ぷらいべったーより転載
冬空の、月のきれいな夜だった。
年中行事はとにかく取り入れるタイプの本丸なので、年末年始の連隊戦の最中だろうとクリスマスも祝われる。しかしドタバタしていることには変わりない。この本丸では極短刀6振りのみがお歳玉を稼ぐが、その集めた玉を数えるのは本丸に残った者達の仕事だ。そういうわけで、クリスマスを祝うのは交代制だ。
その中で、小豆と山鳥毛が同じ時に祝えたのは幸運だった。
「去年もこんな調子だったな。着任したときとてもドタバタしていた」
「きみをむかえるためだったからね。なんとしてもしょうがつまでにきみをむかえる! とあるじはいきごんでいた」
大広間ではシャンパンを空ける音が聞こえる。酒を飲んでケーキを食べてチキンを食べて。そんな騒ぎの中、縁側に座る2振りは冷や酒を飲んでいた。自分たちには騒ぐよりも静かに酒を飲むのが丁度宜しい、そんな風に彼らはどちらも思っていた。杯を呷りながら、ふと山鳥毛は言う。少し、ばつが悪そうに。
「そういえば、クリスマスというのは物を贈る日でもあるようだな」
「そのようだよ。このほんまるにはさんたさんはこないから、たんとうはみためがおとなのとうけんたちにぷれぜんとをせがむ」
「サンタ、とやらはなぜ来ないんだ?」
「はなしはかんたんだ。あるじがものごころついたときからさんたさんをしんじていなかったからだ」
「あぁ、架空の存在なんだな」
「といわれているな。まぁ、ぷれぜんとをくれるひとをさんたさんとよぶほうがりにかなっているかもしれない」
ふと、沈黙が下りる。2人は杯を傾ける。そして、先に酒を飲んだ小豆が言った。
「あぁ、そういえばきみへのぷれぜんとをわすれていたな。すまない。いいわけさせてもらうとけーきづくりにほんそうしていたから……」
「それは構わない。私も最近になってクリスマスの存在を知ったからな。……来年はお互いに祝いたいな」
そう言って、室内からの照明と、夜空からの月明かりに照らされる彼が美しいな、と小豆は思ったので。この美しい刃に何か贈りたい、そう思ったので。
ふと、空を見上げる。
「山鳥毛」
「なんだ」
「そらをみてくれ。きれいなつきだろう」
「あぁ、きれいだ」
「くりすますぷれぜんとだ。きみにやろう」
すると、山鳥毛はきょとんと目を瞬き。そして、真面目腐った顔で答えた。
「有難う」
「まぁ、あしたのあさにはかえさなければいけないれんたるなんだがな」
「なら、それまでじっくり眺めることにしよう」
酒を注いだ。
了