※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

19 / 178
not恋愛、but肉体及び主従関係。ひたすら一兄(がちノンケ)が男審神者(両刀)にオフェラーリ(オプション:ネクタイ目隠し)されてるだけ
▼秀吉公の影響を受けすぎて女人にしかマジで勃たない一期と、そんな彼をどうにかしてやりたいが為に特殊プレイに走る審神者。主従愛の延長線で、飽くまで肉欲を満たしてやる為だけであり互いに恋愛感情どころかセフレという枠に当てはまるかも怪しい。気質が真面目すぎて自分の下半身の制御が出来ないのに凄い泣きたい一期兄さんとフォローしてあげる審神者です。ネクタイで目隠しはどのジャンルでもやってる気がするなぁ……
▼一兄が冒頭で胡座を掻いているのは、正座は徳川の世になってから主流になった礼儀作法らしく、少なくとも豊臣の時代まではどんな場所でも誰でも胡座をかいていたらしいので。一兄が胡座を掻いていたら萌えるってだけです(`・ω・´)
あと遅いとか早いとかは、その、太刀男士ですから機動の問題かなと


【本編派生】暗夜の香とネクタイ【いちさにいち】

 視界が暗い。目を開けても何も見えない。否、隙間から僅かに光が漏れている。しかし、時間は夜だ。漏れ見えるのは畳に置かれた灯り。窓が開いているのだろうか。息苦しさの緩和された首を、風が撫でた。そして、自身がいる場所を思い出す。ここは主の部屋、それも私室。荒い息は2人分。自身と、主のものだろう。それでも主は声ひとつ立てない。理由はわかっている。見えずとも、わかっていた。数十分前、自身のネクタイを解き、痛い程に目隠しをしてきたのは主だった。

 自分自身――一期一振の「それ」を、口で、唇で、舌で慰撫している。それも、出来るだけ手は使わず。布団の上に座らせた自分の股ぐらに顔を埋めた彼が何をしているかは、わかっている。それでも男性特有の硬い手は一切触れてこないから、口腔の柔らかさと唾液が、一期に女性を連想させる。否、そうするように主に促されているのだ。花街への遠征で何度も異性と褥を共にしたが、それに勝るとも劣らぬ感覚だ。しかしそれを思い出し、いたいけな主にこのような真似をさせている罪悪感が首を擡げる。自身のネクタイで塞がれた視界の下、一期は唾液と先走った体液が混じる音を耳にしながら思い出す。

 

 遡る事、数日前の出来事だった気がする。

 書類を片手に、狩衣姿の少年は頭を掻いた。執務室、他に誰もいないそこ。どうしても江戸時代以降の作法に馴染めず胡座を掻く自身を1度も咎める事のなかった主は、しかし「こればかりは」と頭を振った。

「すまんね、一期。俺が割と色ぼけだからお前もこんな風に顕現されちゃったのかもねえ……でもさすがに、1週間の花街居続けは許可出来ないよ」

「ですよね……」

 わかっていた事だ。しかし、溜息が漏れる。提出したのは意見書。次の「花街遠征」から、もっと遠征時間を延ばせないか。たとえば7日間など――と。ふっかけるつもりもなかった。これでも遠慮したのである。本当は10日ぐらいは花街で女郎達に囲まれていたいのだ。だが、自分達刀剣男士の本分を忘れたつもりもない。なので、息が再び漏れる。

 この本丸に顕現されて暫く。自身がどうしようもなく「女性」を求める質にある事に気付いたのは、はじめての花街への遠征からだ。

 花街遠征なるものの説明をしよう。これは男所帯の部隊において極めて重要な任務だ。端的にいえば、彼らの欲求発散の為にこの任務は密かに存在する。いわばレストランの裏メニュー、通い続けなければ知らされない、任務という名の褒美だ。

 近代以前から、武装した男性達で形成された群れは、エネルギーを持て余す傾向にある。それは体を動かす事で発散しきれる類ではない。逆に、体を動かす事は同時に疲労、そして生命の危機へと繋がると体は感じる。その為、子孫を残そうとする本能が出てきてしまうのだ。ゆえに歴史上、こういったものに色はつきものである。

 かなしいかな、本来は無機物だった刀剣男士は、人を模して作られた。その精度はあまりに細かすぎ、その「本能」も忠実に再現された。時の政府は賢明にも、この事態は想定済み。ある「施設」が設けられた。現代でいえば歓楽街、彼らの主役だった時代でいえば花街である。ここで刀剣男士達を相手にするのは実は人間の女性ではないとも、一期は耳にしていた。こんのすけ曰く、「どうやら政府がばかしが得意な狐狸の類と契約したらしいです」。ならば、彼らの望む姿に身を変じ、夜伽の相手をしてくれるのだろう。ここばかりは、普段は何かと反発するここの審神者も、政府上層部の判断に拍手を送ったと聴いている。「法の網を抜ける事にはさすがに長けている」とは、どう聴いても皮肉だったが。

 そして、この一期一振。他の部隊の自身よりも、どうやら自分が女好きの類であると思い知らされたのは、共にやって来た刀剣男士達の「初心者お勧め」の店での事だった。いわば「筆下ろし」だ。付喪神といえど、顕現したばかりの身は何もかもが未経験に等しい。押し出された先で、ちやほやと持て成され、最後にひとりの女郎にキセルの煙を吐かれ……

 結果、毎週末の花街遠征常連組になった。ひと言でいえば、癖になってしまったのである。

 一期が持ってきた茶を啜る主は、丸い頭を振る。幼顔で、実際、元服もしないような年齢であるという。そんな幼い少年にこんな話をふるのも情けない、と一期は内心で頭を抱える。だが実際、一期の趣味は最早「遊郭の新しい女郎捜し」といって過言ではない域に達していた。湯飲みを置いた主はいう。

「大抵、花街に通い出すと、最初は夢中になって毎週通うようになっても、段々落ち着いてきて、たまーに通う程度になるんだけどね。あとは居続けしても精々3日だ。それに大体、戦の方に夢中になるっていうのが刀剣男士なんだけどね……一期、お前花街遠征の常連記録を更新し続けてるよ。凄いね」

「褒めてませんね」

「ある意味凄いなあとは思ってるよ。……秀吉公の影響を受け過ぎちゃったんだねえ」

「……否定できませんな」

 視線を逸らす。焼け落ち、再刃される前の話。自身は毛利家所蔵の刀だったと聞いている。それが秀吉に所望され、豊臣家に渡った。そこで弟達や三日月など、様々な刀剣に出逢った――が、「再会」した三日月が楚々と笑んで曰く。

「お前は秀吉公の側室にばかり目をやっていたなぁ。あの頃の方が露骨だったが。美人が好きなのは秀吉公の影響だろうな」

 ……親戚の人間に、幼い頃の失敗をいつまでも指摘される。それにとても似た感覚を味わったのはあとにも先にもこの時だ。「後生ですからそういう事はもういわないでください頼みますから」と三日月に頼み込んだのは最初の頃だ。覚えていない、が、身に覚えはある。秀吉に愛された刀として、彼の視点に合わせていれば、自然と美しい女性に目がいったのは想像に難くない。そしてそれが再刃され、徳川家に渡った以降も変わらなかったのだろう……。

 主は書類を整えて首を傾げた。直毛のショートボブが揺れる。

「要は性交したいんでしょ。その辺の仲の良い刀剣と念友にでもなったら」

「無理です」

「そんな喰い気味に拒否られても。え、そんなに無理」

 主の言葉に、一期は頭を振る。男だらけの本丸、見目の良い者も多い。自分の弟達も容姿の良いものばかりだ。女性に近い、といわれれば乱の名が上がるだろう。しかし乱は飽くまで弟であり、そして同性だ。一期は拳を握り語る。

「確かに男にも入れるところはあります。そういうのもあるとよく知っています。しかし、女人にしかない孔というものがあるでしょう。つまりそういう事です」

「わあ露骨」

 戯けて主は笑ってみせる。しかし、ふとそれを引っ込めると、恐る恐るといった体で、一期の顔を覗き込む。幼さの目立つ顔はかわいらしいといえるが、しかしやはりそれは子供に対する大人の感想だった。幼い子供は性徴がないからこそ男女問わず性欲がわく、という性的嗜好は知っているし、恐らく主は「そちら」に人気があるだろう。しかし、一期には到底理解し得ないものだった。

「……もしかして、今も切羽詰まってたり」

「正直禁断症状が出はじめています。柔らかい身体に触れたいです。早く週末になりませんかね」

「ヤク中かい。うーん……困ったねえ。戦に行けば余計にひどくなるばかりだろうし」

 書類を卓袱台に置くと、腕を組む。その丸い目は、じっと一期の股間に注がれた。落ち着かないのでやめて欲しい、と思う矢先に、主は顎に手を添える。

「お前はよくやってくれているから俺としても何とかしてあげたいんだけどね。ひとり遊び用の道具を買うのが恥ずかしいなら買ってあげるし、俺が預かっておいてもいいよ。俺は18歳以下だからこんのすけ経由になるけど」

「お心遣い本当に痛み入ります。しかし、これは2人以上でないと満足できぬものなのです……出来れば3人とか4人とか」

「あれっもう複数プレイ済みかよ、はっやいな。……うーん、じゃあさ。俺で妥協しない」

「は」

 主の言葉の意味がわからない。目を瞬いて見遣る。自身を指で示す主は、そんな一期の反応に苦く笑う。

「……うーん、俺、結構妥協して貰える方なんだけどな。見た目がそんなにまだ大人びてないから『ヤれる』ってのは23世紀に掃いて捨てる程いたんだけど。いっそ貴重だねお前」

「……主は、もう少し自分を大事になさってください」

 主のいいように、一期は顔を渋くさせる。目の前の少年は、15になるかどうかだ。それが明らかに性的搾取対象として見られる事に「慣れている」。それが痛ましい。弟をたくさん抱える身としては、慣れないでいて欲しかった。そんな一期の心情など構わず、主は悩み続ける。

「うーん……かといってデリヘルよろしく本丸に派遣して貰うのは駄目だし……こういう時に見習いの女の子がいたら場合によっちゃ乗っ取られるんだろうな~~余所の事はいえんなあ」

「あの、でりへるとは」

「あー気にしなくていいよ。うーん……じゃあ一期さあ」

 首を傾げて悩んでいた主は、ふと、手を上げた。

「本番が駄目なら、抜くだけでもしてあげようか」

「抜くだけ、ですか。でも……」

 一期は主の手を見遣る。この本丸の誰よりも薄いが、しかし二次性徴が目立ちはじめている骨の目立つ手だ。白いそれは、肌艶も良い。だが、柔らかくない。それが一期にとっての最大のネックだった。

 その視線の意味を察したらしい。苦笑しながら、「じゃあ」と、自分の口を示した。主の、唇と、その向こうの舌を。そこではじめて、息を飲む。

 ――口だけなら、男も女も変わらない。

 花街にて衆道小屋にも行ったという刀剣男士の誰かがそういっていた。真偽の程は知らない。何せこの身を得てから、花街では女郎しか相手にしていないから。だが、平然と語る主の、口腔の中を見遣る。まだ僅かに開かれたままの口の、舌。それが蠢いた。

 喉が鳴った。

 

 

 香が焚かれた部屋。わざわざ自身が馴染みの店のものを他の刀剣男士達から聞き出したのだろうか。それによく似た香りが、主の部屋に漂っていた。蚊帳の中、寝間着の主は囁く。

「そこまで女好きなら、男の顔が見えたら萎えるだろうし目隠しでもしようか。あ、でも適当な布がないね」

 そういいながら、薄暗い部屋。布団の上で座した自身のネクタイを解く。手慣れた様子なのが気に掛かったが、雰囲気に飲まれて為すがままだ。解けないように、ときつく縛られた。少しばかり痛んだが、空気が、それすら甘い刺激に変えてくる。そしてそれから、主はひと言も喋らなかった。

「――」

 ベルトを外され、前を開かれる。小さな金属音。下履きに手を掛けられ、はじめて主に自分自身を見せるという事態に気付いた。昼間の会話でつい主の口車に乗ってしまったが、結局は主に痴態をさらけ出す事なのだ。しかし最早後戻りは出来ない。慌てて主を呼んでも、それは無視された。下履きの割れ目から、自分自身が滑り出される。敏感な部分が空気にさらされた。衣擦れの音がする。自身の股ぐらに主が蹲っている姿を想像した。あまりに畏れ多すぎる、やはりやめよう。そう口にしかけたところで、舌が滑った。

 思わず足が跳ねる。こういった事は散々花街でしてきた。しかし、相手が相手の為に脳内に困惑が走る。快感と、普段自分が傅いている相手にもたらされているという事実への背徳感。だが一期が困惑している間にも、舌、唇が滑っていく。

 まだ萎れていたそれが、このところの欲求不満の為か、一期の思考に反して舌の動きに合わせるように屹立していった。唇を噛む。訳のわからない事態、しかし喘ぎはしたくなかった。今、自分は「男」として、主は「女」としてこんな真似までしてくれているのだ。たとえ気圧されていようと――混迷した矜持が一期の頭を鷲掴みにしていた。その間も、舌は滑らかな動きをしていた。

 猫の舌はざらついている。骨から肉を刮ぎ取る為だという。時折、化け猫らしい新入りの女郎の舌が変化に失敗してそのままな事も経験した。しかし、主の舌はヒトのもの。柔らかく、熱を持ったそれが、粘液を伴って一期のそれを舐める。時に睾丸を唇で挟んで、敏感なそこを舌先で突いてきた。香のにおいと、水音と真っ暗な視界。非日常的なシチュエーションが、一期一振の頭を揺らす。飽くまで口しか使ってこない為に、今の相手が男であり、そして主であるという事すら忘れそうになる。意図的にそうしているのは頭の隅でわかっていたが、背中が撓んでいく度に、それはどんどん縮小していった。既に屹立して脈打つそれに、根から亀頭へと向けて舌が滑った。窄められた舌先が僅かに尿道に侵入し、跳ねた。背がたわみ、堪らず声を出す。

「……も、もう、出ますっ……」

「……」

 答える声はない。代わりに、唇が亀頭から竿を包む。口に入れられるだけ入れたらしい。それから、吸われた。

 声を上げる間もない。縛られてはいなかった手が、思わず自身を啜る者の頭を掴んだ。艶はないが指通りの良い髪は、小狐丸に似ているともいわれている。頭皮の硬さはさして男女差がない事と、主の髪が比較的柔らかかった事に内心で感謝しながら、呻く。テンポの速くなった水音、舌が絡められ、吸い上げられる。口の中に出してしまう――

「……はっ……」

「…………一期、お前、遅漏だね」

「は」

 精を放った、その余韻に浸る間もない。唾を飲み込むような音ののち、主の年にしては低めの声がする。それと相俟って急速に萎えていく自分自身を覚えた。それを見て「正直者だな」と主が内心で思った事は知らない。衣擦れの音ののち、ネクタイが外される。暗闇に慣れた目は、灯火の中で主が口元を拭いながら、やや疲れた様子で溜息を吐くのを見る。

「お前ら刀剣男士って回数が人間の男の倍って聴いたから、せめて3回ぐらいは絞ってやろうと思ったんだけど」

「……遅漏、でしたか。いわれた事はありませんでしたが」

「そりゃお前、向こうの女郎さん達も正体は獣だから付き合えるんだよ……しかし刀剣男士のこれって味がしないね」

「って、飲んだのですか?!」

「布団を汚したくなかったし、今夜はさすがにもう疲れた。主に顎が」

 そういって布団に横たわる。渡されたネクタイを片手に見遣る主は、本当に疲れたようだ。呆然としながらも、慌てて自分自身をしまう。ひとまずすっきりはした。だいぶんと倒錯的な事をした気がするが、布団の上で転がる主の姿はまるでいつも通りで、霧散しつつある香のにおいもあり、立ち上がろうとした自身も蹌踉めいた。何が何だかわからない。それでも「失礼します」と退出しようとする一期。一礼をしようとした彼に、灯火の方へと近付いていた主は、「ああ」と顔を上げた。白い少年の笑みが、照らし出される。

「ま、これで口ならいける、って事がわかったね。忙しい時、どうしても花街に行けなくてすっきりできないって時は頼っていいよ。こんのすけにもどうにかできないか聴いてみるし。次は春画を読みながらでもいいよ」

「は、ぁ」

「そんじゃお休みなさい。その辺にフ●ブリーズがあったから、気になるようだったらそれでにおい消して部屋に戻ってね」

 そして灯火を消す。蚊帳の向こう、布団を持ち上げる主は、本当にこのまま寝てしまう気のようだ。蚊帳から出て、いわれた通りに棚から消臭剤を取り出す。簡単に服、そして自身の目を縛っていたネクタイにもかけ――頬に熱が集まる。

 これではあの花街の美しい女郎達と変わらない。主も立派に化かしてきた。

(主が女性だったら、精根尽き果てるまで搾り取られたかもな)

 縁側に出て、自室へと戻る。同室の鶯丸はとやかくいわないだろう。すっかりとキツネにつままれた気分で、一期一振は夜の本丸を歩いていった。どこかの部屋で太郎太刀が酒盛りをしているらしい。賑やかな声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

End.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。