R-18だと思った?
残念、普通の話でした
夏の強い日差しの下、俺は届いた荷物を宇宙の拡張領域へ格納していた。コンテナから出して型番を確認、スキャニングを済ませてから一つ一つ格納するので時間がかかる。
「楯無さんが手伝ってくれなきゃもっと時間がかかってましたよ」
「生徒会長として生徒のお手伝いをするのは当たり前の事よ」
「そこは彼氏の手伝いって言ってくれないんですね」
「もう、拗ねちゃいやよ」
「拗ねていませんよーだ」
あからさまに拗ねた様子でプイと明後日の方向を向いて作業を進める。実際は全然すねてなんかいないんだけどなんとなく楯無さんを困らせたい。
「ふふ、じゃあそういう事にしておいてあげるわ」
「………」
「どうしたの?」
「いや…なんだか嫌な予感が……」
「気の所為じゃない?悩みすぎると禿るわよ」
どうもさっきから嫌な予感が頭の片隅から離れない。何て言えばいいのかな…分かる人にしか分からないと思うけどインフルになった時に小便をした後の残尿感のようなものだ。
どうも沖が気になって仕方ない。束はこちら側の陣営にいるし銀の福音が暴走する事はないはずなのに。まどかの襲来も予定外だったしもしかしたら…まさかね。いや…念のために探らせよう。
懐からお札を一枚取り出して式神を呼び出す。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。ハクション大魔王でごじゃるよ」
「沖の方が気になるから見てきてくれないか。」
「へ~い、宇宙貸して」
待機状態の宇宙を渡して見送る。もしマドカがいたとしてもサイレント・ゼフィルスの一機や二機くらいならどうにかなるだろう。
「やっぱり気にしすぎだと思うのだけれど」
「本当に嫌な予感がするんですよ…なんかこう…虫の知らせって言うんですか」
「で、偵察を出すのは良いけど拡張領域に入った試験用の武装はどうするの?」
「あ!!」
急いで呼び戻し武装だけ嵐に詰め込めるだけ詰め込んだ。それでもコンテナ一つ分は入らなかったのでシールドビットの上に乗せて運んだ。
……
…
試験場所に戻ると束がISの調節を行っていた。何があったかは分からないけど悪いようにはなっていないようだね。
「早いな俊葵。もっと遅くなると思っていたが…急いだのか?」
「臨海学校の授業中くらいは自重しますよ」
各班に装備を配り終えた俺はビーチチェアに寝そべってクロエの用意してくれたラムネを飲んでいる。ちなみにラムネとサイダーの違いは、ビー玉栓のビンに入っているか否か。ただそれだけなんだそうだ。更に付け加えるとラムネビンの中に入っているビー玉は通常販売されているビー玉よりも小さい。
「授業中に寝そべってラムネを飲むことが自重するというのか。なるほど…よく分かった」
「そう怒らないで下さいよ。俺だって試験運用する武装があれば積極的に授業に参加しますよ?でも肉体労働をさせられて、やる事がありませんじゃあ寝そべりたくもなりますって」
「そう言うと思ってな…束、用意は済んだか?」
「もちのろん、クーちゃんも手伝ってくれたからすぐに終わったよ」
束の方を見ると打鉄やラファールよりも一回り大きい専用機が鎮座していた。黒を基調としたカラーリングで細部には黄色のラインがあしらわれている。頭部にはモノアイのセンサーが付いており武装らしいものは見当たらない。
まるでザクの神様みたいなカッコだな。
「でっけぇ…」
「むっふっふ、コレこそ俊くん専用の新しいISなのだ」
「マジかぁ…」
「良かったな俊葵。これでお前も授業に参加できるぞ」
束もニコニコと俺の顔色を窺っている。ここまでされて授業に参加しないのも悪いと思い、重い腰を上げた。
「へーへー参加してきますよーだ」
「初期設定は俊くんの好みに合わせておいたけど細かいところまではやってないからその辺をお願いね」
装甲の出っ張りを利用してISに搭乗する。
『初めまして俊葵様』
「パスィか、久しぶり。……初めまして?」
『はい、私はオリジナルから派生した分身ですので俊葵様との面識はございません。ですが記憶はございますので今までと同じように接してくださいませ』
「打鉄二式の中にいるのがオリジナルって事か」
『その通りでございます。打鉄二式のオリジナルを筆頭に宇宙、嵐、黒鍵、アリスの中にもインストールされております』
「それじゃあ忙しいだろ」
『その様な事はございません。現在は並列化を行っていませんので……俊葵様にも分かりやすく説明するとタチコマのようなものです』
「ふぅ~ん、そりゃ分かりやすいや」
パスィと雑談をしながらもセンサーや指先の感度を設定する。強化人間の俺からするとロックオンの感度と距離は常人の何倍も高い。しかしそれには弱点もあり感度が高すぎると本来、反応しなくてもいい物にまで反応してしまう。
「このISのコンセプトは何だ?」
『対アームズフォート用のISになっております。武装の説明は如何なさいますか?』
「今はいい。設定しながら適当に見るから」
右手で仮想立体マウスを操りながら左手で画面をタッチして設定を続ける。スラスター出力に四肢の感度、指先に至るまでありとあらゆる設定が存在する。授業で使う量産型ISはいつもこの設定を行っていると思うと専用気持ちの俺たちはかなり優遇された立場にあるのだと自覚させられた。
「超小型縮退レーザーミサイル、コレダー攻撃、近接用トマホーク、etc、etc…よく拡張領域に入りきったな」
「そのISは今までのISと違って拡張領域は殆どないの。だから武装は全て内部に搭載されているよん」
「流石…恐れ入ったよ…………」
「どうかした?もしかしてそのIS気に入らなかった?それなら作り直すけど」
「違う…ちょっと休む」
式神が何かと戦い始めたようだ。まだ式神に任せても良いが少し疲れている。これは集中して戦った方が良いかも。
ビーチチェアに寝そべって目を閉じる。銀の福音に苦戦するはずもないんだけど…
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます
次回は戦闘シーンでも書こうかな
……そもそも銀の福音に対して俊葵が本気を出したら負けるはずがないんだよなぁ(常識
まいったなぁ~~
仕方ない…ちょっと原作と違う話にして俊葵に苦戦してもらおう
ヒント:エイプリルフール