「我が主、なぜこの部屋は誰もいないのに蒲団があるんだ?」
「あーー、お前らは同室だから知らないか」
「?」
「あのね、とても下品に端的に言うとね、『ヤリ部屋』」
「」
「あっ槍男士の部屋のことではないよ。うちはたぬきも槍男士部屋と同室だし」
「それはわかる」
「よかった。それでうちは念友が多いけど、大所帯だからお互いの部屋に同室者がいることが多い。だからそういう奴らが気兼ねなくセッできるようにいくつかの空室にさり気なく蒲団を置くようにしたんだよね。『使用したら蒲団は干してシーツも洗っておくように』ってメモを添えて。割と初期からやってるけど、使われてる痕跡があるから有用だとは思うよ」
「そ、そうか……」
「まあお前らは関係ないだろうけど」
「煩い主」
▼結局この本丸のちょもさんはあずちょもに決定しました。
pixivより転載
この厚い手が、あんな細やかな菓子を作れることに内心で驚きを隠せない。山鳥毛は、小豆の手に顔を挟まれながら口付けられている間、そんなことを思った。よそ事を考えていることに気付いたらしい小豆が、ふと柔らかく微笑む。
「かんがえごとか? 山鳥毛」
「少し、な。些末なことだ。……続けよう、他の小鳥たちがいない夜だ」
「そうだな」
ふふ、と笑い合い、小豆は山鳥毛を蒲団に横たえた。
この本丸では、山鳥毛は上杉家由来の刀剣男士で部屋を組まれている。当初は一文字で固まる予定だったが、
『南泉』
『なんだ』
『ウチは基本は部屋は同じ刀派か馴染みで固めてるけどさ』
『それがどうした……にゃ』
『南泉はさ、あれだけびびりちらかしてた山鳥毛と同室で平気? それとも上杉組で部屋を編成すr』
『後者で頼む』
『く、喰い気味に』
――という審神者と南泉の応酬ののち、審神者の采配でこうなったのだった。なお、他の一文字の刀剣男士が実装された場合は部屋の再編成が検討されている。閑話休題、そういうわけで小豆、山鳥毛、五虎退、謙信の4振りが現在同室に所属している。その後半の2振りは、それぞれ粟田口部屋と長船部屋に今夜は帰省していた。つまり小豆と山鳥毛の2人きりだ。
普段は空き部屋で睦み合っているが――なぜかこの本丸には空室に蒲団が置いてある――夜は短刀たちが部屋で待っているため、昼間にこっそりと事に及ぶしかない。しかし今夜は子どもたちはいない。それ即ち――内番着のまま、彼らは夜の交渉を持とうとしていた。
小豆は、蒲団に横たえた山鳥毛のジャケットを脱がす。下のロングTシャツの襟ぐりや捲り上げられた袖の下から覗く刺青が、今の小豆には扇情的に見えて仕方ない。山鳥毛の手の甲に口付けると、彼は身動ぎした。小豆の口付けは手の甲におさまらず、手首、腕へと落とされていく。ん、ん、と小さく声を上げる、山鳥毛は空いた手で口元を庇っていた。その手を取り去って、そちら側の手の刺青にも口付けを落としていく。最早手で抵抗することのできなくなった山鳥毛の左の目尻の刺青に、唇を落とした。そして見下ろす。顔も、刺青も赤らんでいた。それを見て小豆は満足げに笑う。
「こういってはなんだが――からだはしょうじき、だな」
「……その言い方は少々品がない」
「なんにせよ、わたしはそのきみのいれずみをきにいっているよ。わかりやすいしね」
「んっ……」
片手を放した小豆の手が、山鳥毛のTシャツの裾から手を入れる。その厚い手の感触に背筋が粟立った。腰のラインに沿ってなぞられる。ぞくぞくと甘い感覚が伝わってくる。空いた手で自らの口元を覆っていると、その間に器用にTシャツを胸まで捲り上げる。小さな突起が2つ、並んでいた。それに厚い手で触れると、小豆は片方の乳首に舌を這わせた。
「あっ……」
「……むかしから、きみはここがよわかったな」
昔、というのは上杉家時代の話だ。あの頃もこうして関係を持っていた。別たれて、もう永遠に逢えないと思っていた先の、まさかの再会。紆余曲折を経て、今、2人はこうしてまた共寝する関係に至っている。元鞘に戻るまでに心理的葛藤はあったにせよ、それ以上に昔の恋刃との再会はあまりに嬉しかった。なので来て日が浅いものの既に体の関係を持っている。
別たれていた時間を埋めるように、彼らは共寝を繰り返していた。そしてこの日の夜は、2人きりの部屋で夜に事に及べるチャンスだった。胸に口付けられ、舌を這われ。ふぅ、ふぅ、と山鳥毛は小さく喘ぐ。空いた手で再び口を塞いでいるが、静かな部屋に息が漏れていた。そして、小豆の手が山鳥毛の股間に伸びたとき、
「おーい小豆」
前触れもなく障子が開かれた。
「夜に悪いけどお前の作ったカスタードプディングって冷蔵庫? ……あっ」
審神者だった。山鳥毛は目を瞠る。小豆は顔を上げたが、悠然としていた。
しばし落ちる沈黙。
「……あずちょもか」
小さく呟いた審神者は、ぴしゃんと障子を閉めた。
「邪魔したね、ごゆっくり」
「ま、待て小鳥」
「まぁまて。ゆっくりといわれたんだからゆっくりしよう」
「慣れているな!? ――あっ」
ズボンの上から山鳥毛自身を触れられる。既に甘く勃っていたそれは、小豆の厚い手で服の上から押され、主張を強くする。乳首を舐められながら、ズボンの中、下穿きの中に手を入れられた。直に山鳥毛自身に触れられる。小さく体が跳ねた。ゆるゆると、小豆の手が上下する。山鳥毛は慌てて小豆の肩を押し退けようとした。
「待て、小豆、このままだと下穿きが汚れ」
「しーつをよごすよりはましだろう。まぁ、これからしーつもよごすんだが――よごれのどあいはすくないほうがいいだろう」
「待て、まて、あっ」
速く動いて、緩く動いて。緩急をつけて山鳥毛自身が手で舐られる。乳首も同時に舌で舐られているから、山鳥毛は堪ったものではない。しかし拒絶することもできず、小さく喘ぎ続ける。やがて小豆の手の中で、山鳥毛自身は屹立しきった。先走りが下穿きと小豆の手を濡らす。水音と共に、小豆は山鳥毛自身を扱いた。そして、不意に、彼の亀頭を指で強く押しつけた。山鳥毛の腰が跳ねた。
「あっ……!」
一拍おいて、山鳥毛自身から白濁が溢れた。びくびくと小刻みに震え、山鳥毛自身から残りの体液が出る。小豆の服を掴んで震えきった山鳥毛。小豆はその手を優しく解くと、手を引き抜いた。そして、山鳥毛のズボンを下穿きごと脱がしにかかる。山鳥毛が慌てる。
「待て、自分で脱げる」
「ほう、なら、ぬいでくれ」
「……わかった」
言ってから、山鳥毛は自身の失言に気付いた。小豆の前で自ら服を脱ぐ。それは強く彼を誘っている行いに思えた。尤も、既に今更だったが。山鳥毛は横たわったまま、ズボンを脱いだ。片足ずつ引き抜く、その様を、小豆の穏やかな双眸で見つめられる。それが堪らなく恥ずかしい。下穿きを脱ぐときが、1番恥ずかしかった。既に先走りと精液で濡れそぼったそれを、ゆっくりと脱ぐ。さっさと脱ぎたい気持ちもあったが、見られていると思うと変に緊張してしまう。それでもなんとか脱ぎ終えたのち、山鳥毛は脚を開いた。
「後ろの処理は……済ませてきたから、小豆。解してくれないか」
「――わかった」
承知して、小豆は枕元に置いていた潤滑液の瓶を手に取る。中身をたっぷりと掌に垂らすと、小豆は山鳥毛の後孔にそれを塗りつけて指を滑り込ませる。
「あっ……」
水音と共に、小豆の指が沈み込む。小豆の手は大きいので、指も太く、そのため1本入り込むだけで山鳥毛には圧迫感を覚えさせた。その圧迫感は、前立腺に触れたことで悦楽に結びつく。布1枚を隔てたような感覚だが、それも強く圧されていくと次第に性器に血が集まってくる。そのうち指が2本、3本と増やされていく。それなりに回数をこなしたことといえど、毎回後孔の拡張は慣れなかった。それでもこの行為は嬉しくもある――小豆を迎え入れる準備だからだ。
「……そろそろいいかな」
「あぁ……」
指を抜いた小豆が、自身の前を寛げる。何かを裂く音と衣擦れの音ののち、山鳥毛の後孔に熱いものが宛がわれた。来る。山鳥毛はシーツを掴んだ。
山鳥毛の足を抱えた小豆は、その姿勢で挿入した。ずぶぶ……と音を立てて、小豆自身が沈み込んでいく。
「……っ! うっ……」
「だいじょうぶか、山鳥毛」
「あ、大丈夫、だっ……」
気遣わしげな声が降ってきたが、山鳥毛はそれどころではない。小豆の大きい彼自身を受け入れるのには、中々忍耐が必要だ。最奥まで至れば一旦は息を吐けるのだが――そして今、小豆自身は根本まで埋まった。荒い息が部屋に満ちる。主に受け入れる側の山鳥毛の呼吸だ。それにいよいよ、小豆は心配になる。
「むりなようだったら、ごじつにするが」
「大丈夫、だっ……動いて、いいぞ」
「……」
小豆の目には、それは強がりに映った。実際のところは圧迫感と同時に満ちる性感でそれどころではなかったのだが。そして、小豆は思いついて、山鳥毛の片足から手を外した。そして自身を引き抜き、再び奥に突き入れながら――山鳥毛自身を手で擦った。
「あっ、あっ! やめ。それはやめ、」
「なにかいやなのかな? はっきりいってもらわないと」
やんわりと小豆は言葉で包み込む。その間にもピストンは止まらず、山鳥毛自身を扱く手も止めない。襲ってくる快楽に体を揺さぶられながら、それでも山鳥毛は言った。
「どっちか……どっちかにしてくれないと、嫌だっ……」
「なるほど」
そういって、扱く手を止める。だが、それは一瞬だった。
「だがことわる」
「そんな、あっ、あっ、あっ……!」
山鳥毛自身が下腹にぶつかる勢いで屹立している。それをいじり続けていると、ある瞬間、後孔が強く締めつけられた。
「あっ、出る、出るっ……」
「いいよ、だしてごらん」
「あっ、あ、あーっ……!」
最奥を深く穿ち、強く擦り上げる。その途端、山鳥毛は白濁を撒き散らして果て、小豆も突き入れた自身を強く締めつけられ、ほぼ同時に避妊具の中に吐き散らした。
荒い息が、次第に整っていく。その中で、漸く息を整えた山鳥毛は、忘れていなかったことを告げた。
「終わったし、小鳥に弁解に行こう」
「べんかいもなにも、みたままじゃなかったか」
「それを弁解に行きたいというんだ、あ、こら、まだ続ける気か」
「よるはまだふけたばかりだぞ」
起き上がろうとした山鳥毛の体を引き留め、首筋に噛みつく。それに小さく声を上げてしまった山鳥毛は、己の敗北を悟った。
結局事に及び続けた2振りが審神者の私室を訪れたのは、翌朝のことだった。
了
おまけ 審神者との後日談
「べつにべんかいなんてしなくてもいいとおもうが……」
「私の気持ちの問題だ」
「山鳥毛、お前、俺の私室の個人風呂を使わなかったみたいだけど、どうやって後ろの処理を済ませたの?」
「え? あぁ……ウォッシュレットを……」
「あーあれ不衛生なんだよね、刀剣男士なら平気かも知れないけど……今度から俺がいるときでもいないときでも気にせず私室の風呂を使っていいよ」
「いや、その……恥ずかしくてな……」
「んん~照れ屋設定~~」
「あぁ、だからあるじはあのときわたしたちのへやにきたのか。いつもこういうときはくうきをよむときいていたから」
「そうね~知ってたら精々障子の外から質問してたぐらいだったね~まああれだ、衆道の濡れ場は見慣れてるから。この5年で」
「審神者に就任してからじゃないか……」
「それ以前にも偶に見かけたよ? 入院していたときに医者と看護師のセックスとか」
「……? よく聴く気がするが……」
「看護師は男な」
「あっ」
「当時小学生の俺はさ、小児科の友達と隠れん坊してたら、物陰で立ちバック……あの後ろから攻めて受の片足を持ち上げるアレなんていうんだろ、とりあえずアレをしてるのを目撃しして、衝撃は受けたもののソッ……とドアを閉めたんだよね。ちなみに医者×男性看護師だった」
「23世紀の病院だと普通なのか……?」
「俺の入った病院が風紀が乱れていたせいかな~~まあ割と普通だったな」
「嫌な普通だな」
「んーとたしか医者は怜悧なイケメンというか美形で、看護師はかわいい系ゴリマッチョだったから丁度お前らと反対の感じだったね」
「そういうことはどうでもいい」
「まあそういうわけで大抵のことは動じないつもりだから、気にしなくていいよ。それより俺が両刀だってういのは物心ついたときから自覚してたけど、あれは中々衝撃的な絵面でさあ、病室の夜のベッドで勃起しちゃって大変だった」
「そこまでいわなくていい、小鳥」
今度こそ了