※この作品はR-18です。

ISの世界に舞い降りた一人の男   作:メシキ

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読者を待たせたので初投稿




80話

 

 

 

「セシリア、しっかり掴まっていろよ」

 

「畏まりました」

 

セシリアを背中に背負ってコースを爆走する。障害物などものともしない身体能力で束と千冬さんに奪われた時間を取り返していく。

 

斜めになった板が二つ用意された障害物は二人で向かい合わせになり互いに押し合ってクリアする物なのだろうが俺には関係ない。壁を蹴り落ちないように軽やかなステップでクリアした。

 

誰が必要としているのか分からないが昇り棒の障害物があった。きっとおっぱいに挟まれた棒を見たいのだろうな。セシリアはこの障害物をクリアする時に降りることを申し出たが関係ない。二本の棒を掴みゆっくりと確実に上ってクリアした。

 

そして最後の障害物…ロッククライミング。プロ用の難易度だろコレ……頂上付近が鼠返しになってんぞ。

 

「今度こそ降りますわ」

 

「いや、セシリアには俺の強さを見てもらいたいからしっかりと掴まっていてね。このくらいのロッククライミング、俺には地面を歩くのと大差ない」

 

そう言って思いきり足の指に力を込めて壁の出っ張りに引っかけて壁を歩く。

 

「凄い!!これまでも障害物を難なくクリアしてきたがこれは本当に凄いぞぉ!!か、壁を歩いているぅ!!」

 

「騒ぐほどの事でもないさ。こんな出っ張りだらけの壁は床と何ら変わりない。世界のロッククライマーの程度が知れるな」

 

「騒ぐほどの事ですわ。こんな芸当は誰にもできません」

 

「実はセシリアと俺の体重をほぼゼロにする忍術を使っているから指の力で上っているだけなんだけどね。風が吹いたら飛ばされちまうからさっさとゴールしようか」

 

「卑怯な事は嫌いです」

 

「セシリア、お前は勘違いをしている。ルール説明の時に超能力や忍術を使ってはいけないなんて言われていない。なら使っても大丈夫だ。モラルやマナーなんぞ勝負の世界では必要ない」

 

「むぅ…やっぱり俊葵さんのそういったところは嫌いですわ」

 

「ハッキリ物を言う…セシリアのそういうところ嫌いじゃないな」

 

「本気にしないでくださいまし…本当は愛しております。俊葵さんにほんのちょっぴり意地の悪い事をしてみたかっただけなのです」

 

セシリアも可愛いところがあるじゃあないか。

 

数十秒後、他の選手がロッククライムに到達した時点で俺たちはゴールして優勝賞品の旅行を手に入れた。

 

他の選手は悔しがると思いきや圧倒的な実力差に何も言えないようだ。むしろセシリアの正体を知った人は我先にとサインをねだっていた。

 

因みに束と千冬さんの傍には誰も近づいていなかった。まぁ、あんな圧倒的オーラを発する人に近づける人はそういないだろう。

 

「優勝おめでとう。一応、賛辞の言葉を贈らせてもらおうか。たとえお前が卑怯な事をして優勝したとしても証拠がないからな」

 

「知ってたんですか?」

 

「いや、どうせこんな事だろうと思っていただけだ」

 

千冬さんに隠し事は出来ないなぁ。浮気とかゼッタイできなさそう。

 

「で、俊くんはその旅行券を使って誰と旅行に行くのかなぁ?」

 

「それなんだけどセシリアと行く事にするよ。一緒に取った賞品だし別に良いだろ?」

 

「もちのろん、一緒に行っておいで~」

 

「あの…実はこの旅行の日にちは予定が入っていまして。ですから…その……イギリスへ帰らないといけないのです。私は予定さえ合えばいつでも構いません。束さんか織斑先生が使ってくださいまし」

 

そうか、ならセシリアには今度埋め合わせするとしてこのチケットは誰と使おうか。セシリアと行く予定だったから他の人と行く事なんて考えていなかった。

 

「なら束、一緒に行こうか」

 

「う~ん…行きたいのは山々なんだけどその日程はクーちゃんと黒鍵の点検をするって決めたんだよね。俊くんには悪いけどクーちゃんの方が先約だから行けないなぁ。ごめんね、ちーちゃんと行って来て」

 

「私もその日は予定が入っているな。臨海学校でのことをIS委員会に報告しなくてはいけない。あのクソババア共が…ろくにISの操縦もできない耄碌は黙ってお飾りになっていれば良いんだ」

 

IS委員会のクソババアといえば俺のISを日本の所有物にしようとしていた連中だ。俺が『どこの国の代表にもならない。文句があるなら俺よりも強いヤツと戦わせろ』と言ったら日本の代表候補生数人と戦わされた。結果は言うまでもなく俺の圧勝、それ以来は全く干渉してこないので俺の実力がよく分かったとみえる。いつか殺す。

 

「大変そうですね。それじゃあ一緒に行く人は後で探すとして今日は遊び倒すぞぉ~~」

 

……

 

…

 

遡ること数時間前のIS学園、ここにもデートをしようと画策する男子が一人。彼女のいる部屋の前に来ていた。

 

ノックをすると部屋の中から『あ~い』と気怠そうな鈴の声が聞こえてきた。きっと昔みたいに短パンタンクトップでクーラーの効いた部屋でポテチを食べながら寝転がってゲームをしていたに違いない。

 

「人がクーラーの効いた部屋でポテチを食べてゲームしてる時にどこの誰様よー…って一夏じゃない。あんた今日休みだったっけ?」

 

俺の予想通り、鈴は短パンタンクトップ姿で出てきた。

 

「用事が早く終わってこんな物を手に入れたから一緒にどうかなと思ってさ」

 

午前中に簪と一緒にとある雑誌の取材を受けた。記者の話では日本の代表候補生と男性パイロットのインタビューをしたかったそうな。俊葵がメディアへの露出を避けているので必然的に俺の方へそういった話が舞い込んでくる。

 

俺も悪い気はしなかったし謝礼も支払うと言われたので二つ返事で引き受けた。引っ込み思案の簪が受けた理由は知らないけれど明るく応対で着ていたと思う。

 

「街の方にできたプールのチケット。もし暇なら一緒に行かないか?」

 

 

「行く!!ちょっと待ってなさい!!」

 

『バタン!』と勢いよく閉じられた扉の裏側ではあーでもないこーでもないと言う鈴の声と何かを物色している音が入り混じっている。

 

ちょっと(15分)待っていると扉から着替えた鈴が荷物を持って現れた。

 

「化粧はしなかったのか?」

 

「これからプール行くのに化粧するバカがどこにいるのよ。それにあたし化粧ってなんだか苦手だし。あ、でもやっぱりお化粧して着飾ったほうが良いかしら……」

 

「そういうつもりじゃないんだ。鈴が化粧したところ見た事ないからちょっと思っただけで」

 

彼氏とのデートなのに化粧しないのか、という気持ちが無いわけでもない。ほんのちょっぴりある。そんな気持ちが鈴を傷付けてしまったのか。

 

「でも、こんなに可愛い鈴は俺の彼女だぞ!って周りの人に対する優越感は感じたい…かな」

 

これが世に言う男のプライド…なのかもしれない。でも俺のプライドの為に鈴を利用するのか?そんなのダメだ。

 

「ならあたしもちょっとした化粧くらいはできるようにならないとなぁ…正直に話してくれてありがとう」

 

「なんか、ごめん…」

 

「謝る必要なんてないわよ。あたしだって一夏にはあたしの彼氏としてカッコよくいて欲しいとか思っているもの。お相子よ、お相子」

 

「ありがとう鈴。それじゃあ行こうか。電車に乗り遅れたら大変だ」

 

鈴の小さな左手を包み込むように握る。この小さな手が大きなISを操っているんだな…。

 

「うん…///」

 

等身大の優しい愛を醸す二人の間は俊葵曰く『あいつら見てると心が洗われるようだ』とのこと。ぶっちゃけ作者も書いていてブラックコーヒーが欲しくなる。

 

……

 

…

 

時今に至れり

 

鈴が中学生と間違えられたり、俺が逆ナンされたりと色々あったが今は落ち着いている。

 

鈴もプールチェアに寝転がって俺が買ってきたフォカッチャサンドを頬張っている。トマトとオリーブのソースを頬っぺたに付けて頬を膨らませた姿はとても可愛い。

 

「なぁ…鈴」

 

「もぐ…もぐ…んく、あによ…」

 

「美味いか?」

 

「当たり前でしょ。あんたも食べる?それだけじゃ足りないでしょ」

 

そう言って俺にフォカッチャを差し出す。俺は手に握ったハンバーガーを包んでいた袋を見下ろす。

 

確かに鈴の言うように俺の腹は満たされていない。だからと言って鈴に買ってきたご飯を食べるなんて事は出来ない。だから断わって別な物を買いに行こうと立ち上がったら腕を掴まれた。

 

「ちょっと待ちなさいよ。あぁ~~~む…ん…ん……ごくん。ふぅ…よし、あたしも買いに行くわ」

 

「それじゃあ逸れないように…」

 

ワザと鈴の肩を抱いて密着する。やっぱり男の独占欲は際限がない事を再確認した。俺もこんなに独占欲があるんだから俊葵も独占欲があるんだろうな。俊葵の独占欲か……そもそも俊葵の彼女は誰だ?

 

束さんや千冬姉も俊葵の彼女らしいけど…クロエや簪も俊葵の彼女だしいったい何人いるのだろうか。ちょっぴり羨ましい。

 

なんて思っていたら腕をつねられてしまった。

 

「あんたの考えている事なんてお見通しなのよ。どうせあたしの他にも彼女が欲しい~なんて思ってたんでしょ?」

 

「うっ…」

 

「別に良いわよ。ただあたしが認めた女限定だけどね」

 

「俺は鈴一人をきちんと…」

 

つい本心とは違う事を口走ってしまう。鈴の事は大好きだしずっと一緒に居たいと思う。でも他の女性から迫られた時にハッキリと断れるだろうか。

 

「あたしが良いって言ってるんだから良いのよ。俊葵を見なさい。あんなチャランポランでも何十人も女囲ってるのよ」

 

え?そんなに?

 

「あんたも女を囲うくらいの甲斐性を見せなさい。良い事?あたしはね、あんたに一番でいて欲しいの。その為なら女の一人や二人同時に抱きなさいよ。…ちょっと嫉妬するけど///」

 

「俺…やっぱり鈴が好きで良かったよ。うん、鈴の言う通りにする。でも気になる人ができたらまず鈴に報告するよ。ちゃんと査定してくれよ」

 

「もちろんよ、一夏の彼女がその辺のどこの馬の骨とも知れない女なんて嫌だもの///」

 

「ほほう、ついに一夏君もハーレム宣言ですかな」

 

「げぇ俊葵!?」

 

ジャーン!ジャーン!!ジャーン!!!

 

「そんなに驚くことは無いだろJK」

 

「いつからいたんだ?」

 

「お前がこのプールに来た時からずっと見てたぜ。逆ナンした女は全部俺だぜ」

 

「ファッ!?」

 

俊葵が超能力者だってことは知っていたけど変身とか分身もできるのか。凄いな。

 

「俊葵、あんた趣味悪いわよ」

 

「巨乳はお嫌い?」

 

恐らく俊葵だろう女性が鈴を後ろから抱きしめる。

 

「お嫌いね」

 

「ところで今は何人に分身しているんだ?」

 

「日本だけなら都道府県ごとに10人、とある島には1000人ってところかな」

 

「すご…」

 

「ソレなんの役に立つのよ」

 

俊葵は凄い。きっと俺が想像しているよりも凄い。千冬姉や束さんが惹かれるわけだ。

 

「俺の役には立ってくれるよ。日本中の治安を俺が裏から守っている。法律を守って民間人を守らないクソの役にも立たない警察なんかよりも法を破って悪人を殺す俺の方が優秀だ」

 

「悪人でも人を殺すのはよくないと思うぞ」

 

「一夏の言う事ももっともだ。でも偽善で誰も救えないよりも悪で誰かを救える方が良い」

 

「必要悪ってことか?」

 

「違う、俺は悪じゃあない。どちらかというと正義だね」

 

「俊葵の考えはやっぱり間違いだと思う」

 

「なら今ここでどちらが正しいか決めるか?」

 

歪んだ笑顔で俊葵は構えた。胸の中心から黒い刺青が腕を覆う。

 

「周りに人がいるし怪我人も出るだろ」

 

「冗談だよ。本気にすんなって。一夏は俺の親友でもあり弟子でもある。そんな奴を殺す訳ないだろ。一夏がいやがることは控えるよ…できるだけ。そんな事より俺はこいつを届けに来たんだよ」

 

そう言って封筒を俺に渡した。

 

「ソレさっき手に入れた温泉旅行。二人一組でご招待なんだけどハーレムメンバー全員が予定あって一緒に行けないんだよ」

 

「何十人もいるのに全員ダメだったのか?」

 

「はぁ?そんなにいる訳ないだろ。束、千冬さん、クロエ、箒、セシリア、シャルル、ラウラ、簪、楯無さん、本音、景子の12人だな。ファンクラブもあるみたいだけど実際に会ってみないと本気かどうか分からないし」

 

「ふ~ん…凄いな」

 

「だろ?で、この温泉旅行要るか?鈴と行って来いよ。二つの意味で」

 

「俊葵が行かないならおれが貰うけど。ありがとな」

 

「たまには気が利くじゃない」

 

「へーへー俺はどうせ偶にしか気が利きませんよーだ。じゃあ俺はもう行くよ。楽しんで来いよ」

 

「おう!」

 

こうして俺と鈴が互いの愛を深め合う機会を得て、心も身体も重ね合ったのはまた別の話。

 

 

 






今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます

プールデート編を続けるか迷っています

新作の投稿は近いうちにします

多分します

恐らくします

でも初投稿です

次回予告

セシリアとのデートのはずだったのになぁ

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