※この作品はR-18です。

ISの世界に舞い降りた一人の男   作:メシキ

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次の投稿は遅くなると言ったな

…アレは嘘だ




65話

 

 

 

旅館に帰った俺はまず女将の清洲景子さんに会いに行った。

 

IS学園がこの旅館を使用しているのは関係者以外には伏せている。メディア関係者は言うに及ばず、政府関係者にも一切の情報を公開せずに行っている臨海学校だ。誰かの襲撃を受けること自体がおかしい。

 

だったら内部犯を疑うのが一番だ。しかしIS学園の生徒、教師、それらの関係者の銀行口座や通信記録をパスィに調べさせたが何の問題も見つからなかった。ただの一人を除いて…。

 

「まさかIS学園が毎年使用している旅館のスタッフの中に…それも女将が亡国企業のメンバーだったとは思いもしませんでしたよ」

 

「よく分かったわね。そうよ、私は某国企業の一人…みんなは私の事を凪(カーム)と呼んでいるわ」

 

「誰にも靡かないって事なのかな?でも俺には靡いて欲しいな」

 

「それはあなたの部下に成れって事かしら?」

 

「その通り。景子さん、貴女はどうも自分に嘘をついている。本当は彼らに従いたくないんでしょう?」

 

黙って下を向く景子さんに構わず続ける。

 

「とある時期からあなたの口座へ多額のお金が入金されている」

 

「それは夫の保険金よ」

 

「違うね。ただの自動車事故にしては多すぎる額だ。それにあなたは結婚していない。出所不明で海外口座からの入金…そして同時期にIS学園専用の旅館として使われ始めた」

 

全てパスィが調べてくれた。IS学園の地下にある巨大なサーバーを利用していなければきっと調べる事は出来なかっただろう。

 

「それに今回の奇襲はタイミングが良すぎた。本来なら今年の臨海学校は銀の福音だけが襲撃する予定だったんだろう?しかし俺というイレギュラーが生じ専用気持ちを三人も用意した」

 

「……あなたの言う通り。私は企業からお金を受け取ってIS学園の情報を横流ししていたわ。でも仕方なかったのよ。祖母から受け継いだこの旅館を護るためにはお金が必要だったのよ」

 

「だからって…いや、貴女にとってこの旅館はとても大事なものだったんですね」

 

「責めないの?」

 

「誰にだって大事な物の一つや二つは有りますよ。だから僕にもそのお手伝いをさせてください」

 

「それは…どういう…」

 

今まで情報を流し続けていたターゲットからそんな提案をされたら信じられなくて当然だろう。しかし景子さんに悪気はない。心の奥でかなり葛藤してきたことが分かる。

 

「お金が必要なら俺が工面します。守ってほしいのなら俺が守ります。その代わり景子さんは俺の下で働いてくれませんか?」

 

「……」

 

疑いの目を向けられるがそれも仕方ない。

 

「正直なところ貴女が欲しいんです。美人でお淑やかで和服が良く似合う。なにより幸薄そうな未亡人ってところに惹かれました」

 

「もし私が従わなければどうするつもり?」

 

「死んでもらいます。脅しじゃありませんよ」

 

「選択肢はないのね…良いわ。あなたの女になる」

 

袖口に隠したナイフを拡張領域になおして、改めて歓迎する。束たちは色々と小言を言うだろうが俺がスカウトした女だ。それに能力を使って若干洗脳したのだから裏切る心配は一切ない。きっと納得してくれるだろう。

 

……

 

…

 

俊葵が景子をスカウトしている時、専用機持ちは個室へ集められていた。

 

「以上が現在、我々が置かれている状況だ。理解できたか?」

 

「はい!!」

 

返事をしたのは一夏だけで代表候補のみんなは返事をしなかった。

 

「どうした、返事が聞こえなかったぞ」

 

セ「福音がこちらに向かって来ていることは承知しました」

 

ラ「しかし暴走の原因が不明ではどう対処してよいのか分かりかねます」

 

鈴「実験の失敗なのか…それともハッキングされたのか」

 

シャ「パイロットも搭乗している事を仮定すると鹵獲は我々の戦力だけでは不足だと思います。福音の基本スペック、装備、戦闘パターンなど開示をお願いします」

 

「暴走の原因については米軍から何の情報も与えられていない。しかし基本スペック等の上方なら条件付きで受け取った。しかしこれらを開示するとお前たちには守秘義務が課せられる」

 

セ「死ぬよりはマシですわ」

 

シャ「セシリアの言う通りだよ」

 

一夏「みんなを守るためにも教えてくれ」

 

簪「情報戦は基本」

 

「そうだな…これが福音の情報だ。決して口外するな」

 

メモリーチップを受け取った皆はそれぞれISに接続して福音のスペックを確認する。まだISに疎い一夏はよく分かっていないようで鈴に教えてもらっている。

 

そんなところへ俊葵参上。

 

「待たせたな。いまどの辺まで話し進んでる?」

 

「福音の基本スペックに目を通してもらっているところだ」

 

「報酬は?」

 

「そういった話は出てきていないな」

 

「じゃあ情報を提供してくれた人に電話つないでください。報酬の話をします」

 

何処からともなく現れた束が俺に携帯端末を渡してくれる。4コール目でようやく電話に出た。

 

「忙しいんだ。後にしてくれ(英語)」

 

「私は松崎俊葵だ。報酬について話がしたい(日本語)」

 

「なんの様だ?英語で話もできないのか?(英語)」

 

どうやら俺が誰か分かったうえでこんな態度をとるのか。教育がなっていない証拠だね。さすがはアメリカ産の種馬、脳みそはすっからかん。

 

仕様がないので自動翻訳をする。

 

「報酬の話がしたい。我々は無償でISの暴走を止める程お人好しじゃあない」

 

「ふん、お前たちは黙って従っていればいいんだ」

 

「そうか…なら暴走したISは俺たちの予想外のスピードで市街地へ侵入。その後、万単位の人間を殺戮…うん、良いエピソードだ」

 

電話を切り束へ返す。

 

「今すぐに銀の福音の暴走を公に晒せ。報酬を払うつもりが無いのなら払わなきゃいけないような状況を作ってやる」

 

セ「俊葵さん、何を考えているのですか!?こうしているうちにも福音は人口密集地へ侵入しようとしているのですよ!?」

 

「タダで死ねと言われて死にたくない。それにIS学園関係者ならいざ知らず、名前も顔も知らない誰かが死んだって構わないよ」

 

一「俊葵が行かないなら俺が行くぜ。誰も傷つけさせない」

 

一夏が勝手に部屋を出ようとしたので手首を掴んで思い切り壁に放り投げた。強く背中を打ち付けた一夏はせき込んでいる。そんな一夏に銃を向けて問いかける。

 

「福音は最新機だぞ。下手したら死ぬかもしれない、死なないにしても怪我をするのは間違いない。なのに無償で暴走を止めるのか?そんなのは論外だ。なによりアメリカの態度が気に入らない。日本の領海を侵犯し、違法な実験をして、暴走したら『お前たちで何とかしろ。金は払わないぞ』ときたもんだ」

 

「げほっ…げほっ…だからって死んでいい人間は一人もいない!!」

 

「実力も無いのに綺麗事をぬかすな。せめて身近にいる恋人の一人くらい守れるようになってからそういう事は言え」

 

「守れるさ!!」

 

一夏が俺の胸ぐらを掴んだと同時に鈴の両腕を操作して首を絞めさせる。

 

「鈴!?俊葵…お前!!」

 

「守れていないじゃないか」

 

「…それは……俊葵が!!」

 

「じゃあ福音なら待ってくれるのか?テロリストが待ってくれるのか?待っちゃくれないよ……だから俺は一度死んだんだ」

 

困惑する専用機持ちに数時間前の出来事を話した。みんなありえないといった様子で静かに聞いてくれた。

 

「一夏…俺はお前の考えを否定したいわけじゃない。でも綺麗事じゃどうにもならないヤツが相手なんだ」

 

「俺は……悔しい、すごく悔しい。全部、俊葵の言う通りだ。気持ちばかりが逸って実力が追い付いていないのに」

 

「一夏、正しさとは強さだ。強者が雪を黒いと言えば黒くなる。それが世の中の理だ。強さこそ…」

 

「俊くん電話きた」

 

気分良く一夏に説教していると束に中断されてしまう。別に不機嫌になったりはしないがちょっぴり興が冷めてしまった。

 

「もしもし?」

 

あからさまな不機嫌な返事。それでも相手はちゃんと返事を返してくれた。

 

「私は米軍の司令部の人間だ。報酬について話がしたいというのは君かね?」

 

「俺の携帯に掛けてきたのはあんたらだろ?察しろよ…使えねぇな」

 

「単刀直入に言わせてもらうと報酬を払う気は全くない。誰が好き好んで年端も行かない子供に報酬を」

 

「じゃあ福音はパイロットごとバラバラになり海に沈んじゃうな。ISのコアも修復不可能になってね。いやぁ~仕方ないだろ。だって最新機だよ?本気で戦わないと危ないしさぁ」

 

「…アメリカと戦争がしたいのか?」

 

「調子に乗っていると痛い目を見るぞ。俺は誰にも屈しないし、従うつもりもない。それは俺が誰よりも強く気高いからだ。一度だけしか言わないから注意して聞け。報酬は10億ドル、戦艦大和のサルベージ、及び改装。大和のサルベージと改修は仕事が終わってから一か月以内でやれ。もし万が一にでも払うつもりが無い場合は……途方もないお仕置きを遂行する」

 

「ふざけるなよ若造が…」

 

「そうか、じゃあ仕事を済ませてからお仕置きをしよう。これは商売だ。お前たちの依頼で俺は動く、だから雇い主のお前は俺に報酬を払う。それがなされない場合は裁かれて当然だ。ただ裁くのが俺というだけ。いつまでも最強気取ってんじゃねぇぞクソ豚。上には上の存在がいるって事を思い知らせてやる」

 

携帯端末を握りつぶしてゴミ箱に捨てる。

 

ち「俊葵…まったくお前と言う奴は…」

 

た「うんうん、俊くんはそうでなくっちゃね」

 

ク「アメリカと戦争をするおつもりなら私にも一声おかけくださいませ」

 

「どうせ無駄金を大量に持っているんだ。俺が代わりに使ってやるよ」

 

た「ところで仕置きってどんなの?」

 

「宇宙から数トンの隕石を数個落とす。人工衛星よりも高い位置からの襲撃だ。ただの隕石の仕業なら俺がやったなんて気付かないだろうしね」

 

一夏や箒は信じられないという顔をしている。何万人という人を殺すんだ…その反応が当たり前だ。

 

一「もう俺が言っても止まらないよな」

 

「分かってんじゃん」

 

握った拳を突き出してきたので俺も拳を突き出してぶつける。

 

「それじゃあ…行こうか!!」

 

福音を止めるために結成されたチームが空へ舞い上がったのは、アメリカからの詫びの電話が入った後だった。

 

 

 






今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます

主人公がアメリカと戦争しちゃうかも……どうしよう

いや、主人公が負けて死んでしまうのが心配なのではなくて絶対に負けないというのが問題なんです

ピンチにならない主人公…アーカードの旦那でさえ少しはピンチになったのにこのまま俊葵を成長させると無敵なるなこりゃ

ま、なるようになるさ

次回もよろしくお願いします

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