物語のターニングポイントなので初投稿
気が付くと雲の上に立っていた。自分が死んだことはよく分かっている。三途の川も見えなければ奪衣婆の姿も見えない。その代わり雲の床と四畳半の畳が見える。
「オラは死んじまっただぁ~~♪」
四畳半の上には卓袱台、テレビ、箪笥が置かれている。行く当てもないので畳の上に座り卓袱台の上のお茶を啜る。
「記憶もないのになんだか既視感がある。この後、神様が俺の目の前に現れる気がする…」
「あらん、また来たのね」
「ほうら、神様がおいでなすっ……た?」
振り返ると真っ白なローブを身に着けた女神が立っていた。褐色の肌に真っ白な髪の毛が映える。俺が思うに神様ってやつは灰色のローブを着てひげを蓄えたおじいちゃんだと思う。でも目の前にいる神様は美しい女性。みんなとはまた違った神々しい美しさを放つ女神さまだ。
「貴方の運の良さには流石の私も驚嘆します。まさか二度もココへ足を踏み入れる人間がいたなんて」
「あの…記憶がないから俺にとっては初めての経験です」
「記憶が…ない?」
「はい、というか神様なら下界を見下ろしていたんじゃないんですか」
「神様も忙しいのです」
神様も仕事があるんだな。初めて知った。神様っていのは下界を見下ろして隅から隅まで見尽くすのが仕事だと思っていたから。
「ではあらためて説明しますね。ココは貴方の欲望を叶える部屋です。生き返りたいというのならそれも良し、天国へ行きたいというのならそれも良し、ギフトが欲しいというのならそれも良しです」
ギフト?神様からの贈り物だろうか。
「貴方は以前、今さっきまで生きていた世界への転生とギフトを望みました。ギフトの内容は兵器の設計図と超人的な能力。もしかしたらその能力のおかげでここに居るのかも」
残念ながらさっぱり思い出せない。身体能力が高いのもギフトのおかげだったのだろう。でもそれ以外は何ともなかった。
「思い出せないのなら思い出させてあげる。でも能力の使い方だけ」
俺の額に人差し指を当てる。すると急に頭の中へ情報があふれかえった。昨日までできなかった逆上がりが今日になって出来るようになった気分だ。今の俺なら何だってできる、そんな感覚だ。
「さっき生き返らせるって言いましたよね?」
「えぇ、もちろん良いわよ。ギフトは要らない?」
「欲しいけど…今の能力だけで十分だし…」
「謙虚なのね」
「昔の俺はきっと傲慢だったろうから」
「……それに関してはノーコメント。でもあなたは愛に溢れたとてもやらしい…いえ、優しい人間だったわ。怒らせると怖いけどね。現世とココの時間の流れは違う。ギフト候補はこの中から探すと良いわ。欲しいというのなら何だって与える」
「なんで俺にそこまでしてくれるんですか?」
「それなんだけど分からないの。なんとなく貴方は放っておけない感じがするのよ。もしかしたら貴方の魅力の能力に中てられたのかもしれないわね」
そう言って俺の目の前に大きな本棚を出した。そこには色々な漫画が入っていた。俺の知っている漫画も有れば見た事も無いような漫画もある。
「貴方が気に入るような能力があると良いのだけれど」
取り敢えず俺はこの『ONE PIECE』という本を手に取った。
………
……
…
IS学園地下 某所
「ねぇ…ちーちゃん。どうして俊くんは死んじゃったの。俊くんはこの世界を救おうとしていた。どうしようもなく腐ったこの世界をより良くしようとしていたんだよ?」
「人はいつか死ぬ。今まで切られ、焼かれ、撃たれ、穿たれ、それでも生きていた俊葵がおかしかっただけだ」
「でも今までだって…」
「記憶を失った俊葵は超能力を一度だって使ったことは無い。もしかしたら能力の使い方を忘れていたのかも」
「そうかもね…俊くんが用意していた予備の身体も機能を停止した。まるでろうそくの火が消えるようにね」
「心にぽっかりと穴が開いたようだ。二つもな…私はクロエ・クロニクルをとても気に入っていた。俊葵の傍に居るというだけでほんのちょっぴり嫉妬していた時期もあったが凄く可愛い私の生徒だった。芯が強く、決して折れる事のない女だと思っていた」
千冬は足元に転がるクロエだったモノを見下ろす。血だまりの中でうつろな目をしたクロエの手には俊葵が生前使っていたM500が握られていた。
「クーちゃんは死ぬ前に言っていたよ。『俊葵様のいないこの世界には何の意味もございません。あわよくば来世で俊葵様に会えます様に…』って。私も死にたいよ…でも、でも俊くんの仕事は私が引き継がなきゃ」
「私も同じだ…きっとみんなも同じ気持ちだろう」
「じゃあ私は研究室に戻るね」
「私も職員室へ戻る。俊葵を殺した生徒の処遇と今後の対応について話し合わなくてはいけない。それから…一夏をどうするかについてもだ」
「男性パイロットか……いっくんはどんな手段を使っても守らないと。男性パイロットを嫌う人は世の中にたくさんいるからね」
……
…
研究室に戻った束は灯りも付けずにソファへ腰を落ち着けていた。急に明かりがついてもまったく気にしている様子はない。
『灯りを付けなくては目を悪くしますよ』
「頭が良いからね。身体も良いし性格も良い。目くらい悪くなったって差し引きゼロにはならないよ」
『しかし俊葵様が戻ってきたときに…』
「俊くんはもう戻ってこない!!パスィも分かってるでしょう!?保存していた俊くんの身体は機能を停止した!!遺体だって焼いたし!!この目で見たの!!俊くんの瞳孔が開いていくのを!!俊くんの体温がどんどん下がっていくのを感じた!!」
『しかし私は俊葵様がもう一度戻って来る事を信じております』
「なんで信じられるの…なんで現実を受け入れないの?」
『私は人間らしい感情をあまり持っておりません。ですから機械的に物事を判断して俊葵様の事は諦めるのが筋でしょう。でも俊葵様の事を信じろと囁くのです…私のゴーストが』
「ゴースト?」
『攻殻機動隊というアニメで仕入れた情報です。きっと私にはゴーストが宿っている』
「確証はないでしょ」
『ふふ、そうですね。確証は全くありません。私がそう感じるだけです。でも信じるだけならタダですし機械の私は絶望をしません。いざとなれば俊葵様に関する情報を削除すればいいだけの事』
「はぁ…私も機械になれたらこんな酷い気持ちにはならないのに」
『それはあまりお勧めしません』
「なんで?」
『機械はセックスできませんから』
「ぷ、あはははは!急に笑わせないでよ。でも…元気は出た。ありがとうパスィ。私はこれから俊くんの為の新しいISを作るよ」
『では私もお手伝いいたします』
世界一の頭脳と世界一の頭脳が作り出したジョークの言えるAIによる初めての共同制作が始まるのだった。
……
…
「簪ちゃんはこれからどうするの?」
「分からない…」
「実家のお父さんがこれからどうするか訊いて来たわ。私は俊葵がいないのなら代表を辞めて静かに暮らしたいと言っておいた」
「私も代表候補を辞めてそうしたい」
「珍しく意見が合ったわね」
「そうだね。……俊葵に会いたいよ」
「そうね……」
……
…
「ラウラはどうする?」
「何のことだ?」
「俊葵の事だよ。少なくとも僕は俊葵と結婚するつもりだったから何がしたいのかよく分からなくなった。お父さんは学校を卒業したら会社を手伝ってほしいって言ってきたけど…でも分からないや」
「そうか、私は変わりなく軍人を続けるだろうな。与えられた任務をこなしいつ命を落とすやもしれない」
「ラウラが羨ましいよ。僕も他に生き甲斐が有ったらなぁ…」
「私は…俊葵と生きたかった」
「僕も…」
……
…
「箒さんはこれから…」
「言うな…私の事は私が決める」
「そう…ですか。では私はこれで…またいつか会えたら…」
……
…
「布仏さんはこれからどうしますか?」
「う~ん…とりあえず学校は卒業するまで通って、卒業してからは束さんのアシスタントとして働こうかな。まややんは?」
「私は…とりあえず現状維持です。でも生きる目的が一つ消えてしまいました」
「俊くんは自分の事を何でもない男だって言っていたけど俊くんは凄い男だった。だって俊くんが一人いなくなっただけでこんなに影響があるんだもん」
「そうですね。俊葵君は本当に凄い男性でした。もう私は今後の人生で本気で男の人を愛することはありません」
「私も…」
……
…
「ふぅ…こう毎日漫画ばかり読んでいたら飽きてしまいそうだ」
さっきまで読んでいたジョジョを本棚になおして寝転がる。今まで読んだ本はワンピ、ソウルイーター、NARUTO、BLEACH、史上最強の弟子、東京グール、北斗の拳、魔獣戦記、真マジンガーZERO、ジョジョ、エトセトラ。どこかで見たことあるような漫画ばかりだったけれど記憶にないのでなんだか変な感じの連続だった。
変な事を言うようだけれど既視感を連続で感じるような変な感覚。
「ギフトは決まりましたか?」
「本当にいくらでも良いんでしたよね?」
「勿論です。本当に何でも良いですよ」
「それじゃあ俺は……」
今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます
ちょっとネタバレになりますがかなり真面目に新たなスタンドを考えています
スタンド以外の能力はある程度パク…オマージュする事にしましたけどスタンドは自分で考えたいので頑張ってます
既存のスタンド能力を併用させるとしても登場しないスタンドの方が多くなってしまう事が現在ネックになっています
良い案はないかなぁ~~(棒)
誰かアイディアをくれないかなぁ~~(棒)
次回予告
蘇った俊葵を待っていたのはまた地獄だった
俊葵の死後に溢れかえった欲望と暴力
松崎俊葵が生み出した地下のハーレム
野性と理性、淫奔と暴力をコンクリートミキサーにかけてぶちまけたココは学園地下のお部屋
次回『復活』
来週も俊葵と天国に付き合ってもらう