時に理由が無いけど初投稿(ホモ特有のこじつけ)
台風には用心してくださいね
特に田んぼや用水路は見に行かないように
クロエとの初デート、俺は今までのデートよりもはるかに困っていた。本音や簪は「ここに行きたい」「ここで食事がしたい」と明確に要望を言ってくれた。しかしクロエは「俊葵様の赴くままに」「俊葵様のお好きな物を」と自分の要望を言ってくれない。いや、それが要望なのかもしれないけれど俺としてはクロエ自身に楽しんでほしい。
「折角だし新しくできたカフェにでも行ってみるか?」
「畏まりました」
「ダメダメ、今日の俺たちは主人とメイドじゃなくて恋人同士なんだからそういうのは禁止」
「わ、分かりました。俊葵さ……俊葵さんが行きたい場所にクロエも行きたいです」
「じゃあ新しくできたカフェに行こうか。ずっと行ってみたかったんだ」
「じゃ、じゃあそれ…で」
恐る恐る…いや、どちらかと言うとこれは慣れないしゃべり方に混乱しているのだろう。しかし俺の言いつけを守る辺り素晴らしい。
カフェに向かう道すがらもずっと俺の三歩後ろを慎ましやかについて来ている。今時分こんなにお淑やかな大和撫子はなかなかお目に掛かれないぞ。
そんなクロエはとても綺麗だ。だから何度もナンパされているが全て躱し切っている。すげぇ…。
しばらく歩みを進めてカフェの前に銀行へ行った。もしカードが使えない店だといけないし、現金はいくらか財布に入れておきたい。
「それじゃあATMに行ってお金下ろしてくるから」
「分かりました。ではソファをとっておきます」
とっておきます…か。クロエも段々と日本に慣れてきたようだ。
順番待ち用の札を機械から受け取りクロエの元へ帰ろうとした瞬間、銃を持った覆面の三人組が銀行に入って来る。そのうちの一人がショットガンを天井に向けて威嚇射撃をした。
「テメェら全員人質だ!!おかしな真似しやがったら撃ち殺すぞ!!」
決まり切った文句を垂れながら受付の女性に、これまたお決まりの文句を垂れる。
「このかばんに入るだけ札束を詰めろ。早くしねぇと人質が死んじまうぞ」
「は、はい!!」
受付の女性は青ざめて裏の方へカバンを持って行った。これからお金を詰めるのだろう。
ショットガンを持った犯人以外の二人は人質を一か所に集めている。賢明な判断だけど武装がハンドガンだけじゃあ心許ないな。サブマシンガン程度は持って来た方が良いぞ。
「おい、テメェも人質なんだ。さっさとあっち行け」
ショットガンの銃口がこっちを見ている。これはいただけない状況だな。撃たれてしまったら服がぼろごろになってしまうし、血で汚れてしまう。
「俺このあと予定あるからさっさとお金をおろしt」
「聞こえなかったか?さっさと行け」
ここで争っても仕様がないので大人しくクロエの隣に座る。それにしても銀行強盗に巻き込まれるなんてついてないなぁ。
「俊葵様、このような連中でしたら4秒も有れば削除できます。いつでもご命令を」
「警察の目につくのはいただけない。黙ってやり過ごそう」
警察の目に留まってはこれからの活動に多大な影響が出てくる。俺はいま指紋、声紋、網膜のデータが無いんだ。これを機に調べられて登録なんかされたら最悪だ。
「おい、あんた。強いのか?あいつら銃を持っているけど人数を集めたら何とかなるかもしれないぞ」
人質の一人が俺に犯人を捕まえる計画を話しに近づいてきた。その人の後ろにはガタイの良い男性が4人ほどいる。
「バカ言うな。相手が素人だったとしても銃を持っている相手に無謀すぎる」
「でもこのまま悪事を見逃す気か?」
「俺はまだ死にたくないの」
「おい、そこ!何をこそこそ話している!?」
チッ…こいつが俺に話しかけてくるから犯人に目立っちゃったじゃないか。
「抵抗なんかするなよ。こっちには…こいつがあるんだ」
これ見よがしに銃を見せつける。でも俺が普段使っている銃からしたらおもちゃみたいなもんだ。
「変な格好しているがなかなか美人じゃねぇか。俺たちの相手でもして貰おうかな。はははは」
そう言ってクロエの手を掴む。その瞬間俺の身体は勝手に動いていた。
まずはクロエの手を掴んでいる手の手首をほんのちょっぴり本気を出して握り骨をへし折る。次に太ももを思い切り蹴って大腿骨を粉々にした。
「ぐあ!!」
「てめぇ!!兄貴をよくも!!」
ハンドガンで身体を撃たれるが何のダメージもない。
縮地で距離を詰めて顎を砕いて気絶させる。最後の一人の方を見ると腰を抜かしてへたり込んでいた。
「おい…あんた撃たれてるぞ」
「そうだな。最悪だ…お気に入りの服が汚れたよ」
「早く救急車を」
「呼ばなくていい。こんな傷じゃあ死なないよ」
「で、でも」
「しつこい!!俺は今お気に入りの服をボロボロにされてイライラしているんだ!!黙ってろ!!」
胸糞悪い。最低最悪な気分だ。
「俊葵様、お着替えでしたらお手洗いでどうぞ。替えのお洋服はコチラに」
「あぁ」
クロエから替えの服を受け取りトイレの中で着替える。お気に入りのシャツだったがボロボロの血まみれになってしまった。証拠品として押収されるのも嫌なので原子分解で処理した。
トイレから戻ると既に警察や救急隊が駆け付けており犯人グループは担架で運ばれている。
「犯人たちを無力化したのは君だね。撃たれたと聞いたけど…」
「彼らの勘違いでしょう。私は忙しいのでこれで」
「ちょっと話を聞きたいから署まで来てもらおうか」
「お断りします。俺を拘束したいのならこちらまで連絡を」
そう言ってIS学園の学生証を見せて握手をする。
「あんたが…?!」
「オフレコでお願いします。あまり目立つのはいただけないもので…どうかご理解を」
「はい、では後日お伺いします」
話の分かる警察で良かった。面倒くさい警察は俺を連れて行こうと躍起になる。
「俊葵さん、早くカフェに行きましょう」
クロエも俺の気持ちを察してか手を引いて銀行の外へと連れ出してくれた。
……
…
「さっきの警察は処分しなくて良かったのですか?俊葵さんの正体を知った人間ですし」
「ふふ、クロエもまだまだよのう。あいつと握手をした時を呪っといた。きっと今夜中に事故にあって死ぬんじゃあないかな」
「あぁ…///申し訳ありません俊葵様。やはり恋人のデートとはいえ私は俊葵様の気にあてられてしまったようです。お許しください」
「いつも通りの方がしっくりくるな。問題ない」
「しかし俊葵様がわざわざ手を掛けなくとも、私にアレの処分を任せてくださればよかったのに」
「俺の能力はまだまだ未知数だ。できることが分かっていても結果が分からない。そんな力を使う気にはなれないからな。人体実験だよ。この刺青にしたって自分の身体に彫り込んではいるけれどいつ副作用が見つかるか分かったもんじゃない」
「私たちの身体に刻み込まれた物も俊葵様の刺青と同じなのでしょうか?」
「いや、クロエたちに彫り込んだものとは別物だよ。みんなには安全な物しか与えていない。俺のは術や超能力を簡易的に放出するためのものだよ。いちいち札を取り出したり長ったらしい呪文を唱えるのは面倒だからね」
言うなればショートカットのようなものだ。体中に術を染み込ませることによって取り出してすぐに使うことができる。特に肉体を更に物理的強化してくれる術や蘇生術は常時発動させておいてもデメリットは少ない。
デメリットと言っても見た目が派手なタトゥーというと事くらいだろう。顔や手足の傷跡も相まって通行人からはジロジロ見られて嫌な気分だ。見せないようにもできるけれどみんながこっちの方が良いと言うのでそのままにしてある。
「ほら、そうこうしているうちに着いたぞ。中に入ろうか」
クロエと話し込んでいたらすぐに目的地へ到着した。
お洒落な装飾が施された手すりにつかまり二階へと昇り店の扉を開く。
「お帰りなさいませご主人様、お嬢様。タバコをお飲みになりますか?」
「あぁ、喫煙席で頼む」
喫煙席は店の奥まった場所にポツンとあった。まぁ、喫煙できるカフェなんて珍しいから贅沢は言えないけれどね。
席に着いてクロエとメニューを見ながら雑談を再開する。
「カフェと言うのはメイドカフェだったのですね」
「クロエには退屈な場所だったかな?」
「いえ、俊葵様とお出かけになれるのでしたら戦場から地獄の果てに行こうと幸せです。しかしなぜメイドカフェなのでしょうか?このような場所はメイドも雇えない、モテない可哀想な人種が赴く場所と存じております」
クロエはまるで薄汚い家畜を見るような冷ややかな目で周りの客を見下す。クロエの言った事が聞こえていたのか数人の客はコチラを睨みつけるが、心理を突かれたのか、はたまたクロエの圧に負けたのかバツが悪そうに視線を落とした。
「俺以外の男には手厳しいのなお前」
「俊葵様以外の男性には何の魅力もございません。炉端の石ころよりも価値のないモノに優しくする必要はありませんので」
「クロエの言う事にも一理ある。しかしもっと優しく生きろ。敵は少ないに越したことは無い」
「畏まりました。ではこれから俊葵様の敵をあまり作らないように行動させていただきます」
「ご注文はお決まりですか、ご主人様」
このカフェのメイド服のデザインはなかなか凝っているようだ。プリーツを摘まみ軽くカテーシーをする際に裾から裏地が見えたのだが綺麗で繊細な刺繍が施されているのが見えた。
「メイドと一緒にいちゃいちゃお茶会セットを二つ、それから聳え立つ雪白き巨峰(白熊大盛)、黒き泉の妖星(コーヒーフロート)、そこ知れぬ奈落への階層(サンドイッチセット特大)をお願いします」
「畏まりました。ではメイドを二人ほど指名してくださいませ」
そう言ってメニュー表の裏側を見せる。そこにはこのカフェに在籍しているであろうメイドたちのプロフィールと顔写真が載っていた。しかし新人欄に二人ほど顔もプロフィールも書いてないメイドがいる。
「それじゃあ新人の二人をお願いします」
「それでは少々お待ちください」
メイドの後ろ姿が見えなくなるまで待ちカバンから葉巻を取り出す。前世でも紙巻ではなく葉巻を好んで吸っていたので今生でも吸う事にしている。
シガーカッターで吸い口を切り口に含むと何とも言えない芳醇な香りが口に広がる。火をつける前、吸い始めから終わりまでの全てを楽しむことができる葉巻はとても良いものだ。
火の無い葉巻を楽しんでいるとクロエがマッチを取り出して火を着けてくれた。傍から見ればヤクザのような男がメイド服を着た外国人の美少女を手籠めにしているとでも見えるのだろうか。
「俊葵様は葉巻を好んで吸っているようですが何故でしょうか?」
「紙巻のタバコは紙が燃える匂いが嫌いなんだよ。クロエにも分かりやすく言うなら100%ジュースか否かって感じかな。葉巻は高級品ってイメージだけどそれに違わぬ美味しさがあるんだ。ちょっと吸ってみろ」
そう言ってもう匂いの付いた手を嗅がせてみる。
「すん…すん…」
「で、コッチが紙巻きたばこだ」
「すん…すん…いまいち分かりかねます」
「じゃあこれでどうだ」
紙巻にも火を着けて煙を吐く。もちろんクロエに直接吐きかけたりはせず手に吐き掛けて匂いをかがせる。
「うっ…確かに葉巻の方が甘く深みのある良い香りでした」
「だろ?機会があれば吸ってみると良いさ。なぁに、癌になったら俺が新しい身体をこさえてやるさ」
「お待たせいたしました」
葉巻の火を消して灰と燃えた部分を綺麗に切り取ってシガーケースへなおし、注文した品を受け取るために振り替える。
「まじかよ、ベイベー」
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます
嗜好品としてのタバコはやはり葉巻やパイプに限ります
喫煙者の一人として単にニコチンを摂取するだけの紙巻よりもタバコ本来の味を楽しめる葉巻やパイプはお勧めです
私は喘息持ちなので酒もたばこも控えめです…だからこそ高級志向なのかもしれませんね(苦笑
(次回予告は例の如く)ないです