※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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化け物X

---シュウ---

 

翌日、何か様子が変だ。達也の視線が暖かい。エリカの態度がおかしい。レオ、幹比古も戸惑っているように見える。誰の記憶が甦って、ソイツ以外は動揺しているのか?達也が怪しい。しかし。こちらからは訊けない。う~ん…

 

休み時間、達也達は僕をスルーしている。これはこれで怪しい。記憶が甦ったのをバレないようにしているような気もする。う~ん…

 

そして、放課後。いつものように帰宅する為、深雪達を校門で待っていた。

 

「亘、少しいいか?」

 

克人が声を掛けてきた。

 

「僕は朱宇だよ」

 

「そうだったな」

 

「で、何か用か?」

 

「近いうちに、論文コンペっていうイベントがあるんだが、警備を頼みたい。受けてくれないか?」

 

克人と話していると深雪達がやってきた。

 

「深雪、論文コンペって何?」

 

「全国高校生魔法学論文コンペティションのことです。各学校の代表チームが研究結果を発表する場ですね」

 

「なるほど。で、克人、狙われているのか?」

 

「毎年な。研究成果を狙われるんだ。色々な勢力に」

 

「なるほど…蠢くヤツが出てくるのか。手がかりがつかめるかな?いいよ。手伝うよ」

 

「警備隊の総責任者は俺がなる。お前には補佐で独立部隊の隊長を頼みたい」

 

「はぁ?何を言っているんだ?僕はモブだ。僕の下で働く者などいないぞ!」

 

「九校戦の時に命を預けたはずだぞ、亘♪」

 

服部、壬生、桐原などが克人の後ろに現れた。

 

「ちんけな術を使いやがって。俺達を舐めるなよ」

 

嘘っ…こいつら記憶を…

 

「以前のケースを思いだした。何かのキーが記憶封印を解除する鍵になることをな。なので、色々試したんだ」

 

って、克人。

 

「受けてくれるか、亘…いや、姫島朱宇!」

 

力無く頷く僕…

 

---------

 

やはり敗因は紙ベースのデータがキーだった。論文コンペの参加学校から集めた人員で共同警備隊を編成するのが、その警備隊の総責任者は九校戦のモノリス・コードの優勝校から選出されるシステムらしい。で、一高の警備隊で優勝時の記事を懐かしんで読んだ時に、見慣れない名前を見つけたのが発端だという。神は紙に破れたのだった…

 

警備隊の方針を決める会議に参加。深雪達には先に帰ってもらった。

 

「亘、俺達だけに本当の事を教えてくれないか?何で、お前は記憶から消えたのかを」

 

服部に訊かれた。う~ん…皆の視線が僕に集まる。どれも真剣な眼差しだ。

 

「禁じられている術を使った。その為、僕は僕を封印したんだ」

 

「禁じられている?」

 

刻印魔法の権威の家系の五十里 啓に訊かれた。

 

「そうだよ。やってはいけない術を発動した。それをしたことを気づかれないように記憶を操作したんだ」

 

「禁術系か?」

 

服部に訊かれた。本当の事を言ったら正体がバレちゃうかな?でも、言わないと、この先、辻褄が合わなくなるか。

 

「神格系だ。神格文字を用いた術式を使ったんだ。神ですら、迂闊に使ってはいけない術なんだ」

 

克人を含めて驚く一同。実際には、聖杯を使ったんだけど…まぁ、神格術でも再現は可能だし。

 

「お前…」

 

僕の正体を知っている克人ですら、言葉が続かない。

 

「服部は調べたから知っているんだろ?僕が何で粛正対象だったかをさぁ」

 

粛正理由はヴィジョン能力持ちなんだけど、脅しの為に、この術のせいにしておく。

 

「あぁ…神々を超える能力って…それか…神と同等の術が使えるのか…」

 

服部の顔から血の気が失せていく。いや、みんなか…神々に畏怖されている理由は『神殺し』能力持ちだからなんだけど。

 

「まぁ、そんな感じだ」

 

「化け物…」

 

誰かが言葉を苦しげに漏らした。

 

「そうだよ。僕は化け物だ。10年前に人札の術を使った日に、僕は人間を辞めた。だから、僕に関わらない方がいい」

 

その場から転移して、神社に帰った。

 

 

 

---服部----

 

「おい、誰だ!亘を化け物って言ったやつは!いいか、今後、亘を化け物って呼ぶな!アイツは世界を護る為に、人札になったんだぞ!」

 

俺の怒りが暴走していく。亘の心すら護れない自分への怒りだ。

 

「人札の術は人間にしか使えない。使える者は限られる。悪用されるとダメな術だからだ。能力だけで無く、正義感と自己犠牲という勇気を持った者だけに、伝承される術だ。それを、アイツは6歳で行使したんだ。そんなアイツを化け物って呼ばないでくれ。頼む!」

 

俺はみんなに頭を下げた。自分以外の事で、心から頭を下げたのは初めてかもしれない。それだけの価値はあるヤツなんだ、アイツは…

 

「服部君、頭を上げてください。僕も同じ気持ちですから」

 

五十里が声を掛けてきた。

 

「そうですか、彼が無邪鬼を封じ込めてくれたんですか…いいですか?今、僕達がここに居られるのは彼のお陰かもしれませんよ」

 

五十里が熱く語ってくれている。

 

「亘を化け物と呼ぶ者は、ここから出て行ってくれるか?」

 

十文字先輩が提案をしてくれた。

 

「俺は、九校戦の警備の時も、選挙の時もアイツに命を預けた。今回もそうする。実際問題、アイツは人間の姿をした化け物だ。でもな、アイツは護りたい者を護る為に全力を尽くしてくれる者だ」

 

結局、誰も退室しなかった。アイツのガーディアンとしての働きは、みんなの記憶に刻まれていたから。

 

 

 

---シュウ---

 

夜、家で甘味三昧をしていると、達也から連絡が入った。

 

「すまないが、来てくれないか?鑑定して欲しい物があるんだ」

 

って…コイツ、記憶戻っているんじゃないか?僕の鑑定能力を知っているってことは…

 

「達也、一つ確認をする。お前、記憶戻っているのか?」

 

「あぁ…エリカの記憶を読んだ。アイツの記憶の断片を見て、思い出したんだよ」

 

嫌な予感満載なドロップアウトだな。

 

「まさかとは思うが、エリカは記憶はロックしているよな?」

 

「すまない…外れたよ」

 

あぁ…僕の100億年を返せ…そんな感じだ。落ち込み凹んだ僕を、深雪が抱き締めた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「僕の苦労が…」

 

へこたれて、蹲る僕。深雪が優しく抱き締めてくれている。

 

「すまない…レオと幹比古も戸惑ってはいるがアンロックしている」

 

そうだろうな。エリカのロックが外れれば、そうなるな。はぁ~

 

-------

 

深雪と共に、達也の家に転移した。

 

「早速なんだが。これを頼む」

 

達也から曲玉を渡された。

 

「魔石だ。悪用されるとマズい石だよ。無力化するぞ」

 

達也の了承を得ずに、魔石を浄化した。

 

「聖遺物として預かったんですけど」

 

「じゃ、聖属性の浄化能力付与しておく」

 

無害化した石を達也に返した。

 

「悪しき心の持ち主が触れると浄化される。注意事項はそれだけだ」

 

「そうですか…後、約束は覚えてくれてますか?」

 

「なんの?」

 

時差ボケでまだ記憶が曖昧なんだけど。

 

「深雪のことをお願いします」

 

達也が頭を下げた。兄の意外な行動に当の深雪が驚いている。まぁ、夫婦だったからな。

 

「たぶん、深雪を幸せに出来無いと思うよ」

 

えっ!って表情の深雪。

 

「それは、深雪とエリカに対する想いを捧げたからですか?」

 

正解を言い当てた達也。頷く僕。なんの事か分からずに戸惑う深雪。

 

「深雪とエリカに対する想いは、1からやり直しだよ」

 

「やり直せるんですか?」

 

僕の腕を抱き締める深雪。

 

「「やり直してください…」」

 

達也兄妹に頼まれた。

 

「努力はする」

 

深雪と二人で家に転移をした。

 

-------

 

翌日、教室に入ると、克人と服部がいた。待ち伏せか?クラスメイト達が、二人のオーラを受けて固まっている。まぁ、この学校の番長と副番長クラスだしな。

 

「何か用か?」

 

用件を訊く僕。

 

「昨日は、すまなかった。あの後、全会一致で、お前の指揮下に入ることになった。当日は頼むぞ」

 

と、克人。

 

「俺のことを足で使っていいぞ♪」

 

って、服部。言いたい事言って、二人が教室から出て行った。僕は自分の席に座った。二人とのヤリトリを聞いたクラスメイト達が、僕を恐怖の対象として認識しているようだ。まぁ、強面の克人、服部達が僕の指揮下に入るって、二科生の1年生では有り得ないことだろうから。これでは僕は裏番に思われてしまう。

 

 

授業は魔法力のコントロール演習だった。二人一組でするらしいが、一人でもいいかな的でいる。

 

「なぁ…一緒に演習してもいいかな?」

 

エリカが声を掛けてきた。

 

「彼氏のレオとやれよ」

 

一人で演習をしようとしているレオの前に、強制転移させた。僕は一人で、コツコツと…

 

 

 

昼休み、エリカが弁当を持って近づいて来た。

 

「なぁ、…一緒に食べないか?」

 

迷わず、レオの元へ強制転移させた。

 

 

 

放課後、エリカが抱きついて来た。乳房の感触が気持ち良い。

 

「一緒に帰ってくれ…頼む」

 

う~ん…僕に触れている者は強制転移出来無い。困ったなぁ。

 

「レオがお前を見ているぞ。アイツと乳繰り合えよ」

 

エリカの手を振りほどいて、食堂に転移した。食堂では、深雪が甘味を用意して待っていた。

 

「買っておきました♪」

 

プリンだぁ~蒸しプリンと焼きプリンを交互に食する。旨い~♪

 

「おい、朱宇!」

 

プリン三昧をしている僕に、レオが声を掛けてきた。

 

「何だ?」

 

「勝負しろ!」

 

「いいぞ。僕が勝ったら、エリカと結婚しろ!」

 

速効で倒した。

 

「おい、私と勝負しろ!」

 

今度はエリカか…

 

「はぁ?旦那の仇討ちか?」

 

「四の五の言わずに勝負しろ!」

 

速効で…しかしエリカに術を放てない…でも、撃たないと…どうしていいか分からなくなった僕は、エリカをエリカの部屋へ強制転移させた。

 

「深雪、帰るぞ!」

 

「はい!」

 

まだ食べていないプリンを、タッパーに詰めてカバンに詰めた深雪。

 

-------

 

翌日の朝練、白音が雫とほのかと共に瞑想している。僕と深雪は神社内の清掃をしていた。そこに、千葉家3兄妹が現れた。

 

「朝から、何だよ?」

 

「勝負しろ!」

 

エリカの目は真剣である。兄二人もだ。兄妹で何を話したんだ?

 

「深雪、身体を動かしてくる」

 

そう言うと、4人で専用フィールドへ転移した。

 

「ここは?」

 

次兄が訊いてきた。

 

「僕専用フィールドだ。ここなら、本気で戦えるからな」

 

僕は愛剣達を呼び出し、腰に鞘を付けていく。千葉家3兄妹も得物を手にして構えてた。

 

「いいぞ!来いよ!」

 

4刀流による飛ぶ斬撃を放っていく。彼らの進路を妨害する感じで。真面に当てると死んじゃうから。で、斬撃とは別に、様々な弱めの威力の魔術も撃ち込んでいく。エリカには真空刃を飛ばす。やはり、女性は服を切り刻まないと♪

 

「何?アイツ、腕は2本だけか?」

 

「そうだよ!」

 

「マズい、斬撃を喰らうと剣が折れそうだぞ」

 

「えっ?服が…」

 

飽きてきたので、剣を使わず、飛ぶ打撃に切り替え、腹部へ撃ち込んで行く。兄二人は意識を飛ばしたようだ。あとは、エリカだけだ。エリカはほぼ全裸であった。

 

「お前…道着を切り刻むって…どういうことだ?」

 

では、『脱衣』を発動。全裸にした。

 

「全裸…」

 

戸惑うエリカ。

 

「どうされたい?兄二人に襲われるって言うのは?」

 

いや、兄二人には彼女がいるよな。ダメだなぁ。

 

「ふざけるな!お前…真剣に戦えよ!」

 

真剣で戦ったけど…殺さないで戦うって疲れるんだけどなぁ…エリカの目の前に転移して、割れ目に指2本を入れた。

 

「あっ…やめろ…」

 

親指で未使用に近いポッチを捏ねてみる。

 

「やめてくれ…あぁぁぁ…うっ!」

 

指を抜くと、膝から崩れたエリカ。早いなぁ。目は虚ろである。余韻に浸っているのか?エリカの体液の付いた指を舐める。うん、変わらない味で、少し安心。

 

「どうしたんだ?さっきの威勢は?」

 

顎を掴み、リフトアップする。目の前に綺麗な色の乳首を置き、観賞する。

 

「うっ…見るな…見ないでくれ…」

 

うん?次兄が意識を取り戻したようだ。僕に隙有りと思ったのか、気配を消して、静かに襲い掛かってきた。エリカを静かに床に置き、攻撃を透過する。

 

「何?効かないだと?この化け物が…」

 

そうだよ。化け物だよ。もう辛いから誰も愛したく無いのに…

 

「化け物だと思うなら、このバカ女を僕に近づけるな!このバカ兄妹が!」

 

彼らを千葉家の道場へ強制転移させた。さて、帰るか。神社に帰った僕。

 

 

教室に行くと、当然だがエリカは欠席だ。レオもかぁ。

 

「あの二人は、何かやらかしたんですか?」

 

達也に訊かれた。

 

「僕に勝負を仕掛けて、返り討ちだよ♪」

 

------

 

論文コンペの出場者はメイン執筆者に市原鈴音、サブに達也、五十里が入ったようだ。なので、警護隊に達也はいない。

 

「相手は、どの程度を想定すれば良いんだ?」

 

克人に訊いた。

 

「テロ組織辺りかな」

 

校内でもスパイ騒ぎが続発していた。生徒を洗脳して、潜入スパイ要員にするヤリ方のようだ。

 

国内のテロ組織リストに目を通す。う~ん…めぼしそうな組織はいない。海外の組織のリストで目に付くのは、大亜連合だな…ここが絡むと厄介だけど、探している黒幕に繋がるかもしれない。まぁ、こいつらを仮想敵勢力にして、作戦を考える。

 

「うん?大亜連合だって?」

 

あっ、服部に見られた。

 

「いや、仮想敵勢力として、シミュレーションしていただけだよ」

 

「これは、俺達だけはは無理だぞ。国防軍の協力も必要になる。そうか、応援要請の連絡リストを作っておくか」

 

デスクワークの後は、実戦を想定した訓練。克人、服部、沢木辺りと組手♪僕からは攻撃はしない。殺してしまうから。ひたすら受け流していく。

 

「すごい…十文字君の攻撃を受け流すなんて…」

 

真由美が見学をしながら、感想を漏らしている。記憶はロックされたままだ。あずさ、摩利もだ。

 

「はんぞー君、彼は何者?」

 

服部に訊いた。

 

「ダメですよ。嫁ぎ先の一条家へ連れて行こうって魂胆は」

 

真由美達の記憶のロック維持に協力してくれている服部達。

 

「ダメなの?って、彼はどこかの家に属しているの?」

 

僕に興味を持った真由美。

 

「彼は四葉家の者ですよ」

 

「四葉家の?じゃ、ダメかぁ…」

 

あきらめてくれるかな?

 

「朱宇、ちょっと、いいかな?」

 

市原鈴音に呼ばれた。克人との組手を中断して、鈴音の元へ向かう。

 

「どうしました?」

 

「先日、スパイ容疑で捕まえた生徒の事情聴取に行くの。ガードとして付いてきてくれる♪」

 

「了解です」

 

ガードには僕の他に摩利と何故か真由美が付いてきた。鈴音に聞いた話だと、仲良し三人組のようだ。真由美にアレコレ訊かれるが総てスルーする。

 

「リンちゃん、何で彼は無口なの?」

 

真由美が鈴音に尋ねた。

 

「女性が苦手なんですよ」

 

僕の事情を知っている鈴音が、淡々と嘘の理由を話した。

 

 

 

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