▼男審神者はあだ名として「はにわ」と呼ばれてます 御手杵は「結城義助」、たぬきはそのまま また普段の病弱審神者シリーズの現代パラレルなので審神者は審神者です
▼マジで結城紬なんですかね……怖……二次創作が公式になっちゃったじゃないですか……日本号が明らかに仕立ての高い衣装なら御手杵は素材が高い衣装なんですね……東西怖い
pixivからの転載
どんどこ、どんどこ。ぴーひゃらぴー。しゃんしゃんしゃん。そんな楽の音が聞こえてくる。人々のざわめき。雑踏の中、足を急がせているとその姿が見えた。周りから頭ひとつ飛び出ているそれを見つけると、自身は人を避けながら足早に駆け寄った。そして手を振って声を掛ける。
「ごめんごめん、遅くなっちゃって」
「本当におせーぞ、はにわ」
「腹減ったから早く出店回ろうぜ」
自身が待ち合わせていたのは、小学校に上がる前からの付き合いの幼馴染み2名。背の高い方は結城義助、比較的小柄な方は同田貫正国という。3人は自身の家が営んでいる道場に通っていたという縁があった。今は自身は野球部、御手杵と同田貫はそれぞれ学校の槍術部と剣道部に入っていた。そんな彼らは日頃練習に明け暮れているけども、今日という日は特別だ。地元で1番の祭りが今夜は執り行われる。そのためにどの学校も、学外の所属チームも、この日は部活を休ませるというのが方針だった。
その中でも先程から行き交う人々に見覚えのある顔がちらほら散見されたけど、今日は幼馴染み3人で遊ぶのが幼い頃からの習慣だった。巾着には小銭が詰め込まれている。わくわくとしながら、歩き出した3人。その中で、自身はふと思い立つ。そして自身を両側に挟んだ義助と同田貫を交互に見遣る。
「それにしても、2人とも毎年浴衣を着てくるね。俺もだけどさ」
そういう自身は白い無地の絣に紺の帯というシンプルなものだ。しかし左を見ると、黒一色――に見せかけた流水紋の裾。腰には扇を帯びている……ように見えるけど、自身は知っている。あれは喧嘩用の護寝具だ。血の気の多い同田貫に誰があんなものを買い与えたのか……自身はそう思いつつ、右を見る。テーマカラーと決めたとばかりの、幼い頃から変わらぬ緑色の浴衣。淡いグラデーションにも見え、帯はいつものTシャツの色より渋い臙脂色をしていた。そう、幼い頃からほとんど変わっていない。真の洒落者は同じ仕立てのものを何着も着続けると聴いたけども――自身はふと、義助に尋ねた。
「特に義助、お前いつも緑色だね。似合ってるけどさ」
そういうと、義助は照れたように頭を掻く。
「俺が気に入っている色だからなぁ。爺やもわかってるし、それ」
さてここで注釈が入る。義助の家、結城家は地元では名を知られた名家だ。義助はそこの長男だけども、優秀な異母弟に跡目を取って代わられた。以降、義助は本家から離れた屋敷で、爺やや婆やとひっそりと暮らした。今は学校が遠いため近くのアパートにひとり暮らししているけども、年老いた自分の世話役に時折連絡を取っていることは自身も知っていた。閑話休題、自身は気になることがあって尋ねた。
「まさか爺やさんが手ずから作ってるの」
「いや、爺やが注文してる」
「注文……?」
訝しげな自身に、義助は事もなげに言った。
「あぁ、結城紬」
思考が止まる。息も止まった気がする。同田貫は首を傾げていた。
次の瞬間、自身は義助に掴みかかった。
「結城紬? 結城紬?!?! お前そんなん小さい頃から着ていたの?! 普通に食い物とかラムネとか溢してたよね?!」
それに対して、義助はのんびりしたものだ。
「あー、結城紬は作業着みたいなもんだから。着物は青天井だからなー、もっと高くてさすがに汚せないもんもあるし、この浴衣なんてかわいいもんだぞ」
「お値段がかわいくないんだよ!!! たぬきからもなんか言ってやって!」
さて、このときの自身は気付かなかったけど、自分たちの言い争いでそれなりに周囲には騒ぎが伝わっていたらしい。それでも、同田貫は「あー」と頭を扇子で掻いた。そして言う。
「あー、ゆうきつむぎとかはよく知らねーけど。着心地は良いのか、それ」
「めっちゃ良いぞ。軽いし」
「ならよかったな」
「たぬき!!!!!!!」
その日の祭り。出店にも神社にも赴かず騒ぎ続ける3人の男子高校生の姿が見られたという。
了