※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

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FGO奏章Ⅳクリア済み推奨 おてさに♂前提なので腐向けタグつけときます 転生ぐだ♂マシュの長男の病弱審神者(審神者名:菱潟)が御手杵と結婚披露宴を上げる際に、招待された彼の友人で政府所属審神者のカドック(審神者名:角川)が邂逅する話
▼奏章Ⅳクリアしました あとは察してください
▼このカドックは肥前と特に特別な関係はないです notひぜカド
pixivより転載


【聖杯乱舞】君と俺はどこかで友達だったのかもね

 期待など、していなかった。

 

 

 カドックは、その日礼服に身を包み、とある会場へと向かっていた。彼に伴うのは近侍の肥前だ。彼もまた礼服に身を包んでいる。

 さすがに今日は友人の結婚披露宴だ。普段着と言うわけにはいくまい。尤も、友人も結婚相手もたとえ普段着だったとしても気にしないだろうが。そう言う鷹揚さのある友人だ。

「うわ、さすがに大きいな」

「200人収容できる会場にしたって聞いていたが、さすがに規模がでかすぎやしねぇか」

「親戚も友人知人も多いって聞いてるし、そもそもがあいつんところの刀剣男士も出たがったって話だからな……結婚式で十分だったろうに」

「そういうアンタも式にも披露宴にも出てるだろ」

「まぁ、友達だし」

 カドックの友人である菱潟と言う本丸所属審神者は、菱潟が政府案件に関わるようになってから生活相談部職員のカドックとも交流を持つようになった。「胃薬仲間」として親交を持ってしまった。傍から見ると「なんてお労しい」になるらしい。カドックも菱潟も特にそれ自体には何とも思っていなかった。そのうち肥前も菱潟と交流を持つようになり、現在に至る。

 生活相談部と言うのは暇で退屈そうに見えて、連日審神者や刀剣男士の相談を受け付けるし、受けた相談から大きな事件に発展することもあるので重要な部署だ。なぜかカドックは恋愛相談を受けがちだが、そこから大きな事件に繋がったことがある。それは「人魚姫の祝福」事件と呼ばれているが、それはひとまず置いておこう。

 会場に入って署名し、祝儀袋を渡す。友人のため、それなりに奮発した額だ。

 同様に署名し終わってからカドックに近寄って来た肥前は、小さくない溜息を吐く。

「それにしても刀剣男士も参加するとはな……間違いなく混沌としてるぞ」

「僕もそれで頭が痛いが、まぁ試練と思って……」

「結婚式ってつまんねぇもんだと思ってたが、試練だと認識したことはねぇぞ」

「肥前。僕が自分を納得させようとしてるんだからそれ以上は言わないでくれ」

 溜息を吐くカドック。その憂い顔は美しく、女性客を密かに湧き立たせていたが、彼は気付かない。肥前は「また女を引き寄せてる……」と思ったが口には出さなかった。刀剣男士並みの顔面偏差値の主を持つ身としては大変なのだ、色々。まともにカドック自身と交渉せずあるいは失敗してカドックに謀略、あるいは直接害成そうとしてくる人間を何度闇討ちしたか肥前自身ですら憶えていない。

 特に、任せれば政府案件を必ず解決する菱潟の友人として、カドックを取り込もうとする輩も少なくない。

(やれやれ、手の焼ける主人だな)

 肥前が再び溜息を吐こうとして息を吸い込んだときだ。くだんの菱潟が現れたのである。既に白いウェディングスーツを着ている。

「あ、角川さん、肥前! ちゃんと披露宴も来てくれたんだね」

「お前が招待状寄越したんだろ。出席って出したんだから来るのは当たり前だろ」

「うーん、相変わらずクール! まあそういうわけで、クールなあなたは今回の披露宴にも耐えられると期待しています」

「やっぱり試練なのか……」

「もう帰らねぇか、祝儀は出したんだしよ」

「待って! 金かけて美味しい食事用意したから!」

「それなら食っていくしかねぇな」

「掌返しが凄いなお前」

「───。どうしたんだ」

 ──不意に、カドックは無意識に顔を上げた。

 そこには、カドックの記憶巣を刺激する2人がいた。

 一見すれば、ただの中年夫婦だ。しかし、その容姿に、──魂に、見覚えがある気がした。

 菱潟はその男女を見て、「ああ」と納得した。

「紹介するね角川さん。俺の両親。こっちが財前立香、こっちが財前真秀。あとで祖父も紹介するかも」

「──」

 なぜか、向こうもカドックを見て息を吞んだ様子だった。

 ……しかし、彼らは穏やかに握手を求めて来た。

「……『初めまして』、角川さん。息子が世話になってるようだね」

「『初めまして』、角川さん」

 その夫婦が揃ってそう挨拶するので。

 カドックも微笑んで手を握り返すことしかできなかった。

「……『初めまして』。逆ですよ、息子さんにはこちらがお世話になってます」

「うちの子、そんなに何かやらかしてるんですか……?」

「まぁ色々規格外ではありますが、とても仕事のできる人ですよ」

「ちょっとちょっと、人を肴に盛り上がらないでくれる?」

 何も気付いた様子のない菱潟がそう言うので、「それでは」と彼らは別れようとした。

 そのとき、父親の方が言い出した。

「ねぇ、君。俺たち、どこかで会わなかった?」

「──」

 カドックは言葉が溢れ出そうになった。

 けれど、言葉を続けようとしたのは、既に「過去の存在」だった。

 だから、カドックは言った。

「それはきっと、僕によく似た他人ですよ」

 肥前は、そんな主を見ていた。

 

 混沌とした披露宴が終わったあと、参加者は全員疲れていたようだった。それはそうである。刀剣男士の濃ゆい文化が散々披露されたのだから。疲れていないのはそれに慣れている政府関係者などだった。

 それでも二次会は催されるということで、ぞろぞろと会場から人が出て行く。それに、カドックは言った。

「僕も二次会参加しようかな」

「やめとけ」

 それをガッと肩を掴んだのは肥前だ。必死の形相をしている。

「あんた、女どもに食い物にされるぞ」

「え?」

「いい加減自分のツラが良いことを自覚してくれ……!」

「よくわからないが……肥前が苦労しそうみたいだからやめとくよ。寮に帰ろう」

「そうしてくれ」

 安堵した様子の肥前に疑問符を浮かべながらも、カドックは帰路に着いた。

 ゲートのある駅へと向かう。カドックと肥前は並んで歩いた。

 数十メートルほど歩いた頃か。肥前は、意を決した様子で尋ねた。

「なぁ、いいのか? あいつの親と……」

「いいんだ」

 カドックは清々しい顔で、夜空を見上げていた。それは悲愴とも見て取れたが。

「僕は昔の友人に何もかもを忘れられてしまった、亡霊さ」

 肥前は何も言えなかった。

 ──日々は過ぎる。明日からもカドックも肥前も政府の仕事に専念するし、復帰した菱潟とまた胃薬仲間として友誼を築く。

 ただ、そこに立香とマシュがいないだけだ。

 

 

 

 

 

了

 

 

このカドックは、大令呪を行使後消えたあとの「記録」が魂を得て転生した存在 2016年で復活する予定のカドックとは別物

彼に記憶はないし、彼らにもない ただ、かなしさが残るだけ

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