---シュウ---
歴史は繰り返す…人質を取られた。達也の記憶には、僕のエリカに対する想いが残っていたようだった。エリカを抱き寄せ、彼女の首に刀の刃を当てる達也。そんな達也に愛おしそうに抱きついているエリカ。現状において、二人を引き離すのは難しそうだ。
僕は千葉家の男達とその婚約者の手で、攻撃を受けまくる。人形なのに…どうして、悪巧みが出来るんだ、コイツ…達也の心を読んでみると、深雪を護りきるという心だけが生きていた。それは彼にとって、僕は邪魔な異物なのかもしれない。それを排除する為にどうすれば良いかを思考した結果なのかもしれない。
エリカ…また、僕は誰も護れないのか…達也が僕の前に刀を放り投げてきた。これで自害しろと言うんだろうな。エリカの首には達也の指が掛かっている。当のエリカは達也に甘えるような仕草をしているし…
僕は刀を手に取り…刃を首に当てた。後は引くだけだ。
「亘!」
手にした刀が消滅した。それを見て、達也に首を折られるエリカ…僕は達也に殴り掛かる。千葉家の方は、僕の世界の姉ちゃんがしばいている。達也に集中出来る。僕は渾身の力を拳に載せ、で達也の心臓を撃ち抜いた。心臓を失った達也はその場に崩れた。
「亘…」
「姉ちゃん、遅いぞ…また、爆睡か?」
「まぁ、そんな感じだよ♪間に合ってよかった」
この状況を見て、どう間に合ったと言うのだろうか?エリカも達也も救えなかったのに…
「まず、達也君の心臓を浄化して。死んだから術自体は解けているよ」
言われた通り行い。心臓を元あった位置に置き、治癒術を掛けた。
「亘…俺はどうしたんだ?」
「達也、おかえり♪」
達也を深雪のいる場所へ転移させた。千葉家の男陣と響子も同じ様に、心臓を浄化して、生き返らせてから、あの世界の姉ちゃんの元へ、一人ずつ転移させた。
問題はエリカだ。首を治した。記憶を浄化して、精神を浄化した。出来る物は総て浄化した。問題はここからだ。エリカの心臓は人間の物では無い。
「どうすればいいかな?姉ちゃん…」
「諦めるって選択肢は?」
「無いよ…」
「そう…」
強引に種族変更しているので、たぶん、二度と人間には戻らないと思う。もし有るとすれば方法は…
「むじゃ君…お願いがあります」
「ダメだよ~。拒否します」
相手にする気が無いようなむじゃ君…
「むじゃ君…」
「母さん達が言うように、今回は諦めた方がいいって…」
「むじゃ君…」
「う~ん…もう捧げる物…無いでしょ?」
「あの世界を想う心…」
「ダメ!受けられません。母さん達からも言ってください」
「むじゃ君…」
断固拒否のむじゃ君。供物として価値が低いのかな…
「言い出したら聞かないから…はぁ~」
姉ちゃんの溜息が出た。
「わかった。諦める。その代わり、僕はここでエリカの亡骸と過ごす」
「ダメだよ!何言っているのよ~」
姉ちゃんが拒否らしい。どうするかな…エリカはエリカのままで…あっ!
「分かったよ。ちょっと、再生する当てがあるから、姉ちゃん、帰ってね!」
姉ちゃんを強制転移で追い出して、専用フィールドを閉じて、僕はとある世界へと向かった。
-------
漆黒の闇に飲み込まれいる。やはり2回目のエリカの死のシーンは、見るに耐えがたい…しかし、目を背けても、脳裏へ直接流し込まれる映像。地獄である。
エリカの身体が治るまで、大いなる意志に禁固刑を志願したのだ。
「自分から志願するヤツは、お前が初めてだ。まったく、お前と来たら…」
大いなる意志でさえ、呆れていた。僕はバカだから…懲りないヤツだから…また、目の前で救えなかった。大切な者を…
50億年くらい過ごした頃、禁固刑から解放された。エリカの修復、改造が終わったらしい。僕は急いで、ヤマトのいる世界へと向かった。
ヤマトのいる世界のレビア・マーベリックに頼み込み、エリカをリアやヴァリのようなサイボーグにしてもらった。器は僕が修復したので、ほぼ使えたそうだ。心臓には僕の駒が使われていたので、それをそのまま使ったそうだ。
僕の見ている前で、エリカのシステムが起動される。システム起動、システムチェックを経て、メモリーロードを始めた。エリカの記憶は、僕の駒にバックアップされているから。
そして…
「ここは…」
うっすらと瞼を開いたエリカが、言葉を発した。
「エリカ…わかるか?なぁ、僕のこと…」
僕のことを見つめるエリカ。僕が僕であることがわからないのか…
「…亘…どうして、そんな目で見ているんだ?」
「ごめん…また、護れきれなかった…」
エリカの胸に顔を埋めて、涙を見せないようにする。
「…そうか…私はまた死んだのか…」
「ごめん…」
「また、ドラゴンになったのか?」
「…サイボーグ…」
「うん?サイボーグ?う~ん…それって、ハーフな機械人間か?」
「そうとも言う」
「で、なんで私の胸の谷間に顔を埋めているんだ?」
「気持ち良いから…」
涙を見せたくないって言うのは、カッコ悪いので嘘をついた。いや、あながち嘘では無い。気持ち良いのは本当だ。以前よりも…
「はぁ?そういうときは口づけだろ?お姫様は王子様の口づけで目覚めるんだぞ!」
サイボーグになっても、思考は同じエリカ。少し安心である。リアのような冷静沈着になったら、エリカはエリカで無くなってしまう。
『プレイテストをしてみてくれ』
レビアから指示が飛んできた。アレの具合のテストをしないとな。エリカの未使用の乳首を舌先で舐める。
「おい…生き返っていきなり、ソレか?」
驚いたような声を上げるエリカ。乳首は刺激を感じ大きく固くそそり立っていく。乳房を揉む。柔らかいが張りを少し感じる。適度かな…揉むほどに固く大きくなっていく。
「どうしたんだ?お前、私に興味ないだろ?」
戸惑っているエリカの声。スルーだな。そして、股間の閉じて居る開き戸を開けると、未使用な薄桃色な世界が広がっていく。
「マジマジと見るなよ…恥ずかしいぞ」
これもスルーだな。可愛らしい穴の上の突起物を舌先で舐める。レビア製サイボーグ体はこれがプレイモードのスイッチになるらしい。性なる感度の調整もここで行うようだ。
「あっ!」
う~ん…感度調整が難しい。良くしすぎると、すぐに達してしまうし。調整が終わるとコネクタインをしていく。可愛らしい穴は僕の巨砲を飲み込んでいく。
「をい、相手が違うぞ…なんで私なんだ?」
戸惑うエリカの言葉をスルーする。根元まで咥えられると、僕のアレに至高の刺激がもたらされていく。まるで、僕専用のオナホールでも埋め込んであるのでは無いかと思える程の刺激である。エリカごときで逝くのは不本意だけど…僕はエリカで達してしまった…僕の体液放出を内部にあるセンサーが感知して、エリカも同時に果てていく。
上の口でも試した。僕専用のオナカップが内臓されているような感じで…エリカごときに2連敗だった。ヤマトが浮気しない理由がわかった気がする。これは他の女性とのプレイに支障が出るくらいの快楽ボディだ。危険だろ…対僕の最終兵器だと言って過言では無い程だ。
「私は亘専用ってことかな?」
顔と耳を紅潮させて訊いてきた。
「僕以外とは交われない。僕以外だと股間に割れ目は生じない」
「はぁい?私には選択の余地が何のか?」
「僕以外なら誰がいいんだ?今ならオーナーの変更は可能だけど…」
「えっ?!それは…亘でいいよ…いや、亘がいいんだよ。変更するなよ!」
僕を抱き締める。
「エリカ…力加減…」
痛すぎる…サイボーグの力はあなどれない。
「あっ…ごめん…そうだった。サイボーグなんだった。てへっ♪」
らしくないのでスルーする。そして、エリカをお持ち帰りした。
-------
キャッスルドランへ戻ると、地上は様変わりしていた。まるで終末を迎えたような形相だった。まぁ、原因の予想は出来ている。アイツが暴走したんだと想う。地上は氷漬けであった。何もかもが氷っている。
僕だけで、アイツの家へ向かった。家に入ると、達也が通信モニタで誰かと通信している状態で氷っていた。発電設備も氷結しているのか、電気は送電されていない。アイツの部屋に向かう。ベッドに全裸で横たわって氷漬けになっているアイツがいる。セラフォルー並の思考だったのか?今想えば、甘え方も似ているような気もする。
机にメモが置かれていた。
『シュウさんがいない世界…無くなれば良い。異変に気が付いて…そして、私を眠りから醒ましてください 深雪』
と書かれている。やはり、暴走の果てはコレなのか。置いて行けないのか…何か負けたような気持ちである。深雪が術を解かないと、世界は復活しないので、深雪を自然解凍させていく。大地が氷っているので、気温は冷え冷えだ。これでは自然解凍は無理なので、僕の体温で溶かしていく。鬼の成分のある僕は暑さ、寒さに強い。灼熱地獄、極寒地獄でも普通に動けるように、鬼はその手の物には強いのだ。
抱き締め始めてから数日が経つと、深雪の身体の柔らかさが甦って来た。下半身のクレパスにカオスモードのペニスを侵入させて、体内からも暖めてみた。
いつしか僕は眠りに落ちていた。そんな僕にやわらかな物が触れ合い、僕の冷えた身体を暖めてくれているみたいだ。
「シュウさん、起きて下さい。ごめんなさい…ねぇ、お願いです。起きて下さい」
僕の頬に暖かな水滴が落ちて来た。起きないと…また、暴走する前に…徐々に冷え切った筋肉を動かす。そして、彼女の体内の暖かさを分けて貰う。
「深雪…おはよう…元の世界に戻してくれるかな?」
「連れて行ってくれますか?」
「当たり前だろ!お前には罰が必要だ♪」
---------
深雪が術を解き、世界に暖かさが戻り始めた。氷っていた者には、氷っていたという実感が無いみたいだ。送電も復旧して、何もかも元通りになっていく。
深雪には1週間後に旅立つと伝え、準備をしてもらう。エリカは、キャッスルドランで、リアに力加減を教育してもらっている。僕は、僕がしなければいけないことを、淡々と準備していった。
まず、千葉家へ…当主と会う。何が遭ったかを伝え、サイボーグ化の際に使わなかった部位を荼毘にふした際に出た、エリカの遺灰を瓶に詰めて、手渡した。
「エリカ…」
瓶を抱き締め泣き崩れる千葉家当主。千葉家を後にしようとすると、アニキ達に声を掛けられた。
「なぁ、エリカ…生きているんだろ?」
あれは生きていると言っていいのか、悩む僕。
「また、ドラゴンにしてくれなかったのか?」
アニキに胸倉を掴まれる。
「おい!どうなんだよ!」
「二度は無理…僕は万能では無い…」
「お前…エリカを見殺しにしたのか?」
ガツン!
頬骨にアニキの拳が入った。
「僕は護れなかった。気の済むように切り刻め!」
「出来る訳無いだろ…そうか…また、目の前で…すまない、弱い妹で」
兄さんがアニキを止めに入った。
「エリカは…どうなったんだ?」
「生き物として再出発は無理だった…」
しばし無言の時間が過ぎ、
「うん?生き物として?じゃ、何になって再出発しただんだ?」
アニキが訊いてきた。
「サイボーグ…」
「かっこいい…エリカのくせに…なぁ、サイボーグエリカに逢えないか?」
格好良いかな…まぁ、逢うだけなら…
「今すぐは無理。準備が出来たら知らせます」
--------
次に訪れたのは神代家の当主の元へ。この世界の亘の遺灰を詰めた瓶を手渡した。
「あの谷に行き、拾えるだけ彼のを拾ってきました。どうぞ、お納めください」
「そうですか…ありがとうございます…わたるぅぅぅぅぅ~」
当主は総代達の前にもかかわらず、号泣した。彼の本来の息子の死を、彼の遺灰で再確認出来たのだろう。
「問題は綾香姉ちゃんですけど…」
彼の遺灰を詰めたロケットをペンダントヘッドにしてある。
「どう手渡せば良いか…」
「綾香のことも頼めますか?」
当主に頼まれた。まぁ、後始末はして行くつもりだし…姉ちゃんに後の運営を託した姫島神社へと向かった。僕の姿を見て走り寄って来た姉ちゃん、雫、ほのか。
僕は、無言で姉ちゃんの首にペンダントをしてあげた。ロケットを手にして、中身を調べる姉ちゃん。中身の正体を知ると…
「お前…騙したのね!お前は誰だ?ねぇ、なんで、弟の振りなんかしたの!」
僕に渾身の一撃を放つ姉ちゃん。肉体が暴発した幻影を見せて、僕は彼女達の前から姿を消した。後、誰に挨拶すれば良いのかな?
--------
この世界を離脱する日、達也の家には深夜、千葉兄弟が集っていた。千葉兄弟はサイボーグエリカを満喫しているようで、楽しそうだ。達也は深夜と共に深雪と別れを惜しんでいる。僕は通信モニタで真夜と会話を楽しむ。
「たまには来て下さいね。達也と深夜の婚礼には、必ず来なさいね♪」
命令形だけど、何か楽しそうだ。
「たまに、覗きに来るよ。真夜の着替えとか、入浴とかをね♪」
「プレイはしてくれないの?」
「旦那持ちとはしないよ。見るだけだ♪」
離脱の時間が迫ってきた。
「また、サイボーグエリカを連れてきてくれよ♪」
兄さんが声を掛けてきた。
「えぇ、必ず」
アニキの方は泣いて、煙たそうな態度のエリカに抱きついている。暑苦しそうだ。深雪は達也と抱き合っている。
そして、離脱時間…僕と深雪とエリカを光が包みだした。僕達の身体は光の粒子に分解され、時空へ飛び出す。天井を透過し、屋根を透過し、時空の壁を透過して、一誠の世界へと旅立った。