※この作品はR-18です。

ISの世界に舞い降りた一人の男   作:メシキ

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新作小説を投稿したので初投稿




78話

 

 

 

リムジンの扉が開かれると日本の気候特有の『むわっ』とした熱気が私の顔を撫でる。潮の香りと近代的なコンクリートの濡れる匂いが熱気と混ざり合い少し不快になった。

 

「イギリスでの公務、お疲れ様でしたセシリアお嬢様」

 

「えぇ、まったくですわ。本当ならすべて断って俊葵さんとの夏休みを…」

 

「代表候補生の責任があります。それをお忘れなきよう行動してくださいませ」

 

当たり前の正論をメイドに言われてあからさまに拗ねる。チェルシーの言っている事は分かる、自分がしなければいけない事も理解している。でも私は高校初めての夏を想い人と少しでも多く過ごしたかった。

 

「分かっています。分かっていますとも……俊葵さん」

 

「呼んだか?」

 

急に声を掛けられて思わず声を上げてしまう。淑女としてちょっとどうかと思う声を上げた事はここに居る三人だけの秘密にして欲しい。

 

「イギリスに帰省をしている間は俊葵さんとお会いできずに随分と寂しかったのですよ」

 

「俺もセシリアと会えなくて寂しかった」

 

「俊葵さんには私の他に沢山の女性を囲っているから寂しいはずありませんわ」

 

皆さんへの嫉妬からついつい意地の悪い事を言ってしまった。自分では「大人」のつもりでも恋や愛が絡むと「子ども」になってしまう。

 

「ははは手厳しいな。本当に寂しかったんだってば。セシリアの事が恋しくって恋しくって眠れぬ夜を幾夜過ごしたか…」

 

「俊葵さん///」

 

俊葵さんも私と同じような思いを…

 

「夜も眠れず昼寝したくらい恋しかったよ」

 

「期待した私がバカでしたわ…」

 

「本当は俊葵様の事を想い自分を慰めておりました」

 

「チェ、チェルシー!!」

 

どうしてチェルシーがその事を?!いえ、ちゃんと部屋の鍵は閉めていましたし張型も枕の下に隠していました。

 

「へぇ~セシリアも可愛いとこあるじゃんよ」

 

「はい、『俊葵さん…あぅ、そこはダメェ♥』と身をよじらせながら張型をほとに擦り付けるセシリアお嬢様はとても可愛らしい乙女でした」

 

「あぅ…///もう止めて下さいまし///」

 

顔から火が出るほど真っ赤に赤くなっていると自分でも分かる。そしてショーツのクロッチが少し湿ってきていることも…。

 

「その動画ある?」

 

「こちらにございます」

 

「なんで映像媒体に残っているのですか?!すぐに消しなさい!!」

 

「まぁまぁ、セシリア。ちょっとくらい良いじゃないか。本人のいないところで言う事は本音だって言うじゃん。セシリアが普段は俺の事をどう思っているのか知りたい」

 

「俊葵様の言う通りですお嬢様。お嬢様は俊葵様に対してもっとアピールすべきです。しかしあのシースルーのネグリジェは少々下品かと思います」

 

「ッ///?!」

 

もう何を信じて良いのか分かりませんわ。チェルシーの留守を狙って通信販売で購入したあのネグリジェがなんでバレたのかしら。スーツケースの二重底の裏に黒色の袋に入れて隠したはずなのにバレたという事は私のプライベートはもうありませんのね。

 

「セシリアはえっちぃな~~♪まぁ、それはさて置き」

 

さて置くのですね

 

「民営プールテーマパークのプレオープンチケットを手に入れたんだけど一緒に行かない?しばらく会えなかったからちょっとしたお詫びのつもりなんだけど」

 

俊葵さんの手には2枚のチケットが握られていた。

 

「他の方も一緒…というオチではありませんわよね?」

 

「もろちん俺とセシリアの二人っきりだよ」

 

「プールのようですから水着を着る事になりそうですけれど…」

 

「太ったか?」

 

「そんなことありません!!」

 

むしろ俊葵さんといつ『そういう事』になっても良いようにスタイルは維持している。ストレッチやヨガは欠かさず、ランニングや格闘体術で全身トレーニングしていた。だから水着を着る事に抵抗はない。

 

「じゃあ決定な。さっそく明日行くから準備しといてね。んじゃ」

 

行ってしまいましたわ。まるで嵐のような人…そんなところに惚れてしまったのですが///惚れた弱みとは良く言ったものですわね。

 

「チェルシー、あとは私が運びますわ。貴女にはイギリスへ戻って屋敷の管理をお願いします」

 

「畏まりましたお嬢様。差し出がましいようですが一つだけ。俊葵様はとても良いお方です。どうかチャンスを見逃しにならぬようお気を付けくださいませ」

 

そう言い残してチェルシーはリムジンで行ってしまった。

 

残された私は荷物を拡張領域の空きスペースへなおし寮室へ戻った。久しぶりの学園はセミと部活動に励む生徒の声で熱気にあふれている。

 

あぁ…なんだかこの騒がしさも『戻って来た』と思わせてくれますわ。喧騒がこんなにも心地よい物だとは知りませんでした。

 

……

 

…

 

IS学園寮

 

「こっちにしようかな…それともこっちか?」

 

セシリアとのプールデートを目前に控えてほんのちょっぴり緊張している。両手に持ったピンクとブルーの水着がその表れだ。

 

「派手な真っピンクのアロハ柄と真っ青なかき氷模様…どっちが良いかな?」

 

ファッションセンスが他人とどこかズレている俊葵の選ぶ服はいつも派手な物か落ち着いたものに限定されていて、いわゆる『これ一枚着ておけばおk』なんてものは無かった。特に派手なのがいけない。ピンクが好きなのは分かるが俊葵の私服でピンクと言ったらアロハしかない。

 

落ち着いたものも単色シャツでそれに派手な上着を合わせている。一見するとなかなかのコーディネートだが、それを支えている人がいる事を忘れてはいけない。なぜなら購入した時は派手な物には派手な物、地味なものには地味な物を組み合わせて着ようと考えていた阿呆がここに一人居るからだ。

 

「それとも新しい水着を…用意している時間はないか。臨海学校でこのピンクのアロハは着たし青にしよう。セシリアもきっと青色の水着を着てくるだろうし恋人みたく色を合わせようかな」

 

青色の水着をカバンの中にしまって明日の準備を続ける。

 

お財布、水着、タオル、濡れた服を入れる大き目な袋、ハンカチ、携帯の充電器とバッテリー、お気に入りのM500、スペツナズ式のツイストダガーを数本入れて準備完了。

 

なんだか持っているだけで安心できる物は人それぞれ違う。例えば好きなトレーディングカードゲームのデッキ、ぬいぐるみ、キーホルダーなど小さくて軽い物が多い。確か何とかって名前がついてたはず。そんな中で『俺が持っているだけで安心できるモノ』は銃火器とナイフだ。

 

自分で言うのはアレだが俺は公式非公式問わず多数の組織、個人から狙われている。そんな時に警察なんて税金泥棒の無能集団に俺を守れるとは思えない。そもそも殺しにかかってくる相手に対して警告をしている時点で甘ちゃんすぎる。だから俺は自分の身は自分で守らなくてはいけない。

 

ISを人前に晒したくない状況では特に…だ。カバンには大きな銃火器は入らないので小さな物に限定されるがやっぱり持っているだけで安心できる。

 

「宇宙の拡張領域に入れればいいのに」

 

いつの間には部屋に入っていた束が裸で抱き着いて来た。

 

「大勢にISを使ってるところを見られるだろ?」

 

「こんな銃じゃISに抵抗できないよ~」

 

「それぁ俺のM500だ。返してくれよ」

 

束からM500を取り返してカバンの中に入れなおす。束にしてみれば5発しか入らない銃を好んで使う事がおかしく思えるのだろう。そうでなくともリボルバーなんて古臭いと思っているかもしれない。

 

「俺はリボルバー好きなの」

 

「私よりも?」

 

「もちろん束の方が好きだよ」

 

 

「もうっ…キスしたって許さないんだから……ダメ…やめ、ちょ、ちょっと…あぅ///」

 

……

 

…

 

よく朝起きたら隣に全裸の束と真耶が寝ていた。とりあえず全裸で寝て体温が低くなっているのでシャワーを浴びる。もちろんその前に二人へ毛布を掛けるのを忘れない。

 

「俊葵様、おはようございます。朝食は如何いたしましょう」

 

「あぁ……眠ぃ…あぁでもシャワー浴びなきゃあ……。おうクロエ、背中を流せ」

 

「お風呂のご用意はできております。では参りましょう」

 

クロエの手に引かれるまま浴室へ入る。クロエがなんで鍵のかかった俺の部屋にいるのかという疑問はどうでもいい。とにかく今は寝汗を流したい。

 

「俺が朝は機嫌が悪いって知っていたか?」

 

「いえ、俊葵様は寝起きの機嫌が悪い。という事なら知っておりました」

 

「それで十分だ」

 

クロエを押し倒して馬乗りになる。クロエは表情一つ変えようとせず俺の身体を可能な限り洗い続ける。

 

「やっぱりクロエは良いなぁ。束たちがメインディッシュだとすればデザートだ」

 

「私などは前菜のチップスにもなりません。しかし俊葵様は私にとっての…あの…その…」

 

「無理に例える必要はないよ」

 

馬乗りから抱き合う体勢に変えて身体で洗ってもらう。

 

「俺は何だっていいよ。どうせその程度の男なんだし…」

 

いけない、ちょっとネガ入ってる。

 

「今すぐ俺を喜ばせろ。頼むからさぁ…」

 

ダメだ…このままじゃ悪循環で自己嫌悪が激しくなるばかりだ。どうにかしてこの状況を脱さないといけないな。

 

「では朝勃ちの処理をいたしましょう。セシリアさんに会われるのですから、俊葵様の肉茎が暴走してはいけません」

 

「う~ん……今はそういう気分じゃあ…」

 

「ではマッサージなど」

 

「それもなんかなぁ……」

 

「ふふ、いつも通りで安心いたしました。セシリアさんがお待ちです。そろそろ上がりましょうか」

 

いつも通りとはどういう事だろう?ただ我が儘にクロエを振り回しただけなのに。

 

「俊葵様、貴方は常に我が儘であるべきです。傲慢や慢心は強者にのみ許された事。ですから強者である俊葵様の我が儘は叶えられるべきなのです」

 

「ならクロエの言う通り一発抜いてからデートに行こうかな」

 

その後、乱入してきた束と真耶さんの相手もしたのでセシリアとの待ち合わせに遅れそうになったことは言うまでもない。

 

……

 

…

 

「ごめん、待ったかな」

 

「いえ、特に待っていませんわ。待ち合わせ時間ピッタリ、さすが俊葵さん」

 

汗の匂いをごまかす為か制汗剤の香りが強い。きっと長い間待たせたのかもしれない。

 

「本当は待ってたろ?」

 

「いえ、待ってなど」

 

「正直に言わないと今日のデートは無しだぞ」

 

「……本当は少し待ちましたわ、30分ほど…」

 

やっぱり待っていたんじゃあないか。30分前と言えば俺が束にフィニッシュを決めていたころだ。こんな暑い中セシリアを待たせていたのに…。

 

「待たせてごめん。セシリアを待たせてちょっとお痛をしてた」

 

「俊葵さんらしいですわ。ちょっとむっとしましたがそれが俊葵さんですものね」

 

「その代わり今日はセシリアとデートだ。セシリアの分まで外泊許可も貰ったし夜まで一緒にいられるぞ」

 

「…///」

 

ナニを想像したのかボッと頬を紅く染める。今からこの調子じゃあプールで大丈夫かな。

 

「ほら行くよ」

 

セシリアと腕を組んでモノレール乗り場へと急いだ。

 

トシキとセシリアが二人並んで歩いて行くのを見ていた影が二人。異性関係の情報を収集する時の女性のレーダーは何より情報収集能力が高い。

 

「ふっふっふ、あそこのテーマパークには私の家が一枚かんでいるのよ。逃がさないわよん」

 

「僕のお父さんもあの企業に資金援助していたなら早く教えてくれればよかったのに」

 

どこの誰だか知らないが、誰が呼んだか謎の人、皆の助けを聞きつけて、やってきましたパイロット。今度は己の欲の為、ともかく欲を満たす為、金と権力携えて、行くが二人の乙女道。

 

……

 

…

 

IS学園を経由しているモノレールは連日人であふれている。特に休日はIS学園から町へ行く生徒たちが多い。

 

俺やセシリアはIS学園でも有名人なので目立ってしようがない。がしかしいつもよりは目立っていない。

 

「今日の俊葵さんはとても…その…」

 

「刺青と傷が少ない?」

 

「えぇ、いつもより綺麗な身体をしております」

 

「今からプールに行くからな。不必要な刺青と傷跡は消してきた。でもこの傷だけは消したくなくて」

 

シャツの上から残した傷痕を優しくなぞる。

 

「この傷とは?」

 

「俺が最初の戦闘で負った傷だよ。カッコ悪いけど苦い思い出の傷なんだ。でも、だから大事にしたいかな」

 

「初心忘れるべからず、という事ですね。良い心がけだと思いますわ」

 

「そう言われると嬉しいな。セシリアもお洒落してきたんだ。その服初めて見るよ」

 

セシリアはいつものワンピースではなくて七分丈のパンツに蒼いキャミソールを着ている。上着は着ているけれど大きくて形の良いおっぱいはよく目立つ。それにスリムタイプのパンツなので大きくセクシーなお尻の形もはっきりと分かってエロい。

 

「急なデートなのでおろしたてですわ。どうでしょうか?」

 

「すごく可愛いよ。でも目のやり場にちょっと困るな」

 

「そんな、俊葵さんでしたらいくらでも見てくださいまし。もちろん着ている服の下も…です///」

 

「外泊許可書を提出してもらっててよかった。今夜は俺の隠れ家で過ごそうか」

 

「とても楽しみですわ///」

 

「そりゃよかった」

 

そんな二人の様子を探る新たな刺客が4人。

 

「束様、これは俊葵様のプライベートの侵害になるのでは?」

 

「大丈夫だよ。私たちは偶々手に入ったチケットを使って休日を楽しむだけだから」

 

「その通りだ。久しぶりの休暇を楽しませてもらおうか」

 

「どうして私まで…まだ学校でやらなきゃいけない仕事があったのに…」

 

最強と最恐を乗せた列車はいつも通りのコースをいつも通りの時間に通り過ぎていくのだった。

 

 

 






今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます

夏休み終了が8月末だと思っていたら9月末まで休みだった

実家に帰れるのは良いけれど何か家事手伝いをしないと居心地悪くて仕様がないです

宿題は終わりましたか?

両親に手伝って貰った?

部屋の隅でガタガタ震えて現実逃避の準備はOK?

宿題はちゃんと終わらせないとね

次回予告

水着の金髪が大変な目に合う

PS.新作小説もよろしく(ダイマ

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