pixivより転載
包丁藤四郎は、お菓子と人妻が好きである。
しかし男所帯の本丸では後者は望むべくもなく、代わりになるものを飴を舐めながら観察していた。
結果として、見つかったのは審神者だった。
「ほら、零しちゃ勿体ないよ。ちゃんと箸を持とうね」
「皆洗濯物出した? 靴下とか溜め込んでない?」
「眠れないの? いいこいいこ。子守歌歌ってあげるから今夜はここで寝なさい」
なお、審神者は男性である。この時点で10代だった。
包丁は審神者をジェネリック人妻として見ようとした。そのために一時期彼について回っていたが──
包丁はある日の休憩時間に、ポテチを食べながら言い出した。傍では一期一振が洗濯物を畳んでいた。
「主ってさ。人妻感と言うか、お母さん感ある」
「コラッ包丁。申し訳ありません、主」
「いいんだよ、よく言われるから」
と答える審神者は、そのとき繕い物をしていた。その姿が益々母親のようだと包丁は思う。彼は言った。
「主のお母さんっぽさで惚れた人とかいそう」
半ば冗談だったのだが、審神者は考える余地があるようだった。
「んー……それに近いことはあったかな」
「あったの!?」
「あったのですか」
思わず聴耳を立てていた一期一振ですら顔を向ける。
審神者は相変わらず繕い物をしながら、語り出した。
「あれは確か沖縄に家族旅行で行ったときで。俺がちょっと家族と逸れてたときだったな。金髪碧眼の白人のお兄さんだったから、多分米軍基地の人だったと思うんだけど……大衆食堂でレジの人との会話に困っているようだったから俺が覚えたての英語で通訳してあげたんだよ。それで他にも色々親切運動したら……手を握られて」
「うん」
「『君は私の母になるべき人だ』って言われた」
「キモ」
「キモい、いや気持ち悪いですなそれは」
「うん。気持ち悪いよね。しかも当時俺10歳にもなってなかったんだよ」
「うわ……」
包丁と一期一振が同時に口元を抑える仕草だった。審神者は「兄弟だな」と思いながら言った。
「連れの人らしき緑色の髪のお兄さんには金髪のお兄さん頭叩かれてたし、駆け付けたウチの両親にもガチギレされてたし。弟はよくわかってないって顔してた」
「わからなくていいんだよ……」
「マザコンでショタペドとか救いようがないよね。何か犯罪やらかしてないといいんだけど、あのお兄さん。今はもうおじさんかな?」
そう言って、審神者は繕い物の糸を噛み切った。
「あの時の少年がやはり理想だったな……」
「まだそんなこと言ってる」
ララァに逢えてないとうらぶ世界線の米軍軍人シャア(海兵隊士官)と緑のおじさん
了