やっと終わった!!
これで話が進むぜ
臨海学校編終了
という事で初投稿です
俺は一夏達が遭難した海域にある無人島を文字通り駆け回っていた。ISの反応が無いのできっと白式も甲龍も壊れているのだろう。人間は水も食料もなしで数日は生きられる…しかし外傷を負った極限状態のはず。
「式神たちは何をやっているんだ」
まだ亡国企業がこの海域にいる事も考慮して宇宙と嵐、そして新型ISの『ガンバスター』をそれぞれ5機ずつ式神に装備させ一夏達を探し回っている。
もしかしてもう死んでしまっているのか…いや、そんなはずはない。俺の占いがそう言っているんだ。俺の占いの的中率は100%、預言は絶対です。お目覚めテレビの占いカウントダウンよりもよく当たる。
「勝手にくたばりやがったら地獄の果てまで追いかけて金玉引きちぎってファックしてやる」
『俊葵様、一夏様を保護いたしました』
速いな、おい。俺はまだまだ時間かかると思っていたのによぉ。
「何処で見つかった?」
『俊葵様が探しに出た後で束様が海岸から数百メートル地点に浮かぶ無人島で発見いたしました。狼煙が上がっていたのですぐに見つかった模様です』
「マジかよ…」
式神たちを全て札に戻して目を開ける。左右から繰り出させる突きと蹴りを上手くいなしながら半歩下がり体勢を立て直した。
「一夏は見つかったようですよ、千冬さん」
「そうか、お前が見つけたのか?」
「束が見つけたみたいです」
15体全ての式神を札に戻したので15体分の経験が一気に身体と脳を駆け巡る。様々な匂い、感触、味、景色が記憶として頭の中に流れ込んで来た。
「隙ありよ!」
楯無さんが千冬さんと入れ替わりで俺に攻撃を仕掛けてくる。見様見真似の拳法だけど圧倒的動体視力と筋力を駆使すればなんちゃって拳法でも十分強い。
攻撃を受け流しては反撃、楯無さんも先を読み俺の攻撃を受け流し反撃。ずっとこんな感じで変化が無い。達人同士の戦いは短いか長いかのどちらだが今回は長いようだな。
「一夏も戻って来るようですしそろそろ止めにしませんか?」
「そうね、早朝からずっと戦いっぱなしで疲れたわ」
「私もだ。いきなり呼び出されたかと思ったら訓練してくれなどと…昨日の今日で、まったく。少しは休んだらどうだ?」
「休むわけにはいかないんですよ。俺はもっと強くならないと…」
「これ以上強くなられたら私たちの立つ瀬がない。私たちを頼ってもいいんだぞ」
「そうそう、もっと頼って欲しいわ」
左右から優しく抱き着かれては「はい」と答えざるを得ない。
「そうだな…頼るもの大事だよな。よし早速頼っちゃおうかな」
「何かな何かな?お姉さんに言ってみなさぁ~~~い」
「マッサージをしてくれないか?昨日から戦い通しで疲れちゃって疲れちゃって」
「千冬さんもお願いします」
「ふっ…私も今日は山田君に頼るとするか」
俺は二人にすり寄られながら旅館へと戻った。
……
…
「山田せんせ~~、織斑先生と俊葵さんは何処ですか?もしかして昨日なにかあったんですか?」
「二人は昨日の事で少し用事があるみたいです。詳細は説明できませんがなにも問題ありません。さぁ、皆さん手を動かしてください。今日は忙しいですよ」
各々にISの試作武装を展開させ昨日できなかった訓練を再開させる。みんなてきぱきと行動してくれるのでこの調子だと今日中に終わり、夜にはバーベキューもできるかもしれない。今年の臨海学校はトラブルで延長してしまったし生徒たちにもお詫びとして少なからずサービスしても良いと思う。
「それよりも…職権乱用はいただけませんよ。織斑先生」
朝ご飯を摂り試作実験の準備に取り掛かろうとしていたら、「悪いが私は俊葵に用事がある。午前の授業は山田くん一人で行ってくれ」と急に言われ一人でやる羽目に…。私だって俊葵さんとイチャイチャしたいのに。
「はぁ…」
「どうかしましたか山田先生」
「いえ、何でもありません。早く終わらせたらそれだけ自由時間も増えます。早く終わらせて遊びましょう」
「やった~~」
「まややん分かってるぅ~~」
こうなったら早く授業を切り上げて私も俊葵さんとイチャイチャします。昨日のアレだけじゃあ全然足りません。
……
…
千冬さんと刀奈にマッサージをしてもらいながら空中に投影しているモニターを使いちょっとした「仕事」をかたす。
「マッサージをして欲しいとか言っておきながら私たちは無視か?」
「いや、アメリカがちゃんと報酬を払ってくれるそうなんですよ。大和のサルベージも日本政府と協力して行うそうです」
正直なところ喧嘩腰での交渉だったのでこうして報酬がしっかりと支払われることに関して驚きを隠せない。下心は少なからずあるのだろうが法外すぎる報酬を良くもまぁ払う気になったものだ。
「それは良かったわね。でも大和のサルベージは批判的な人もいるわよ?」
「それは分かっているよ。でも俺は日本を守護った魂をこの目で見たいんです」
「本音は何だ?」
「戦艦大和を隅々まで調べ上げて超大和級戦艦『紀伊』を建造します。そして二番艦、三番艦と量産して世界最強の大艦隊を作ります」
「空母は作らないの?」
「作ったところでパイロットが必要だ。それならみんなのISと戦艦をリンクさせ、一人に一隻ずつ戦艦を任せた方が良い。」
いくら戦闘機が攻めて来ようと撃たれる前に撃ち落としてしまえば問題ない。ミサイルや銃弾だって縮退炉を動力にすれば直撃したって傷一つつかないイナ―シャルキャンセラーを発生させることができる。
「設計は出来てもそれを作る材料や場所はどうするつもりだ?」
「束が所有している島にドックが有ります。資材だっていくらでも用意できますよ。海の底には人類がまだ見ぬ資材に溢れています。俺ならそれらを発掘できる」
「人材はどうするつもり?」
「俺を数百人に分身させれば何の問題もないよ。資材の精錬、加工、組み立て、全て俺だけでする事が出来ます。必要なのは設計図と時間だけです」
精錬するための熱も、熱した金属の加工も、組み立ても超能力さえあれば何でもできる。
「俺は何でもできる。ただ面倒臭がってやらないだけです」
モニターを消して千冬さんと刀奈のおっぱいに顔を埋める。千冬さんからはミントの香り、刀奈からは甘い香りがした。
「甘えん坊だな」
「ふふ、可愛いわ」
どうも甘えてしまう。でも仕方ないだろう…みんなが俺に頼ってくれと言うのだから。嗚呼、生まれてきてよかった。
……
…
旅館の裏手にある森
「昨日ぶりかな、織斑マドカ」
「何故私がここに居ると分かった?」
「そりゃあ俺が知っていたからさ」
お道化て見せると懐から銃を取り出して俺に向けた。それと同時に俺もSAAを彼女に向ける。彼女のソレとは違い戦術的優位性なんてありもしないいぶし銀の装飾だらけ。左手のSAAには青龍、右手のSAAには白虎が彫られている。
「震えているぞ」
「クッ…私だってお前くらい」
「どうして俺にそんな拘る?」
「お前を殺すことが私の仕事だからだ。任務はこなさなければいけない。それは雨の日に傘をさすくらい当たり前な事だ」
「お前は自由じゃないな」
「私は生まれた時から自由なもんか。私は闘い続ける事を運命づけられているんだ」
眉間にしわを寄せて俺を睨みつける。
「雨の中、傘をささずに踊る人がいても良い。自由とはそういうものだ。俺の元へ来ないか?」
「なんだと!?」
「お前が欲しい。お前を抱かせてくれ」
「んな…ななな(わなわな」
ワナワナ症候群かな?
「バカを言うな!!私は敵だぞ!!」
「それがどうした。俺がお前を自由にしてやると言ったんだ。お前の好きな千冬さんにも会わせてやるぞ?」
千冬さんの名前を出すと目の色を変えた。やっぱり千冬さんに何かしら思いがあるだろうか。
「ただし千冬さんにどんな想いがあるのか教えて欲しいな。さぁ…教えてくれよ」
マドカの目を見ながら心の底に語り掛ける。優しく、ゆっくり、全てを受け入れる声でマドカの中に入った。
「私は出来損ないなんだ。誰からも愛されていない。でも彼らは私のスキルを必要してくれた。だから私は従ったよ。……姉妹は全て処分されたけど私は生き残れた。本当は千冬姉さんに愛して欲しかったんだ。家族が欲しかったんだ…」
マドカも俺やクロエと同じだったんだな。ただで逢えた人が違うだけ。
「マドカ、俺の計画の一部になって欲しい。だけど今は時期じゃあない。また会おう…お前はもう俺のモノだ」
マドカの足元に俺の連絡先を書いた紙きれを一枚残して影の中に潜った。
……
…
マドカとの会合を終えて部屋に備え付けられている机の陰から部屋へと戻った。束は姿を現した俺に驚いた様子もなくタイプライター型のキーボードをカタカタと鳴らしている。レトロな感じが何とも言えない。
「マドカに会って来たよ。彼女には俺の連絡先を渡しておいた」
「そう…なんだか複雑な気持ちだな」
「彼女は居場所が欲しかっただけなんだよ。俺やクロエと一緒なようにね。だから俺は居場所を提供してやることにした」
千冬さんの方を見ると複雑な表情をしている。
「私の不始末が引き起こしたことだから決着は私がつけたかったのだがな。俊葵、お前がマドカを受け入れるというのなら俺はそれに従うだけだ。せめて幸せにしてやってくれ」
「何言ってるんですか?俺たち全員でみんなを幸せにするんです。一人はみんなの為にみんなは一人の為に、ですよ。千冬さんとマドカの姉妹丼も食べたいですしお寿司」
「ふっ…変態が」
しかし千冬さんの表情は柔らかく憑き物が落ちたようだ。
「俊葵、お前は凄いな。何でもできてしまう。私がずっと悩んでいたことが馬鹿みたいだ。俊葵なら世界を平和にできるかもな」
「それが俺の最終目的ですから。素晴らしい人間が統治する平和な世界。誰もが幸せになれる世界」
「俊くんの作る世界ならなんだって素敵だよ」
「世界中の人間が笑顔に暮らせる世界を作ろう。それが俺たちの目標だ」
……
…
「たまに俺が誰だか分らなくなるよ。分身も多用するとこんな弊害があったんだな」
「なにかおっしゃいましたか?」
「何でもねぇよ」
俺の日本語が分からなかったのか聞き返してきたので適当に流す。
今は国際空港からアメリカ大使館に向かうリムジンにくそッタレの交渉人と乗っている。今回の報酬を届けに来たとかなんとか英語で宣ってた。俺と話したいのなら日本語を話せってんだ。
「まさか臨海学校中でお忙しいなかご足労いただけるなんて」
「あぁ、そうか。あんたは日本語を話せるんだったな。となりの白豚にも日本語で話せと言ってくれないか」
「と、俊葵さん、あなたがいくらISのパイロットで今回の英雄だからと言ってその発言はよした方が…」
「そうだな…汚い言葉を使うのは良そう」
まだ時期ではない
「悪かった。拙い英語だが頑張るよ」
……
…
その後、大使館でどでかいアタッシュケースを数個受け取りナターシャの身柄をアメリカ側に受け渡した。勿論、銀の福音には監視システムを上手く隠してある。
「まさか本当に払うなんてね」
「アメリカ政府も日本と…いや、貴方とより良い関係を築きたいものでね」
「あんたらが興味あるのはコイツだろ」
スマホのトップ画を見せると目の色を変えた。やっぱりな。
「束博士とあなたはどのような御関係で?」
「ビジネスパートナーみたいなもんさ。束は俺の秘密を知りたがっている。俺も束の作るISには興味がある。お前らはそのおこぼれを貰おうとしているな」
「その為にこちらをご用意させていただきました」
三人の男がカートを押してきた。車輪の音から察するに何か重い物を乗せているのだろう。荷物を覆っているカバーを外して驚いた。
「これはお近づきの印に。ほんの気持ちです。これであなたを我々側にいて欲しいとは考えていません」
「そう、なら気兼ねなくコイツを受け取れるな。その言葉通り俺は西にも東にも付かない。俺が付くのは最高にイカした女がいるとこだ。それよりどうして俺の好みが割れてんだ?」
「独自の情報網とだけお伝えしておきましょう」
「壁に耳あり障子に目あり、片と背中に妖精さんってか。世界平和の為に俺が出動するような事件が起きない事を祈ってるよ」
カートの上に乗っている純金と白金の延べ棒を拡張領域の中にしまってから大使館を出る。その際に中指立ててベロを出しているところを見た奴はいない。
「待って、まだお礼を言っていなかったわね」
呼び止められたので振り返るとナターシャがいた。金の為にやったことだ。お礼を言われる筋合いはない。でもナターシャにとって良い人であることに不利益はない。
「ありがとう、この子もきっと喜んでいるわ」
「そりゃあ良かった。ISは生きているんだ。可愛がってくれよ」
「詩的表現ね。そういうのは大好きよ、ちゅ♥あなたとはまた会いたいわ」
俺もだよ。
くちびるに残る彼女のぬくもりを確かめながら誰にも見られないところで札に戻った。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます
次回からは夏休み編に入ります
もしかしたら期末テスト編も挟むかも
では次回
スペースメシキでまた会おう