※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

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切国は極。接吻及びそれ以上致しそうな描写有。このくにちょぎはなんぼか打ち解けているので同室設定です #くにちょぎ版深夜の60分一本勝負
pixivからの転載


【くにちょぎ】褥/まるでヴェールのよう

 梅の木が咲き誇る。そんな中、薄ら寒くとも、雪がなく、晴れていれば洗濯物は外に干す習慣がこの本丸にはあった。コインランドリーのような洗濯機や乾燥機も完備されているのだが、ひなたの匂いを吸った洗濯物を好む者も多かった。

 山姥切の長義も国広も、その口である。

 黄昏も終わる頃、自分の洗濯籠を抱えて自室に戻ってきた国広。声もかけずに不意に襖を開けたのは、いつものことだった。問題は、先に自室に戻ってきていた長義だ。

 早々と就寝の準備をしていたらしい。それもいつものことだった。シーツも被せてある。問題は、長義が彼自身の褥の上。そこに座り、頭から別の白いシーツを被っていたことだ。

 刀種ごとにシーツの色は違う。それは乾いた洗濯物を仕分ける際、大雑把に「これはどの刀種のシーツ」と分別するための仕儀で、数の多い短刀や打刀、太刀などにはやや不評の上、今度来るという新刀種「剣」に関してはどうなるのかという議論が渦巻いているが――閑話休題。打刀は白だった。個性の闇鍋といわれる打刀男士に白とは皮肉だ、とは長谷部の談だが、国広としては汚れがわかりやすくて気に入っている。あと修行前は、自身の被っていた布を洗濯のためにはぎ取られた際に代わりにシーツを被っていたこともあった。長義も布を被ってきていたが、彼の布はいかにも高級そうで、シーツで代用はできそうにないな、とは国広の感想だ。

 その長義が、シーツを被っている。頭からだ。長義は先程からこちらを凝視したままだ。国広はそんな長義を上から下までまじまじと眺めた。そしていう。

「……特の頃の俺の物まねか」

「誰がそんなことするか! あぁ、もう、ただの戯れだよ。気にしないでくれ」

「気にする」

 シーツを外そうとする長義。国広はしゃがみ込み、その手を止めた。そして再び被せる。国広は純粋に疑問を抱いていた。何の為の行動だったのだろうと。

「長義。お前、何がしたかったんだ」

 じっと見つめる。青い目が、気まずそうに逸らされ、俯いた。そして、彼にしては珍しく、歯切れ悪く呟く。

「……加州くんや乱くんが見ていた雑誌に、ウェディング特集というのがあってな」

「ほう」

「それで、そこには、その、花嫁がヴェールというものを被って……花婿に捲ってもらうんだ。そこで、その」

「その?」

「…………結婚の誓いの、接吻をするんだ」

「成る程。長義はその花嫁の真似をしていたと」

「ただの戯れだ。気にするな」

「気にする」

 同じ言葉を繰り返し、手を掴む。その手は、そっと、長義の被っていた頭のシーツを外した。じっと、緑の目が、青い目を見つめる。そして、どちらともなく目を瞑り――唇を重ねた。

「これで、誓ったな」

「……何をかな」

 あっさりと離された唇。それに寂しさなど感じていない、と自分に言い訳する長義に、国広は笑って言った。

「『永遠の愛』とやらだ」

「――は」

 ちゃんちゃらおかしい、とは長義は言えなかった。

 自分たち刀剣男士は明日も知れない身だ。次の戦では折れているかも知れない。今のところ、審神者の采配のお陰で、この4年折れた刀剣は一振りもいないという。しかし今までがそうだったからといって、これからもそうとは限らない。戦況は、常に悪化している。この本丸にいると、平和なあまりそれを忘れそうになるけれども――それでもここは戦場なのだ。刹那に生きるのが自分たちなのだ。

 なんてばかばかしい。しかし、そうとは長義は口にできなかった。

 信じたかったのだ。その言葉を。永遠を。変わらぬ愛を。

 だから、シーツを脱ぎ捨て、国広の首に手を回す。驚く国広に、長義は妖艶に微笑む。「花嫁」には相応しくないほどの。

「誓うなら、もっと口付けをしてくれないと証明できないよ」

「上等だ」

 褥に引っ繰り返される。夕食の時間まであと少しかかる。ヴェールだったものを下敷きに、愛を確かめ合うには十分な時間だった。

 

 

 

了

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