※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

43 / 178
pixivからの転載、非公式且つ独自解釈、刀×男主でむりやり描写 診断メーカー「○○をしないと出られない部屋」(https://shindanmaker.com/525269)より
「おて♂さには『相手を犯さないと出られない部屋』に入ってしまいました。30分以内に実行してください」
すごく……テンプレです……(;゚д゚)
お題は「わるものマニア」(http://www.w-mania.com/)より。


【おてさに♂】体温【R-18】

 かつてここの審神者が嵌っていた趣味がある。それは古道具蒐集。古書蒐集から派生したその趣味はしかしやがて勢いを衰えさせていった。理由は簡単だ。実害があったからだ。古き物に憑く付喪神を顕現させている領域で古道具を集める行為はプラスには働きにくい。中には肉を持った人をも隠してしまうほどの代物もあった。これはその実害の中で彼らが互いに忘れてしまった事件のひとつである。

 

 

 

 床が冷たい。畳ではなかった。では板張りかと問われればそれは違う。1番近い感触は教室の床のリノリウムだった。審神者が引き倒された先。真っ白い部屋。風呂上がりの浴衣で覆われた体にはこの材質の床はひどく冷たかった。ついでに痛いとぼやきたかったが審神者は顰めた目を開いてから思わず息を飲む。握りしめられた左腕。覆い被さる大きな体。見詰め返せばいつもの穏やかさは鳴りを潜め審神者を見詰める御手杵がいた。衝撃と迫力に一瞬息を飲んだ。そして現実逃避のように先程までに生じたことを思い出す。

 御手杵の姿は昼間から見えなかった。今日は非番だったからどこかで遊んでいるのだろうと放置していた。放任主義だ。腹が減れば姿を見せるだろう。そう思って審神者は先に風呂に入った。夕食までは時間がありこの日の仕事は終わってしまった。そして呼ばれるまで自室で最近集めている古道具の手入れでもしようか――そう思っていた矢先のことだ。引き戸ばかりのこの城で観音開きの扉を見つけたのは。

 思わず触れればそれは自動ドアより勢いよく開き――気がつけば審神者は扉の向こうに放り出されていた。

 そしてある板を抱えた御手杵とほんの1m差の場所に尻餅を搗いていた。

 互いに言葉が出ない中で背後からは扉が閉まり更に鍵のかかった音がする。振り返った先で外側と異なり堅牢そうな金属製の扉にはプレートがぶら下がっていた。

『30分以内にノルマをはじめてください』

「ノルマって」

 手を突いて復唱する。何の話だ。先程から状況の主導権が見知らぬ誰かに握られているようだった。尻餅を搗いた尻は痛いし床は冷たい。何やら御手杵も「うそだろ」と声を上げている。そういえば彼はいつからここにいるのだろう。それがふと気になって振り返る。

 御手杵は板を握りしめていた。いつになく表情に余裕がない。青ざめてすら見える。思わず手を差しのばした。

「おい御手杵。お前昼間から姿を見なかったけどまさかずっとここにいたのか」

「……廊下を歩いてたら変な扉を見つけて。気がついたらここに放り込まれてた」

「お前もか。おいおいここは新設の本丸のはずだぞ。特に変な話は聴かないのに。……最近集めてる美術品が怪奇現象起こしてるみたいだけどそのせいかなあ」

 比較的日本人の平均身長である審神者ならばまだ話はわかる。しかし規格が大きくましてや戦闘能力の高い刀剣男士である御手杵を補足するとは一体これはどんな仕組みの罠なのか。こんのすけにはある程度の部屋の整理はできると聴いていた。しかしこんな仕組みの部屋は知らない。あとでこんのすけに問い質そう。それにしてもどうやったら出られるのか。ひとまず立ち上がって検証しようとする。

「無駄だ」

 それを阻んだのは手首を掴んだ御手杵だ。やけに冷たいのは自身が風呂上がりで体温が高いからか。審神者は目を瞬いて振り返る。

「無駄って……俺が何をしようとしたかわかるの」

「あの扉をこじ開けようとしたんだろ。無駄だ。俺が……昼間からだってな。それからずーっとただここにいたと思うか」

「……少なくとも膂力じゃ解決できないってことか」

 試しに傍の壁に手を触れてみる。しかしこの空間を動かせる気配はない。正確には分厚い壁の向こうに本丸の気配は感じる。しかしまるで絶縁体のようにこの空間の壁が横たわっていた。

 果たして何者の仕業か。こうして刀剣男士と審神者を忽ち無力化してしまうならば相当な上位存在だろう。何が目的か。やけに深刻な様子の御手杵も気になる。そして審神者はふと握られたままの腕に気付いた。いつまで経っても冷たい手がじわりとこちらの熱を奪ってくる。何となく落ち着かなくなって審神者は尋ねた。

「御手杵。もう離してもいいよ。状況はわかったから。ここは大人しく救出を待とう」

「……あると思うか」

「俺だってお前が昼間からいないっていうのには気付いてたけど」

 珍しく悲観的な言葉に審神者は怪訝に首を傾げる。時間の流れは恐らく外と中で変わらない。ここには時計も棚も色気のひとつもないがそれだけはなんとなくわかった。そして御手杵の存在が忘れ去られていた訳ではない。ならばそのうち自分たちの不在に気付いてこんのすけがどうにかしてくれるだろう――訥々と語る。しかし御手杵は手を放さない。むしろ更に力を強くした。……謎の空間に閉じこめられてやっと出会った存在だ。心細かったのかも知れない。しかしそうと片付けるには審神者の頭の隅で警鐘が鳴る。

 このまま2人きり。この部屋にいたら。なにかまずいことが起きる気がする。

 それは審神者の短い人生においての経験値による直感だった。手を振り払わねば。しかしあの扉を壊せなかったというものの彼は刀剣男士だ。振り払おうとすればさらに強く握られる。小さく悲鳴を上げるとほんのわずかに緩められた。しかし手は離さない。

 刹那。視界が回転した。

「……ってー! なにすんの御手杵!」

「……待ってたんだよ」

「は」

 強かにぶつけた背中。御手杵の手により床に引き倒される。睨み上げれば覆い被さる大きな体。

 持っていた板。御手杵はそれを審神者に見せつける。内容は日本語だった。現代日本語で助かった。しかし納得はできない内容だった。御手杵の言葉の意味を理解した。そして渾身の力で暴れる。

「『相手を犯さないと出られない部屋』ってなんだよそれ!? 企画ものAVのほうがワンチャンあるよ!? 待ってたってお前――」

「……ごめん」

 謝る声が低い。刹那浴衣の分け目から冷たい手が滑り込んだ。

 それで察する。これは決して合意してはいけないことなのだと。それに絶望した。

 

 

 風呂上がりでまだよかった。互いの体液のみを潤滑剤とするには審神者の中に怒張したそれを挿入するのはあまりにつらい。冷たい床に俯せる。脱がされた浴衣と手拭いをぐちゃぐちゃにしてしがみつく。とっくに湯冷めした体に流れるのはどちらかといえば冷や汗だ。審神者は硬い床の上でひたすらに息を吐く。腰を支える大きな手の存在が泣きたくなるほど慕わしい。その手の持ち主が今自分の中に不本意に割り入れていることを考えても。

「……いたあっ……」

「――っ」

 割り入れられたそれは太いというより長い。しかしそれでも突き上げてくる苦しさが内臓を圧迫した。堪えきれず声を漏らせばその度に真上から息を飲む音がする。

 知っている。常の彼ならこんなことは決してしない。これでも最大限に気を遣っているのだ。この何もない環境で御手杵はよくやっていると痛みでぼやける頭で審神者は思う。そも御手杵に男を抱けると思わなかった。挿入されている御手杵自身の太さを感じて妙なところで感心してしまう。

 この空間を作ったのは悪趣味なモノだ。それは間違いない。御手杵は昼間に閉じこめられてからあの板に彫られた脱出条件を見てどれだけ深く絶望しただろう。せめて逆であればと考えてしまう。審神者自身にとって情けない話だが彼よりは自分自身の方がまだ自身の寸法は小柄だ。それに元より両刀の気が強いからもう少し簡単にことを済ませられただろう。もっともそれだとあの脱出条件をクリアできるか心配だが。痛みと異物感により腸液が湿ってくる。夕食前で腹が空っぽでよかった。それだけを審神者は考える。なにせ獣のようなこの体位では御手杵の顔を見ることもできない。それに見たら同情してしまい必死で堪えている言葉を口から出してしまうだろう。だからできるだけ痛がりながらもみくちゃになった浴衣にしがみつく。

 いってはいけない。それはきっと御手杵が昼間からずっと覚悟を決めてきたことに反してしまう。彼に決定的な罪悪感を植え付ける。それだけは避けたかった。それだけは。

 ――不意に熱を覚える。後腔から長いものが引き抜かれるのを感じた。そこから垂れてくる水滴の音に御手杵が達したことを知る。息を吐いた。痛いばかりで審神者自身は快楽からは程遠い。それでもいくらか自身が僅かに硬くなったままだったのは偏に御手杵に触れられていたからだ。息を切らせる審神者。どこかで鍵の開く音が聞こえた気がした。それに安堵したのも束の間。

「――ちょっと御手杵」

「……あんたまだイッてないだろ」

 気がつけばすぐ間近。耳の近くで覆い被さってきた体。審神者自身に御手杵のそれが重なる。体を支える自身の背後で悲愴さを背負った声が染みこんできた。

「……今ので条件はクリアした。でもせめてあんたにこの半端なままで出て行かせたくない」

「いいって。大丈夫だってば。――う」

 思いがけない感触に慌てる。優しい手つきが嬉しい。審神者自身に重なる御手杵自身が愛しい。短い人生で同性に抱かれ慣れた体は簡単に御手杵の手つきで怒張する。汗で濡れた頭を揺らして耐える。

 泣きたかった。だってこれは御手杵が優しいからだ。優しいからこんなふざけた条件で脱出せざるを得ない部屋で男などを抱いてさらには詫びすらする。

(本当は抱きしめて頭を撫でてやりたいのに)

 不安な数時間を過ごしたこの愛おしい付喪神を慰めてやりたい。

 しかしあれだけ緊張で冷えていた手はわずかに温もりを取り戻していた。体温が戻ってきていた。

「本当にごめんな。……あんたのことが好きだからこんな条件になっちまった」

「――」

 それはどういう意味の「好き」だ。普段のお前はそんなことはひとこともいわないのに。

 爆発しかけた感情はしかし御手杵にねじ伏せられる。すぐさま審神者と御手杵自身同士が摩擦で体液に塗れていく。声を上げる間もない。腰が揺れる。背中が丸まる。それに合わせて審神者の項に唇が落ちた。声なき声が上がった。

 

 

 

*****

 

 

 

 本丸の審神者の私室。大浴場とは別に浴室がある。これは女性の審神者が多いためにテンプレートの規格として存在するものらしい。加州はそこをノックしても返事がないことから浴室の扉を開いた。

 夕餉の時間だ。御手杵を探しに行った同田貫とは別に姿の見えない審神者を捜しに来たのだ。

 そして加州は悲鳴を上げて駆けつける。

「ちょっ……主?! なに溺れてんの?!」

「……がぼげぼがぼっ?!」

 果たして審神者はいた。ただしなみなみと湯の湛えられた湯船に頭まで浸かって。濡れるのも構わず引き揚げると審神者は加州の声で目を覚ましたらしい。転がるように床に下りると加州に背中をさすられながらお湯を吐き出す。そして加州は尋ねた。

「ちょっと主。あんた大浴場で風呂に入ったんじゃないの」

「……そのはずだったんだけどな。記憶が抜けてる。湯冷めしたのかな」

 いいながら審神者は差し出されたバスタオルを受け取る。顔を埋めながら彼は記憶を整理していた。

 たしかに大浴場に行った覚えはある。風呂を堪能して上がって……さてなぜ今自分はここにいるのだろう。謎の記憶の欠損に怯えすら出る。体を拭いていると加州が頭を拭いてくれた。

「本気でそれ大丈夫。こんのすけに頼んでお医者さんにかかろうか」

「これは何科かなあ……ところで今何時」

「もう夕食だから7時だよ。御手杵も昼から行方不明だったし。最近行方不明になる奴多くないかな」

「うえー謎の30分」

 自身の記憶している時間より30分以上オーバーしていた。何があったのだろう。心当たりといえばこの浴室の向こうに作り付けた古道具や美術品置き場の怪奇現象ぐらいだけれども。……1度改めた方がいいかもしれない。

 そう思いながら加州の助けを借りて立ち上がると腰が痛かった。正確には臀部が。どこかでぶつけたのだろうか。着替えを取りに洗面所から出た加州を見送って自身はタオルドライを続けた。

 

 

 

 

 

体温

 

 

 

 

 夕餉ののち。片付けながら雑談をしていた中で御手杵が隣に腰掛けた。川原で寝ていたという御手杵は同田貫のげんこつによるたんこぶがまだ頭で膨らんでいる。まだ最後の味噌汁を飲んでいた審神者は「痛そうだな」と笑った。御手杵も人懐こく笑う。

「主。あんたも記憶抜けてるってな。やっぱあの美術品とかやばいんじゃないか」

「御手杵もそう思うかー。うーん。美術品収集は悪い趣味じゃないと思ったんだけどなー。1度政府に鑑定出すかあ」

「お。主。飯粒ついてる」

 そういって御手杵は審神者の頬に手を触れた。その体温になぜか既視感を覚えた――のはお互いだったらしい。審神者も御手杵も手を止めて怪訝な顔をした。

「……主」

「御手杵」

「……そっちからどうぞ」

「そっちからでいいって」

「…………調べてもらおうか」

「そうだな。こんのすけってどこだっけ」

 互いの既視感はしかし靄にかかって思い出せない。互いにそれを了承しあうと政府への連絡係の姿を捜すことにした。

 

 

 

 

 

End.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。