飛び級留学*
---誠---
クソじじぃが、一誠の為に剣の修業先を見つけてきてくれた。
「兵藤本家筋の者ということで、特待生扱いじゃ。修行出来るのは最長で1年。どうせ、来年は小学校を選ぶじゃろうし」
一誠の修行先は、破軍学園。伐刀者(ブレイザー)という者を育成する学校である。伐刀者は、魂を固有霊装として顕現させて、魔力を用いて異能の力を操る者のことである。一誠向きではない。
「一誠は魔力の上限が低いが、大丈夫なのか?」
「そうなのか?う~、まぁ、どうにかなるじゃろう」
おい…一誠には辛そうな修行先だな。魂に関しては問題ない、いや問題有り有りだし。
「それでな、全寮制なんだが…」
無理だ。アイツを放牧すると危険が一杯だ。
「全寮制はダメだ。一誠は、まだ幼稚園児だぞ」
ダメな本当の理由は言えない。それは、秘密にしておかないといけない。
「かわいい子には旅をさせよというじゃろ?」
「確かに、剣技を学ぶには良い環境かもしれないけど…」
何人の女性をお持ち帰りするんだ?あのエロ神様は…
一誠の正体…エロ神様のことは、クソじじぃには話さずに、一誠の留学が決まった。
---一誠----
剣術の修行ができるようだ。全寮制かぁ…バチカンで修行した日々が懐かしい。で、今、グリゴリ本部にある、アザゼル専用の宝物庫、通称「ゴミ置き場」に来ている。魂を固有霊装として顕現できる剣がないか、物色中である。
「おい、お前!どうやって入った?ここは結界が張ってあっただろう?」
アザゼルに見付かってしまった。まぁ、いいっか。
「僕、結界無効だから…」
頭を抱えるアザゼル。
「そうだった。お前は盗人向きだよな。はぁ…で、何を物色しているんだ?」
「破軍学園に剣の修行に行くことになったんだけど、魂を固有霊装として顕現できる剣を持っていないから、出物がないか、物色中だよ」
「魂を固有霊装…あぁ、有るにはあるが、誰も使えない剣が一降りある。剣に意志があり、適応しない者が持つと、大怪我をする危険な剣だ…おい、勝手に開けるな~」
僕は封印をされている箱を見つけて開けた。
「見た目はきれいな紅色のコアに刀身は純白なんだね。炎系かな?」
「おい、柄は持つなよ。大やけどするぞ!…え?何も起きない?」
僕はその剣を持った。そして、念を送り、彼と会話をしていく。
「この剣は、黒炉の魔剣。宿る者はセル=ベレスタ。総ての物を焼き切れるそうだ」
「おい、その剣と会話ができるのか?」
「うん、ネクロマンサーだから僕」
「はぁ?ネクロマンサー?って、まさか、能力の封印が?」
「あぁ、解放されたよ、アザゼル。ふふふ。なるほど、刀身が状況で変化できるのか?刀サイズが良いなぁ」
念じると、セル=ベレスタは僕でも扱い易い刀サイズになってくれた。
「アザゼル、誰も使えないなら、僕が貰うよ。いいよね?」
「あぁ…ダメと言っても、持ち出すんだろ?」
「ありがとう、アザゼル」
「防具は要らないのか?」
「うん?いらない。必要ない。特性の封印も解けたから」
「特性?何が使えるんだ?」
「あらゆる攻撃を透過させる能力。今は、透過している最中に、吸収出来るように、努力中だ」
目が点になって固まっているアザゼル。僕は彼を宝物庫に残して、立ち去った。
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父さんと母さんに連れられて、破軍学園の理事長室にいる。
「誠殿と一香殿の息子さんですし、特例での留学の許可です」
理事長の神宮寺 黒乃が、両親と会話をしていた。黒乃は、確か時空警察の手配所にあったWANTEDだ。能力は…確か、時間を操る能力で、二つ名は『世界時計』だったかな?名前の黒乃は、時間のクロノにかけているみたいで、本名は不明だ。
「兵藤本家筋ですと、魔力は無いってことですか?」
「いえ、少しなら有ります。式森の血も入っていますから」
「それって、禁忌…そうですか、訳有りなんですね」
「息子をお願いします。訳有りで、多くは語れませんが、桁ハズレの能力者です。扱いには注意してください」
父さんの言葉を受けて、黒乃の顔は強張った。
「まさか…誠殿よりも上ってことですか?」
「まだ幼稚園児ですが、本気で戦った場合、俺ですら勝てるかわからない。剣の腕は、サーゼクスの眷属の沖田君を超えました…」
「…」
父さん、ビビらせることを言わないでよ~
「そうですか…一誠君、君の得物を見せてくれるかな?」
黒乃が僕の方を向いて、急ごしらえの笑顔で言った。僕はセル=ベレスタを発現させた。
「…それって…黒炉の魔剣…セル=ベレスタ…」
「理事長先生、正解です」
青ざめていく黒乃。父さんもだ。
「一誠、その魔剣はどうしたんだ?」
「アザゼルに入学祝いで貰った」
僕は、魔皇剣ザンバットソードも発現させた。
「えっ…魔皇剣…ザンバットソード…」
「理事長先生、魔剣と魔皇剣の二刀流を鍛錬したいです」
「誠殿…息子さんは何者ですか?使い手を選ぶ剣を二降りも所持しているし」
「息子は…」
答えに詰まった父さんに続けた。
「僕は幼稚園児だよ、理事長先生♪心が無垢だから、剣が力を貸してくれるんだと思います」
「あぁ、それはあるかも…って、騙されないわ。ただの幼稚園児が、魔皇剣を扱える訳ないでしょ?その剣は…」
「吸血鬼の王の為の剣…だから?」
「誠殿、なんで幼稚園児に、そのような知識があるのですか?」
黒乃が僕の発言内容によって、取り乱してきた。
「それは僕が王だから…なんてねぇ♪ははは」
「笑って誤魔化さないで!貴方は何者?」
「兵藤一誠、幼稚園児です」
「そうじゃない、本当の正体は?」
『人間を辞めるのであれば、教えてやる。どうする?』
黒乃に直接念話を送った。
「人間を辞める気はないわ…」
父さんは僕の方を向き、
「一誠、お前、念話で何を言ったんだ?」
「兵藤一誠、幼稚園児です」
「違うだろ?黒乃があんなに怯えている。お前…」
「はぁ?父さん、秘密バラシまくりじゃん…誠、もう少し冷静に行動しろよな」
「あっ」
両手で口を押さえる誠。
「黒乃、人間が知って良い知識には上限がある。それを超える為に、人間を辞める覚悟があるのか?」
黒乃に死を感じるオーラを放つ。恐怖のあまり、彼女はその場にへたれこみ、失禁…脳内保存しておこう。いつか強請るときのネタにしようかな。ふふふ
「シュウ…」
「僕の事は、人間が知らないで良いことだ。誠や一香は僕の両親だから、包み隠さずに話したけど、それ以外の人間には要らぬ情報だよ」
黒乃の記憶を操作して、僕の秘密関連のやり取りはなかったことにして、僕を部屋に案内してくれる黒乃。
「この部屋で、一誠君の部屋は。ルームメイトには、優しいお姉様系にしておきましたから、わからないことがあれば、頼るのよ」
っっと。かわいい娘かな?二人で、部屋に入り、設備を確認する。僕の部屋は特注らしく、幼稚園児の僕の身長に合わせて、改良されているようだ。
「練習はどこでするの?」
「明日、クラスメイトに聞いてみて」
そういうと黒乃は出て行った。僕は僕の部屋のベッドで昼寝をする。幼稚園児は睡眠も仕事のうちだって、誰かにいわれたから。誰だっけ?
物音がして目が覚めた。部屋を出ると、薔薇色の髪、碧色の瞳を持つ少女がいた。着替え中だったのか、全裸だ…おい、共用部でするなよ…
「きゃ~!」
と、悲鳴を上げて、バスタオルを巻き付けた。
「お姉さんは誰?僕は兵藤一誠。この部屋の住民です」
「え?え~っと、ルームメイトが男性って…どういうことよ~」
僕に怒りをぶつけられても…あぁ、イタズラしたい…彼女の身体の自由を奪う。
「え?なんで?動けない…」
バスタオルの端を握らせて、左右に腕を伸ばさせた。タオルで隠していた前部は、僕の目の前に開けた。あぁ、初物だぁ…
僕は、トコトコ歩いて近寄り、彼女に抱きついた。僕の顔は、丁度彼女の秘部辺りになり、彼女の香りを嗅ぎ、味わう。
「え?え?どうしよ~」
彼女の身体がピクついた。割れ目から暖かい液体が少しずつ沸き出してきた。僕はソレを舐め、啜る。
「この感触…天に浮く感じ…嫌いじゃない…」
彼女は立ったまま、昇天した。僕は、彼女を彼女のベッドに転移させて、横たえた。彼女の魂から情報を得る。彼女の名前はユリス=アレクシア・マリー・フロレンツィア・レテーナ・フォン・リースフェルト。長い名前だな。舌を噛みそうだ。リーゼルタニアという国の第一王女のようだ。あぁ、だから未使用だったのね。
はぁ、変態プレイに能力を使って疲れた。もう少し寝なきゃ…僕は僕のベッドで、眠りについた。
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翌朝、目が覚めると、身体が重い。何かが載っているみたいだ。リーラかな?バサ姉かな?顔を確認すると、知らない少女だ。誰だっけかな?うん?ここ家でない…あぁ、寄宿舎生活し始めたんだ。えぇっと、ルームメイトはユリスだったかな?ユリスを揺すって起こす。
「ユリス、朝だよ。起きて…遅刻しちゃうよ~」
「遅刻」とい単語に反応して、ユリスが目覚めた。
「おはよう、イッセー君」
「なんで、僕の名前を?」
「君が寝た後にね、理事長に文句を言ってきたの。そこで、君の情報を仕入れたのよ。あの兵藤誠、一香夫妻の長男とは、驚きよ」
父さんと母さんは有名なんだな。
「君が、私をベッドに運んでくれたのよね?なんかしらの能力で?」
僕は否定も肯定もしない。それよりなんで全裸?
「ねぇ、なんで裸なの?」
「うん?イッセー君の肌に触れ合いたいから♪」
意味が判らない…
「さぁ、着替えて、食事して、授業を受けてましょう」
ユリスは、元気良く、機嫌良く、自分の部屋に戻っていった。アイツ、何をしたんだ?僕の寝床は濡れていた…
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担任の折木 有里先生と共に教室に入る。この先生、病弱みたいなのか、目の下にクマができている。後で、直してあげようかな。
「はい、このクラスの担任になりました折木 有里です。ユリちゃんって呼んでください。後、新学期早々、編入生が二人います。ユリス=アレクシア・マリー・フロレンツィア・レテーナ・フォン・リースフェルトさんと、兵藤一誠君です仲良くしてくださいね」
と、紹介され、空いている席に座った。
昼休み、食事…背の低い僕は窓口に届かなかった。まぁ、食べないでもいいっか。外のベンチに座って、うたた寝…起こされた。
「イッセー君だよね?食事はどうしたの?」
同じクラスにいたよな…誰だっけ?
「あぁ、私はステラ・ヴァーミリオンよ。で、彼は黒鉄 一輝君。私のルームメイト、で、彼女は黒鉄君の妹の黒鉄 珠雫さん。みんな、イッセー君と同じクラスだよ」
「よろしくお願いします。で、あぁ、食事は…窓口に背が届かないから、ルームメイトに頼んだけど、まだ来ない…くぅ…」
「寝ちゃダメだよ、一誠君」
いや、燃料切れだ。幼稚園児には学校の勉強は無理だと思います。
「遅くなって、ごめん。イッセー君」
あっ、ユリスが飯を買ってきてくれた。あれ?ユリスとステラが、睨み合っている。なんでだ?
「これはこれは、ヴァーミリオンの皇女様、こんにちは」
「あなたは…ユリス…決着をつけましょうか?」
ステラが剣を抜いた。僕はユリスを手で制して、セル=ベレスタを手に発現させた。
「ユリスは僕の食事を買ってきてくれた。だから、僕が護る!」
セル=ベレスタに魂のオーラを注入する。刀身から攻撃的なオーラが湧き出て来た。
「え?セル=ベレスタ…なんで?」
ステラとユリスがセル=ベレスタをガン見している。あの~戦わないの?
「これ、本物だよね?ステラ、触ってみて」
「はぁ?本物だったら、私が危険でしょ?」
戦闘意欲が削がれた僕は、セル=ベレスタを収納した。
「「もっと見たい!」」
二人からせがまれるけど…食事が先♪ユリスの買ってきてくれた弁当を食べる僕。
「僕らも食べよう、ステラ」
一輝の言葉に促されて食事をする僕達。
「一誠君って小さいけど、何歳?」
珠雫にきかれた。うん?何歳…何歳だろうか?気にしていなかったなぁ。はて?
「歳はわからないけど、幼稚園の年長さんだよ♪」
箸を落とす者が多数。どうした?
「飛び級?それもすごい飛び級だよね?」
ユリスが前のめりになって、聞いてきた。
「飛び級なのかな?僕は剣の鍛錬をしたいだけ。あんまり難しいことはわからない」
「ねぇ、一輝、彼と戦ってみたら?」
ステラが一輝に向かって言った。
「え?魔力無いけど」
「剣技は一流だろ?私が太鼓判を押してあげるよ」
剣技が一流?それは楽しめそうだ。うん?このステラという少女…
「ステラさんと一輝さんの二人でもいいですよ。ステラさんの方は、もう見切りましたから。ステラさんは僕に絶対に勝てませんよ」
「ちょっと待て、なんで手合わせもせずに、言い切れるんだ?ステラは強いんだぞ」
「戦う前に敵の強さを読めずして、実戦で生き残れると思うか?一輝さん」
「何を言っているの?イッセー君」
ユリスが、僕を心配そうに見ている。
「ユリスさん、僕はこんな場所で負けられない。家族を護る為にもっと強くなりたいんだよ」
「わしも見てみたいぞ、兵藤家の次期当主の力をな」
知らない老人に声を掛けられた。後ろから、着崩した着物の黒髪の小柄な女性が現れた。
「黒鉄君、ステラさん、兵藤君と戦ってみて」
「誰?あれ?」
珠雫さんにきいてみた。老人の方は、『闘神』の二つ名を持つ南郷 寅次郎で、女性は、この学校の教師で西京 寧音だそうだ。
僕と一輝、ステラが戦闘エリアに立った。
「相手を殺すなよ、兵藤君」
爺さんに言われた。努力します。そして、戦闘は開始された。二人とも得物を発現して、構えた。僕も、セル=ベレスタとザンバットソードを発現して構えた。
「え?魔剣と魔皇剣の二刀流?」
ステラの驚いたような声がした。いや、この二降りは囮だよ。腰に妖刀村雨を装備した。気づかれないように。
まずはステラからかな?
「ステラさん、僕に魔法を撃ってみてください。ドラゴン特性のあなたでは、撃てないはずですよ」
「ドラゴン特性?どういう意味よ?」
ステラさんは膨大な魔力を込めた、攻撃をしようとするが、僕に向かっては撃てなかった。
「無駄です。ドラゴンマスターのジョブのある僕は、ドラゴンに対して無敵だから」
さて、一輝だな。こいつはどういう能力持ちかな?
「え?三刀流なのか?」
驚いたような目で僕を見る一輝。こいつの能力は、相手の攻撃パターンのビジョンが見えるのか?う~、どうしようかな?意外性のある攻撃が有効かな?
僕は目の前にいるドラゴンに命令した。一輝を攻撃しろと。ステラの膨大な魔法が一輝を襲う。まさか、味方から攻撃されるとは思わなかったのか、驚いているようだ。避けまくる一輝に向けて、聖なるオーラの飛ぶ斬撃を放っていく。時より、セル=ベレスタとザンバットの破壊的な飛ぶ斬撃も放っていく。
徐々に僕との間合いを狭めてくる一輝。至近距離から、威力のデカイのを一発放つのかな?まだ、攻撃されていないし。
アギトとドライグから準備が出来たと連絡が来た。では、即死性のない『ウルティマウエポン』の魔法陣を一輝の頭頂部にロックオンさせて発現させた。彼のビジョンには、この勝負の結末はどう映っているのかな?
『一輝さん、ステラさんの胸、気持ち良いですね』
って、一輝に念話を飛ばす。精神攻撃も開始する。一輝は一瞬ステラの方に目をやる。ステラは胸を前に突き出すようにして悶えていた。その時、僕の待っていた一輝の隙が生まれた。術を発動させて、斬撃を一拍遅らせて、叩き込んで行く。
「勝負ありじゃな。勝者兵藤一誠だ」
僕は、戦闘エリアから脱出して、ユリスの元に向かった。
「勝ったよ、ユリスさん♪」
僕は電池切れで、ユリスに向かって倒れ込んだ。
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目が覚めると、ユリスとステラが心配そうに、僕の顔を見ていた。
「おはよう…ユリスさん、ステラさん…」
「ごめん。ユリちゃんに聞いたよ。幼稚園児に無理な運動量はさせちゃダメって…ごめんなさい」
「ユリスさんとステラさんが仲直りしてくれれば、それで良いです」
かわいい娘に囲まれているのに、疲れすぎて妄想すら浮かばない…体力の増強しないと…
「ねぇ、色々聞きたいことがあるんだけど…」
ステラさんが聞きたいことがあるみたいだ。あっ…アレの件だな、きっと…
「ステラさんの能力は『ドラゴンの特性を体現する』ことです。ユリスさんと違い、炎を操れる訳ではないです。鍛錬の方法を変えないと、伸び悩みますよ」
「なんで、わかるんだ?」
「僕はドラゴンマスターというジョブを持っているから。ドラゴンに対して、無敵なんです。それに、僕の中にドラゴンが数匹いますから、敵がドラゴンの場合、情報が飛んできます」
「身体にドラゴンを飼っているの?」
ユリスが心配そうにきいてきた。
「ペットでないから飼っている訳ではないです。仲間ですから、一緒に生きています」
疲れを癒やすために、申し訳ないけど、二人から、エネルギーをドレインした。自力での回復があまり望めないから。
ステラが考え込んでから、言葉を出した。
「イッセー君、私のドラゴンとしての特性を鍛えて貰えるかな?」
「それはいいけど…死ぬ覚悟ある?一番、早いのは、ドラゴンと戦うことなんだけど…」
「う~、死ぬのは困る」
「いや、覚悟だけだよ。死ぬようなことはさせないから。それなりに手加減はするように言っておくよ」
「う~、お願いしようかな?ドラゴンって会いたくて会える物ではないから…」
「ねぇ、イッセー君。私にも何か教えてよ~」
ユリスがヤキモチを焼いてくれているようだ。嬉しいかも♪
「僕の使える炎系のスキルは、地獄の業火とかだけど…」
「ははは、なんか、人間離れしているよねイッセー君」
そうなんです、人間ではないんですとは、言えないからなぁ…どうしよう。
ドアがノックされて、寧音先生が入って来た。
「ちょっといいかな?両手に華な時にすまないが」
黒歌より発育が良くないなぁ。この先生は…あっ、この能力…
「先生の持っている能力とほぼ同じ能力を、姉が持っているんですが、育成方法を教えてくれませんか?」
「はぁい?見ただけで、相手の能力がわかるのか?」
「あぁ、分かるというか、読めるんです。ネクロマンサーですから」
「ねっ、ネクロマンサーだと…」
先生が固まった。意味がわからないのかステラとユリスは、先生の挙動に驚いていた。
「お前は何者だ?幼稚園児がネクロマンサーになれる訳ないだろに」
「そうなの?僕はなっているけど?」
「う~、お前は頭脳が幼稚園児か?」
「そうです。現役の幼稚園児ですから」
「いや、そうじゃなくて…」
先生は困っているようだ。小さい子相手は、苦手なんだろうな。
「僕に聞かないで、父さんに聞けば?どうせ、父さんの知り合いなんでしょ?」
「そうなんだけど…ついでに言うと、お前の母親は憧れの戦士だ」
僕の母親?二人いるけど、どっちだ?
「先生、授乳させてくれたら、少し話してもいいけど」
少しからかってみる。顔を真っ赤にしてしまった先生。
「授乳?幼稚園児みたいなことを言うな!」
「だって、僕は幼稚園児だよ?」
先生は凹んでいる。で、
「寅さんは、『抜き足』が能力?全然ステレスしていないよ」
「なんで、わかったんだ?」
存在を認識できなくするスキル持ちの『闘神』の存在に驚く、ステラとユリス。
「存在は消せても、空気の流れで、何かが居ることがわかる。あとは、その魂を読めば、誰かもわかるでしょ?」
「すげぇな、ボウズ。見切られたのは初めてだ。弟子にも悟られたことがないのになぁ」
「うん?風呂とかトイレとか覗いたのかな?」
顔を真っ赤にした寅さん。ビンゴか…
「と、とっ、トイレは覗いていないぞ」
「風呂は覗いたんだね。そのことは、後ろにいる刀華さんは知っているの?」
後ろに立っていた、東堂 刀華の顔が真っ赤だった。
「師匠…なんてことをしてくれたんですか?」
「いや、出来心で…」
「で、君はどうして、私の名前を知っているんだ?」
刀華にきかれた。
「うん?顔に書いてあるし」
病室にある鏡で顔をチェックする刀華。
「書いていないけど」
「魂を読めるから」
「魂を?」
「そう、魂はウソを吐かない。まぁ、吐いたら、お仕置きする。刀華さんの能力は…刀華さんも心が読めるのかぁ。僕の心も読めるかな?」
「読めない…一誠君の心は読めない…初めてだ…え?もって?まさか、一誠君も?」
「刀華さん、正解です。魂も心も読める。だから、ウソを見抜けるんです」
「師匠…」
刀華が寅さんにタッチをした。
「で、ボウズは何者なんだ?弟子を手玉に取る奴なんて、初めてだ」
「幼稚園児だって、さっきから言っているじゃん。寅さんは呆けているの?」
「呆けていないはずだ。ベースは幼稚園児で、正体は何者なんだ?」
「剣の修行をしにきた修験者?」
「はぁ?悪魔の眷属になった沖田を超えたんだろ?充分強いと思うが」
「まだ、弱い。家族を護らないといけない。もっと上を目指したい」
「家族?誠殿一香殿をか?彼らも充分強いぞ」
「父さんと母さんが強い?何を言っているんだ?はぁ、こんな場所では鍛錬できないな。寅さん、『闘神』の看板は下ろした方が良いよ」
「うん?どういう意味だ?」
「神ではないのに神と名乗るなって事だ」
「お前は神を知っているのか?」
「あぁ」
僕は寅さんと二人で別空間に転移した。そこで、僕の本来の姿のビジョンを寅さんの魂に見せて、元の場所に戻った。その間、1秒にも満たない時間しか経過していない。ビジョンを見せる能力は、僕の持つパッシブスキルなので、いつでも使えるのだ。
その結果、心と精神がズタボロになった寅さん。
「寅さん、看板は下ろしてな」
頷く寅さん。
「ねぇ、ユリス、疲れたよ~寝たいから、みんなを出して、添い寝して♪」
顔を紅潮させたユリスが、みんなを病室から追い出したのだが、ステラは残っていた。
「私も添い寝しても良いか?」
頷く僕。
---刀華---
「師匠、彼は何者ですか?」
病室を出る少し前から、様子がおかしい師匠。
「あ?刀華…彼には関わるな。人間には知って良い情報の上限があるのだ。それを超えるには人間を辞めるしか手がない。お前には人間に留まってほしい」
おっしゃっている意味がわからない。人間を辞める?彼は人間を辞めたのか?辞めて、幼稚園児に転生したのだろうか?だが、兵藤本家の次期当主に、そのような者を選ぶとは思えない。