※この作品はR-18です。

ブラコン病弱審神者の強かな本丸日和   作:駒由李

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#くにちょぎ版深夜の60分一本勝負 ゲスト:次郎さん
プライベッターからの転載


【くにちょぎ】桃花酒/提出期限が過ぎてます!

 審神者でさえ男性のこの本丸において、ひな祭りほど縁遠い行事はない。しかし、酒を飲む口実にはなる。桃花酒

「……この酒はうまいな」

「おい偽物くん。話を聞いているのかな」

 甘酒・白酒の類は大してアルコール度数が高くない。しかしそれでも騒ぐのは場の空気ゆえか。そんな中、一振り、縁側で杯を傾けている国広に、長義は苛立った様子で彼に詰め寄る。彼は素面だ。素面を通り越し、一周回って顔が赤い。それは怒りによるものだと、酔いの回った頭で国広は思った。

「酒が旨いのは結構だがね、それよりこの報告書! 主に対しての提出期限が過ぎてるよ!」

「長義……こういう場でそういうことをいうのは場を白けさせるぞ」

「白けて結構。俺は元監査官としても仕事を全うしたいだけでね――っておいこら、何を飲ませようとしている」

「まぁまぁ、1度飲んでみなって」

 いつの間にか、次郎太刀が長義の背後を取っていた。不覚。そう思っていた矢先に、国広の持っていた杯が口に突っ込まれた。噎せこみそうになるのを何とか堪えて嚥下する。

 そして、その味に感心した。

「これは……桃の花のお酒かな」

「正解だ。桃花酒といって、これもひな祭りに飲む酒だな」

「偽物くんにしては良いセンスのチョイスだね。……あぁ、なんだか、眠くなってきた……」

 そのひと言を最後に、次郎太刀に羽交い締めにされていた長義が、書類片手にずるずると畳に滑り落ちていく。その顔は、先程までの怒りとは異なった、純粋な酔いによるもので。国広と次郎太刀は顔を見合わせた。

「あんたの本歌は酒に弱いんだねぇ。そこまでは写されなかったのかな」

「俺も大して強い訳ではないからな。どんぐりの背比べというところだろう。……さて。それでは俺は失礼する」

「おや、もう飲み終わっちゃうのかい」

 中身を飲み干した杯を卓袱台に置くと、立ち上がり、国広は寝転がった長義の体を抱える。書類は長義がしっかりと掴んだままだ。寝落ちしようと仕事にはどこまでも真面目なところが長義らしい。そう思いながら国広は、次郎太刀に振り返った。他の面子は、こちらに気付かずどんちゃん騒ぎである。

「仕事が入った。あとは好き勝手にやってくれ」

「……仕事ってのは書類を片付けること? それとも長義を寝かしつけること?」

「部屋が一緒だから同じことだ」

 そういって、国広は長義を抱きかかえたまま広間を辞していった。

 「酔っている人間に対する性行為は強姦罪」という話を審神者から聞いたことがある。自分たち刀剣男士には人権がなければ刑法の処罰も受けないが、倫理的にそれだけはやめて欲しいな、と次郎太刀はひとりごちた。

 

 

 

了

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