渡し、仕事に戻った。
(参った。バレバレか)
雲次は頭を掻いて苦笑しながら、コップを厨に持って行った。
――特に禁じられてもいなかったから、本丸のこれまでのデータを閲覧した。どうやらそのことは審神者にはバレていたようだった。中々油断ならない主らしい、ということだけは雲次はわかったのだった。
了