※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

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最後らへんんしょんじ示唆
ある日の演練で、ボーっと刀剣男士が戦っているのを眺めていた病弱審神者(審神者名「菱潟」)にパーシヴァル(転生、審神者名「谷駆」)が話しかけてきて……
バソの審神者名:玄海



【聖杯乱舞(んしょ→さに♂、転生パーバソ)】「賭けてもいい、絶対揉める」

 彼があんなにもぼんやりしている様は、見たことがなかった。だからパーシヴァルは、演練会場用ベンチに腰かけていた彼に声をかけた。

「菱潟?」

「っ、あ、ああ、谷駆さんか。吃驚した」

 パーシヴァルがぬっと顔を覗かせると、彼――菱潟はひどく怯えた様子を見せたのち、パーシヴァルの顔を見て安堵の息を吐いた。それに、パーシヴァルは心配になって問いかける。

「何かに怯えておいでで?」

「ああ、うん……」

 菱潟は躊躇いがちに頷く。そして、意を決した様子で言った。

「あの、話すと長くなるんだけど」

「聴きますよ」

 そう言って、パーシヴァルは同じベンチに腰を下ろした。

 菱潟は今度は彼が心配そうに言う。

「あんた、良い人過ぎてこの界隈やっていけるか不安。いざとなったらジョンを頼るんだよ」

「ジョン……あぁ、玄海のことだね。うん、彼とは支え合いたい。それで、話は戻りますが」

「俺が何に怯えてるかって話だね。うん……」

 菱潟は言った。

「結論から言うと、俺は雲生が怖い」

 そう言われて、パーシヴァルは忽ち納得してしまう。

 パーシヴァルと雲生は特徴が似ていると、よく言われるのだ。

 しかし、とパーシヴァルは思う。

「あ、あー……私、彼と似てますからね。でも、怖いとは?」

 菱潟は赤い目を遠くにやった。

「あいつに迫られてて……」

「あぁー……」

 パーシヴァルは状況を察しつつあった。

 菱潟は御手杵と結婚している。その披露宴にも自身も参列した。つまり、雲生を受け入れたらそれは浮気である。

 菱潟は顔を手で覆った。

「結婚してるっていくら言っても諦めてくれなくて……終いには手籠めにしようとしてきて……今は雲次が見張ってくれてる、と思ったらその雲次も俺にちょっかいを出してきて」

「あぁー……」

 パーシヴァルが思い起こすのは、自身の本丸の雲次だ。最初は驚いた。菱潟にあまりに似ていたからだ。菱潟を知っている審神者ならば皆が驚いたことだろう。

 菱潟は溜息を吐く。

「多分雲次のはただの好奇心だと思うんだけど、その辺で雲類がバチバチやってて……現行雲類は近侍にしないことにしてるんだけど……雲次はあの1回以降手を出して来ようとしないからホッとしてるんだけど、雲生がね、本当にね」

「うんうん」

「って言うか俺の顔見てわかると思うんだけど雲次、俺と同じ顔してんじゃん。なんで手を出す気になるのかと」

 ――なお、余談だが、このときの彼らは「雲生と雲次が和服着て話してる」と周囲から思われていた。彼らが雲類に似ていたがゆえに。

 それに気づかず、菱潟は息を吐いた。

「話を聴いてくれて有難う、谷駆さん。ちょっとすっきりした」

「また何かあったら相談してください。話だけは聴いてあげられますから」

「谷駆さんマジ紳士。本当、ウチの雲生に爪の垢を煎じて飲ませたい」

 そう言って苦笑した菱潟の後ろから、何かが飛び出て来た。

「まぁ夜の私にはケモノなんだけどね!」

「うわ出たメカクレ狂」

 政府所属審神者(怪奇対策部)のバーソロミューである。1歩身を引いた菱潟に対し、パーシヴァルは心から嬉しそうだ。

「今日も麗しいね、玄海」

「そういう君は今日も男前だよ」

「ジョン、どこから聞いてたの」

「『吃驚した』の辺り」

「ほぼ最初じゃん! はあ、まあいいや……」

 前髪を掻き上げる菱潟に、バーソロミューはニコニコ笑った。

「ところで雲次が来たようだね? 雲次は中々メカクレ深度があることがわかったんだ、そっくりな君も同じ髪型にしてみないかい?」

「去ね」

 その場は雲次でも予報できないほどの急速な冷気が吹き荒れた。

 

 菱潟が怒りながら、自分の本丸の部隊を連れて去ったのち。

 パーシヴァルはバーソロミューに言った。やや頬を赤らめ。

「あの……『夜はケモノ』とか、公衆の面前で言わないでほしかったな……」

「事実じゃないか。それにしても、菱潟も厄介なことに巻き込まれたものだねぇ」

 パーシヴァルの言葉をスルーしながら、バーソロミューは溜息を吐いた。

「賭けてもいいが、絶対菱潟の本丸の雲類は揉める」

「菱潟を巡って?」

「いや、……多分違うな」

 尋ねるパーシヴァルに、バーソロミューは答える。

「多分、あの2振りの痴話げんか」

 演練会場には、雲生と雲次がそれぞれ見かけられた。

 

 

 

 

 

了

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