速アアアアアいッ説明不要!!
その代わり次の投稿は間違いなくかなり遅くなります
海面から1500メートル上空を駆ける影が五つ。俺、銀の福音、黄金の夜明け、アラクネ、そしてサイレント・ゼフィルス。
「La…♪LaLa~♪」
歌に呼応して福音の各部位が開きエネルギー弾を乱射する。全て直線的な弾道なので避けるのは容易い。しかしそのエネルギー弾は俺を通り過ぎてから戻ってきた。
「リフレクタービット…展開」
「ハハッ、所詮だね。期待して損したよ」
サイレント・ゼフィルスとアラクネの拡張パックなんて聞いていないぞ。それにこの空間は何だ…妙に暑くてたまらん。息苦しいし視界が歪む。
「凄いわねぇ。並のIS乗りならこのゴールデン・ドーンの生み出す灼熱地獄だけで辛いはずなのに」
反射したエネルギー弾も避けながら福音に反撃するが弾丸は宙を穿った。新型の広範囲爆撃ISに潜在能力不明のISが3機…普通なら逃げ出してるところだ。でも…。
「最っ高に興奮してきた!!手前ら全員ぶっ殺す!!」
根っからの負けず嫌いで独善的で自己中心。そんな俺の前にこんな強い奴らが立ちふさがっている。ならぶっ飛ばして突き進みたくなるのが俺の性ってもんだろ。
「エンジン開放、宇宙、突っ込む!!」
通常の何倍のGが肌にピリピリと刺激を与えてくれる。二つの縮退炉から生じるエネルギーは機体の推力に利用するには有り余った。ワンオフアビリティによって機体細部に刻まれた裂け目と翼からエネルギーが熱となり放出され空気中の原子をプラズマ化させる事で電気を纏っているように見える。
しかしそれでも熱エネルギーが消費されることは無い。消費されないエネルギーは機体の中に籠る。それはかなり危険な事だ。つまりそんな状況を打開するために俺はどうするかと言うと…。
「オーバード・ウェポンを使用する」
『どれをご使用になりますか?』
「マスブレードとグラインドブレードを同時展開、それと小型VOBだ。急げよ」
『了解(ラージャ)』
本来の大型武装展開は速度を落として行うべきなのだろうが緊急事態だし仕様がない。多少被弾しながらだけど展開はできた。
「あらあら、とても強そうな武装ね。でも私のバリアは破れるかしら?」
「無理に決まってるだろ、スコール。あんな武骨で優雅さの無い武器じゃ」
滅茶苦茶言ってくれるじゃあねぇの。ぶっ潰してやんよ!!
グラインドブレードを展開している左手を振りかぶって思い切りゴールデン・ドーンへぶつける。しかし見えない壁のようなものに阻まれて火花が散った。ラウラのAICとは根本的に違うようだ。何が原理か分からないけどぶっ壊せないのは癪だな。
「へっ、壊せないでやんの。福音!!さっさとこいつをやっちまいな」
「La♪」
「まどか、貴女も行ってきなさい」
「命令なら…」
レーザーの発射口を展開した福音と予備のビット兵器を展開したサイレント・ゼフィルスが俺の背後へと回り込んで来た。この距離だと避けるのは難しいな。
「瞬時加速!!」
VOBの噴射口を下へ向けて思い切りブーストをかけてなんとか回避する。
「ちっ…」
「La…」
まったく…口数の少ない奴と戦うのは苦労するぜ。ん?何故かって?そりゃ…文字に起こすのが大変だからだよぉ~~~!!
『先程の回避をもう一度行うとVOBが故障いたします。戦闘の続行に問題はありませんが壊れてしまいますと回避能力が』
「黙ってエンジンを噴かせろ!!いざとなったら生身でやる!!」
いちいち故障だなんだと気にしていたらこいつらを相手になんて出来ない。
「本当に嫌だね…こんなクールな奴らを相手にするのはさぁ!!」
左目の眼帯をむしり取ってISの各部センサーに接続する。頭の中に上下左右全ての様子が飛び込んで来た。
考えろ…どこが手薄か、次に攻撃来るのはどこか、考えろ。俺は戦闘のプロでもなければラウラたちのように幼いころから訓練してきたわけでもない。だから考えろ!!こいつらは力押しじゃあどうにもならない。
ビットやエネルギー弾を急加速や急旋回で回避するがそれでも何発かは被弾した。相手も人間だ…学習くらいする。ヒット数に対してエネルギー消費が激しいと。
「La…La~~~♪」
福音のバックユニットが割れてミサイルの発射口が見えた。まどかも使い捨てミサイルポッドを展開している。くそっ…こんな時に嵐なら手数で勝負ができたのに。
「マルチプルパルス展開!!最低限のエネルギーを残してチャージ急げ!!異論は聞かん!!」
『了解(ラージャ)』
ミサイルの発射と同時にチャージが始まる。その間はミサイルに被弾しないようにしないといけない。ヘッドバルカンの必要性はこんなところにあった!!
「チャージまだか!?」
『58%完了』
「もう発射する。マルチプルパルス前面に展開……発射!!」
ミサイルをギリギリまで引き付けてから発射。センサーには何発かの撃ち漏らしがあったこの程度なら問題ないだろう。手持ちの火器で対応できる。
大型のガトリング砲を取り出してミサイルの迎撃をする。
「あたしらを忘れてもらっちゃあ困るぜ」
ミサイルの迎撃に気をとられていると後ろからアラクネに拘束されてしまった。後ろから…なんて卑怯な!!とは言わない…これは実戦だ。卑怯汚いは敗者の戯言にすぎない。
「さて…ここからどう料理してやろうか」
「まずはあなたの顔を拝ませてもらおうかしら。私たちをこれ程苦戦させた相手はこれまでいなかったわ。だからそのお礼くらいは貰っていいと思うのだけれど」
何やら変な機械をこちらに近づける。きっとISを奪取するための装置か何かだろうな。束のISをそんなものに触れさせてたまるか。
ISを解除して待機状態に戻す。
「あら、なかなかどうしてイケメンね。お姉さん惚れちゃいそう」
「寝言は寝てから言いなクソババア」
「口の利き方に気を付けな。手を放して海に放り投げても良いんだぜ」
「口が減らないのはお互い様だろう?」
さて…銀の福音だけなら手加減しても良いと思えたんだがこの三人が一緒だと本気にならざるを得ないな。
「お前たちは本当に運が良い。俺の本気を相手にできるのだからな」
「はぁ?生身のお前に何がでk」
衝撃波で俺を捕まえていたアラクネを無理やり引っぺがし彼女たちから距離を取る。まだ体は動く…さてこの身体が壊れる前に何とかしなくちゃね。
「なんだいありゃあ!?」
「新型のIS…それとも…とにかく生け捕りにしましょう。本部に連れて帰ればいくらでも調べられるわ。M、彼を殺しちゃダメよ」
「分かった…」
「無駄話はダァメ~~~♪」
瞬時加速でマドカに組み付いて思い切り回転しながら海面まで数秒と掛からず叩き付ける。急加速と衝撃で気絶したのかプカプカと力なく浮いているだけだ。
「あはぁ♬全員…にぃがぁさぁなぁい~よぅ~~~♥」
目を大きく見開き口角を最大まで上げた邪悪な笑顔で彼女たちを見上げる。昨日の暴走とは違う。意識はハッキリしていた。ただ興奮が抑えられない…なんだか酔っぱらってテンションが上がった時にそっくりだ。今なら何でもできる…そう確信できた。
「おい、何だよあのバケモノは…ISのセンサーには何の反応もなかったぞ。スコール…まだあいつを生け捕るつもりかい?」
「もしあれがISだとしたら世界最高の性能は間違いないわね」
「そんなの見りゃ分かるさ。だからどうするか訊いてるんだ。Mだって素人じゃないのはスコールも…」
「もちろん分かっているわ。ただあの彼の性能を見ておきたいのよ」
「でも…あたしは」
「心配してくれているのね。嬉しいわ」
オータムの腰に腕をまわして熱い口づけを交わす。その瞳は母親が我が子に向けるような優しさに満ち溢れていた。
「オータムがそこまで言うなら後は銀の福音に任せて私たちは帰りましょう。貴女の言う通り死んでしまっては元も子もないもの」
「スコール///」
二人でイチャイチャと…俺の目の前で随分と余裕をぶっこいてくれちゃってんのね。いいぜ…そっちがその気ならどこまでも追いかけて血反吐を撒き散らすまでいたぶってやるよ。
「後は任せたぜ福音」
「La~~♪」
二人に追いつこうとする間に割って入る福音。
「邪魔だぁーーーー!!」
無理やり組み付いてゼロ距離斉射を浴びせてきたので衝撃波で吹っ飛ばす。やはり生身で攻撃を受けると欠損が激しいな。左腹部と胸部に被弾して抉られている。
「LaLa~♪」
人が乗っていなけりゃスクラップにしてやるところだ。
爆炎が掻き消える前に俺は瞬時加速でスコールとの距離を大幅に縮める。彼女に追いつくころには体中ボロボロだろうが腕だけ残っていれば十分。
「お痛はだめよ」
彼女までもう少しだというのに熱波ようなものに阻まれた。皮膚が焼け肉が爛れる。
「凄い…本当に凄いよ。こんなISがあるなんて。熱を操る俺とどっちが強いかなぁ!!」
俺も両腕を過熱させてバリアを破ろうとしてみたが火花が散るだけで効果はない。
これなら練習してたアレをやろうかな
「The world!!動きよ止まれ!!」
俺が叫んだ瞬間に俺の周り一帯が全ての動きを中止した。福音のエネルギー弾、アラクネが発射したミサイル、黄金の夜明けの熱波、全てが停止して動きを止める。
「面白いだろ?ちょっとしたお遊びさ。誰もが想像したことあるんじゃないかな。自分以外の時が止まったらって…まぁ俺のは時止めとは言い難いけどね。動けない気持ちはどうだい?」
さぁ…ショウタイムだ。
動けない時の中で黄金の夜明けに接近した時。まさに俺がスコールに組み付こうとした瞬間に心臓を撃ちぬかれた。ビームが飛んできた方を見ると壊れたバイザーから怒りに燃える瞳をこちらへ向けたマドカが見えた。
「がっ…かはっ」
周囲の時間が動き出し全ての攻撃が俺を襲う。
皮膚が裂け、肉が弾け、骨が砕かれ、内臓が焼ける。痛みは感じないが身体がバラバラになっていく感覚だけが残った。
「黄金の夜明けとサイレント・ゼフィルスの実戦テストは良好。それじゃあ帰りましょう」
「銀の福音は如何する?連れて帰るか?」
「いえ、銀の福音は私たちの撤退の援護。ここに残して追撃を迎撃してもらうわ。どうせパイロットを懐柔しない限り専用機は手に入らないし」
「そうだな。おい、エム!!そんなところでフラフラしてないでさっさと来い。帰るぞ」
「………」
薄れゆく意識の中で三人の背中が遠ざかって行った。嫌な予感は当たっちまったよ…宇宙の回収と福音の鹵獲……後は頼んだぞ…俺。
……
…
やられたか…生身なら勝てると高をくくったのが間違いだったな。相手はセカンドシフトをしていない機体だったのに負けてしまった。
「ちっ…くそッタレ!!」
手に持っていたラムネのビンを近くの岩にたたきつけて悪態をつく。物に当たるのはいけないと頭では理解しているがついつい物に当たってしまう。
「あ、あの…」
声がした方を向くとクロエが心配そうにこちらを見ていた。
「ご気分が優れないようでしたら私がマッサージなどをしますが…如何でしょうか?」
「大丈夫だ…少し気が立っているだけだから。酷いこと言うと思うから離れててくれ」
「しかし…」
「頼むよ……凄く機嫌が悪いんだ。クロエを傷つけたくない」
俺の気持ちを察してくれたのかクロエは自分のISの元へ帰って行った。しかし今度は束が心配そうにやって来た。
「何か問題でもあった?」
「ちょっと…な、しばらくしたら忙しくなると思う」
「もしかしてマドカちゃんの強襲?」
「それに近い。それよりラウラが呼んでるぞ。早く装備の調節をしてやってくれ」
どうして正直に言えないんだろうな。相手は全員、専用機持ちだったし逃げたとしても誰も攻めたりしないだろう。むしろ善戦したことを称えてくれるだろう。しかしそうではない。『負け』という現実は変わらないのだ。
「次はない…」
ぽつりと呟いただけなのにシャルルには聞こえていたようだ。
「なにが?」
「何でもないよシャル。……ちょっと用事があるから旅館に戻る」
「そんなことしたら織斑先生に怒られちゃうよ?」
「それなら大丈夫だ。あとちょっとしたら山田先生が走って来る。理由はすぐに分かるよ」
「?」
「それじゃあ行ってくる」
嵐を展開して旅館へ飛び立つ。千冬さんが何か言っていたが風の音に掻き消えた。
……
…
山田先生が慌てた様子で招集をかけたのはそれから数分後の事だった。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます
(この後どうするか全く考えて)ないです
とりあえず目下のところ雪羅の発現をどうするかですね
どうにかして一夏をピンチにしないと(使命感)