俊葵と空と嵐が進化したので初投稿
IS学園地下はまさに水を注いだアリの巣のように大変な騒ぎになっていた。その中で表は冷静そうにしているクロエは静かに報告を続けた。
「俊葵様の生命反応がロストしました」
「衛星写真は!?」
「リアルタイムで検索中ですがこの宙域には束様の衛星が一台もありません」
「ちっ…それじゃあパスィ、現在の俊くんの状況を」
『両手足の欠損を確認。意識もないようですが流石は俊葵様です。とっさに全感覚を遮断して休眠状態に入っています』
「それじゃあ今から助けに行くよ」
『最新式のVOBを使っても数時間は掛かります。それよりも』
「いいから行くんだよ!!俊くんは今!!死にそうなんだ!!」
束がガレージの扉を開けるとあり得ない光景が広がっていた。
待機状態のはずの宇宙と嵐が起動していた。宇宙はセカンドシフト状態で嵐とワープしようとしていた。
「パスィ…操縦してるの?」
『いえ、私は彼女たちから追い出されてしまいました』
「彼女?」
『はい、自分たちこそ俊葵様を助ける番だと仰っておりました』
束はまさかと思いながらもこうなる事を予期していた。ISは只の機械ではない。操縦者とシンクロする事で癖を覚えて一体化する。だからこそ授業で使うISは必ず毎回初期化される。
「まさかこんな形でISの進化を目にするなんて思ってもいなかったなぁ」
「束、今のは一体なんだ!!」
振り返ると千冬が驚いていた。それも無理はない。この束さんも驚いているんだからちーちゃんも驚くに決まってる。
「ISが進化した瞬間だよちーちゃん」
「進化…だと?」
「俊くんと出会ってからISのコアが何なのか分かって来た。最初は単なるエネルギー増幅装置だと思っていたけどそんな簡単な装置なんかじゃあない。ISのコアは人間の意思をエネルギーに変換する究極の装置だよ。人間の意思がISのコアに流れ込んで命が生まれた」
「ISは…」
「電脳生命体とでも言おうかな。肉体は機械、脳みそは回路、でも魂は確かにある。間違いなくISは魂を持っている」
「根拠はあるのか?」
「パイロットのいないISが今まさに搭乗者の危機に反応して飛び立ったよ。それ以上に理由が必要?」
誰よりも俊葵の事を考えている束たちだからこそ俊葵の為に飛び立った宇宙と嵐の事がよく分かる。二人は二機に…いや、二人に任せることができない事を悔しむと同時に新たな家族に喜びを感じていた。
……
…
彼女たちは自分が誰なのかを完璧に理解していた。この身体の使い方も知っている。守るべき人の事も知っている。それだけで十分だった。
時空に亀裂が走りその隙間から宇宙と嵐が現れる。自立兵器たちは敵の急襲にも混乱することなく機械的な冷静さで隊列を組んで応戦しようとした。
「そ、宇宙…嵐……いったい、誰が…」
痛みはない。ただ身体に力が入らない。左目も見えていないし左手以外動かない。こんなくそッタレな状況の俺を助けに来てくれるなんて。束か…クロエか…誰でも良い。手を貸してくれ。
『生命反応は感知されませんでした。おそらく無人でしょう』
「じゃあなんで…動いて…る」
『私は宇宙』
『あたしは嵐』
『『貴方のISです』』
「それは…知ってる」
『それなら十二分です』
『俊葵に仇なすこいつらを破壊する』
とても懐かしい声がする。いつも聞いていたような不思議な声だ。そうか…宇宙と嵐か……。
俺の意識はここで深い闇に落ちて行った。
『俊葵さんを傷付けたくそッタレ共!!』
『あたしらがぶっ壊す!!』
宇宙は翼を広げてチャフをばら撒く。まずは自立兵器の連携を絶った。そして防御状態にある装甲の上からカリバーンで一刀両断していく。
『私のご主人様を傷付けた罪は私を持って償え!!』
嵐はトランザムで敵が防御する前に装甲の隙間を極細のレーザーで的確に狙い撃つ。
『そんな中途半端な兵器がたてつくな!!』
『切り拓く!!』
『乱れ撃つ!!』
ミサイルと斬撃の乱舞が辺り一面を消し飛ばした。ただシールドビットに守られた俊葵を除いて。
……
…
目が覚めたらいつもの俺の部屋の天井が見えた。宇宙と嵐が助けに来てくれたところまで覚えている。しかし自分の部屋に戻った記憶は全くない。
まいった…左手しか残っていない。また生やせるだろうし大丈夫だろうけどしばらく不自由だなぁ。
周りを見回すと知らない女性が二人、ベッドの傍の椅子に座って寝ている。片方は全身黒尽くめの喪服を着た未亡人みたいな美人、もう片方は身体中に傷がある緑色の髪の爆乳美女。
緑髪に対して黒髪は胸がそこまで大きくなく恐らくCぐらいだろう。でも胴回りは結構ありそうだ。それと二人ともデカい。目測で二人の身長が180を軽く超えていることが分かる。
誰でも構わないけど自分の部屋に知らない人がいるというのは落ち着かない。ベッドの脇にある棚から葉巻を取り出して吸う。手足が無くても超能力で物を持ち運びできるからこういった時には助かる。
「ふぅ…」
とりあえず足から生やす。いきなり生やすこともできるけど面白そうだからタコのような触手を生やし、それを束ねた足にしてみた。
「俺の身体も面白いな」
しばらく治療に勤しんでいると二人が目を覚ました。敵か味方か分からないので枕の下から銃を取り出して二人に向ける。
「俺の部屋に無条件で入れるのは俺のオンナだけだぞ」
「おはようございます。私が分かりませんか?」
「いつも一緒に居たから覚えているだろ?」
「名前を覚えるのは苦手だけど顔を覚えるのは得意なんだ。悪いけど知らないな」
「ではこれでどうですか?」
二人は腹部に彫ってある刺青を見せる。その刺青に俺は見覚えがあった。というか俺の身体にも同じものが彫ってある。タトゥーとして身体に彫った待機状態の宇宙と嵐だ。
「宇宙?」
「ご名答です」
「あたしは嵐だ。改めてよろしく」
もう何が起きても驚かないぞ。俺の目の前にいる美女があのゴツイISだと?
「ちょっと何を言ってるか分からない」
「説明なしにいきなり私たちはISですと言っても信じられませんよね」
すると嵐(仮)は両手をIS化して見せた。いつも見ていた嵐の腕だ。
「こうした方が信じるだろ?そ・れ・と・も♥」
胸をはだけさせて俺に抱き着く。
「マスターはこっちの方が好きだろ」
真耶とタイマン張れるくらいクソでっかい。そして柔らかい。なるほどな…これなら一発で信じられる。
俺は宇宙の腕を掴んでダブルパフパフを楽しむ。しかし右腕が無いので抱きしめられないのがネックだ。
「信じて頂けましたか?」
「信じるよ。匂いもぬくもりも完全に人間だけどISなんだな。う~~~たまんねぇ~~~」
「ようやくあたしらもマスターのオンナになれたぜ。ずっとみんなが羨ましかったんだ」
「愛されることが羨ましかったわけじゃあありませんよ。俊葵さんを愛せることが羨ましかったのです」
俺の事を気にしているのか俺をネガティブにしない最適な答えを出した。
「じゃあたっぷり愛させてあげるよ。ほらほらぁ…もっと愛して良いんだぞ」
「ちょっと待ったぁ~~~~~!!」
扉が開かれ束が飛び込んでくる。読んで字の如く正に俺の元へ飛び込んで来た。二人を無理やり引っぺがして俺の胸に顔を埋める。
「心配したんだからぁ…」
「そりゃああんがと」
抱きしめたいので不完全だけど右腕を形成して抱きしめる。
「もう身体は治ったの?」
「治してる途中。折角だし前みたいに作ってよ。」
「任せて!!早速作って来るぅ~~~!!」
入って来たと思ったら出て行った。忙しない奴だと思う一方で愛おしいとも思っている。
「俺が気絶している間に何があったのか…教えてもらおうか」
……
…
束から受け取った新しい義椀と義足は完璧に俺の身体に癒着した。覚えてはいないけど依然俺が義足を作ってもらった時から研究していたらしい。有機的な義肢なので血液も通っているし体温もある。
それに俺の意思に従って武器の展開もできる優れ物だ。
試しに右手の指先の砲門を展開してみた。ジオングやサイコガンダムのように指先からビームを発射できる。
「面白い♪束、ちょっと相手して」
「いいよぅ~~~♥」
両足の太ももからレーザーの射出口を展開して発射する。ガンバスターのバスターミサイルの技術を流用したそうなのだがまさかここまで小型化しているなんて信じられない。
束もアリスを展開してレーザーを吸収して防いだ。
「た~のし~~♪」
束が楽しんでいるようで何よりだ。俺も新しい身体が凄くて楽しい。
右手の掌にエネルギーを溜めて指先から発射する。そして鞭のようにしならせたエネルギーで思い切り束を攻撃する。
「えへへ~吸収したエネルギーは何処に行くのかなぁ?」
俺の周りには既に束のシールドビットが近寄っていた。
これはまずいと義肢のバリア装置を起動して衝撃波を防ぐ。しかし超高温の熱波に俺の肌が日焼けする。
「こんな熱波でも日焼け程度で済むなんて俊くんすごぉい♥」
「力があふれてくる。あぁ……堪らない♥」
今の俺なら何でもできる気がする。
「宇宙も嵐も俺の相手をしろ!!」
近くで見ていた二人に襲い掛かる。もちろんいやらしい意味じゃあなくて危険な意味で。
ビームウィップで攻撃した瞬間に二人はISに完全にはならずバトルスーツのようなものを纏った。
「マスターはやんちゃだな」
「それも素敵です」
全身凶器ならぬ全身兵器の俺はますます興奮して三人をボコボコ寸前まで追い詰めた。進化したIS二人と細胞レベルでオーバースペックな束を相手にできたんだから俺は十二分に危険な存在なのかもしれない。
あと戦闘が終わってから三人は俺が昔の俺に近づいたと言ってくれた。確かに以前の俺は戦闘狂だったかもしれないけど今の俺は違うと思ってたんだけどなぁ…なんだか複雑な気持ちだ。
以前の俺に近づくことによって皆に安心感を与えると同時にこんな狂った俺で良いのかっていう葛藤がある。でもそんな事は杞憂だろうな。
だってこんなに愛されているのだから。
試合後には三人とお風呂に入って汗を流してベッドの上で汗を流した。そしてもう一度お風呂で汗を流しながら汗を流した。
汗を流すゲシュタルト崩壊を起こしそうな一日だったな。明日は心配をかけた皆にあいさつでもして安心させないとな。
今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます
そろそろ二学期の始まりです
文化祭をどうするか全く考えていないのでアイディア下さい(露骨)
次回予告
幸福になった簪、強くなった一夏、紅椿を持っていない箒
原作との歪みが大きくなった所為で作者は困っている
さぁ、IS学園の文化祭は大混乱
どうなる俊葵?
どうなる一夏?
次回『学祭準備』
どうせこの次回予告も無駄になる(確信)
追申
マジでアイディアが無いのでしばらく本編の投稿は有りません