---シュウ---
まだ、無理の利かない身体である僕に、ユリスから連絡が来た。
「クラリスの国で、クラリス主催で、再出発のパーティーがあるの。ねぇ、来てくれないかな?」
「う~ん…正装なパーティー嫌いだけど…」
堅苦しい装備は嫌いである。
「そうだろうけど…クラリスがお礼を言いたいって」
「ユリスが聞いておいてよ。一応、パートナーなんだから」
「そうだけど…彼女に姿を見せていないでしょ?」
「どうだったかな?記憶にございません」
「あぁ、そう…幼気な少女の願いを、聞き入れられない無粋な男になったのね」
一方的に通話が切れた。ふと、顔を上げると深雪がいた。
「私をエスコートしてください」
って、パーティーに行く気があるようだ。う~ん、行くかな…
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パーティー当日、カリオストロ公国の城へは、高級な車や、馬車などが吸い込まれている。近辺の国の皇族、貴族や、大国の政府関係者が訪問しているのだろう。僕も行くことになった。この国を護る為、この国の後ろ盾になる為、僕の複合企業財体がカリオストロ公国と手を組んだのだ。まぁ、ユリスの国と同じ運営企業だから、安心して契約してくれた。今日はその財体の代表として、城を訪れた。
二人の深雪がそれぞれの腕に腕を絡めている。僕は気配を薄くしているが、両脇の二人が目立っている。人選を誤ったかな?
受付で名前を記入する。
『複合企業財体「夢創」代表 代羽周太郎、妻 代羽深雪、義妹 司波深雪』
と…神格文字で記入した。文字を見て、教会関係者が僕を認識して、僕達を案内してくれた。ダンスホールでの立食パーティー。僕の嫌いな形式だ。ケーキは無いんだろうな。
「シュウ!」
ユリスが兄さんと近づいてきた。
「来てくれたんだ♪」
「財体の代表者としてね」
「この国も頼むよ、義弟くん♪」
兄さんに肩をポンポンっと叩かれた。
「両手の花が目立ちすぎていますよ!!」
あぁ、深雪達に嫉妬気味のユリス。
「怒りを纏うな」
彼女の頭を撫でる。
「そうだね…ごめんなさい」
「ユリス、ご紹介してくれますか?この方はどなたですか?」
クラリスが僕達に気づいて、近寄って来た。
「あぁ、お元気そうで何よりです。複合企業財体 夢創代表の代羽周太郎です」
彼女と握手を交わす。目を見開いて、僕を見つめるクラリス。
「あっ…ありがとうございました。この国を…私を救ってくださりまして」
この子、オーラで判別出来るのか…すんなりと、彼女に正体がバレた。僕に跪き、頭を下げる彼女。
「頭を上げて下さい。僕は単なる企業家です。畏れ多すぎます」
「いえ…何もお礼も出来ず、申し訳ありませんでした」
ユリスに目配せをした。
「クラリス、頭を上げてね。彼は願いを叶えてくれる。だから、後で…」
うん?僕の目配せを勘違いしているユリス。そんなつもりでは…
「そうですか。わかりました。後で、相談にのってくださいね」
笑顔で僕を見て、一礼して去って行く。
「こっそり、帰ろうと思ったのに…」
「相談があるんだって。乗ってあげてね♪」
「お代はユリス?」
「いいよ。久しぶりだなぁ~♪」
ユリスも上機嫌だ。こんなつもりで来たのでは無いが…二人の深雪がクスクスとステレオで笑っている。
---蘭---
カリオストロ公国のパーティーの様子がテレビで流れた。そこには、彼が…
「お父さん、シュウさんだ!」
「何?」
テレビ画面に映っている彼を見て、固まる私とお父さん。すてきな女性達を両腕でエスコートしている。よくよく見ると女性達は深雪さん達だし…何で、こんな場所に?単なる傭兵で無いの?あ…王様だから…
「おい、リーゼルタニアの皇女様と談笑しているし…カリオストロの新女王様が跪いている…おいおい…蘭、アイツは何者なんだ?」
何者って…秘密を言えば、もう逢えなくなる。
「お父さんにも彼の正体は言えない。でもね、悪い人では無いのよ」
「あぁ、悪い奴で無いのはわかっているけど…上流階級なのか?」
口には出せないが、頷く。
「マジかぁぁぁぁ~!おいおい、お前は大変な男の愛人になったなぁ…」
お父さんは、どこかに連絡をしている。
「おぉぉ、英里か?見ていたか…あぁ、俺も驚いたよ…蘭にもったいないくらいの大物だな」
私にはもったいない?う~ん…まぁ、そうだけど。って、次のシーンで再度固まった私達。いや、見ている者全員が固まったのでは無いだろうか。「奇跡の子」として有名なテオドロ・レグレンツィ司教枢機卿が、彼の前に跪き、彼から加護を受けていた…テオドロ様の後ろには高名そうな教会関係者が並び、順番に加護を受けていく。
彼は何者なんだ…あっ!夢のような出来事が脳裏で甦った。そうだ、天国の王様だから…教会関係者の上層部の方々は知っているんだ。
壇上にテオドロ様が上がり、マイクを手に取った。お付きの人達が慌てている。
『今日は滅多にお逢い出来無い方にお逢い出来ました。これは、縁の繋がりを感じる、思し召しだと思います。私達だけ加護を受けるのは罰当たりだと思ういますので、皆様にも加護をと思います。ご紹介します、聖者のシュウ・ヨハネ・鬼門様です』
彼が教会関係者達に背中を押されて、壇上に連れ出された。
「何?アイツ…聖者なのか…」
お父さんがとても驚いている。いや、私もだ…シュウさんって、本当は何者なんだ?
『シュウ様、お願いします』
彼は鞘に収められている剣を両手に握り、頭上へ掲げた。そして、呪文を唱え、
『この地に幸せあれ、皆に幸あれ!』
彼が黙祷をした瞬間、映像が揺らいだ気がした。涙が零れていく。映像に映る人達もだ。この力って何?
『これで、気が済んだか?テオドロよ』
『奇跡をありがとうございました』
涙を流しながら、彼に跪くテオドロ様達…彼は壇上を降り、深雪さん達のいる場所へと戻っていく。
---シュウ---
パーティーが終わり、深雪達にはユリス達と帰ってもらった。僕は空気と同化してから、あの窓の無い尖塔の最上階の部屋に向かった。しばらく待つと、彼女が入って来た。後ろから優しく抱き締まる。
アーシア達により回復はしているけど、成長期に幽閉生活をしたせいで、体格は年齢相当ではなかった。発育が悪いようだ。精神も病んでいるし。クラリスの身体目当てでは無かったので、侯爵はクラリスを部下達の玩具として使ったようで、男性恐怖症の上、交わりを行えない感じだ。
「何も差し出せません…私の身体を供物にしてください」
彼女が振り絞るように声を出している。服を透過して、胸を直に触る。
「どうして…そんなことが…見えないのに…」
自分の胸を見つめるクラリス。この歳頃で大きすぎず、小さすぎ無い、形の良い胸…深雪の胸をクラリスの胸として創造した。胸が大きくなったことに驚いているクラリス。
次に股間に手を当てる。感じることも抵抗することもしないクラリス。そんな彼女にエリカの秘部を創造した。
「あ…」
クラリスは、身体の違和感を感じ、全裸になり、確認し始めた。
「これって、恩恵ですか?」
僕を探すような仕草をするクラリス。
精神を癒やすには交わる必要がある…カオスモードでライン状態の竿を侵入させて、彼女の内部から浄化をしていく。今まで張りつめていた緊張が緩んだのか、床に静かに倒れていく。
「私は供物としての価値は無いのですか?」
涙して問う彼女。これは答えないとダメだな。
「熟していない果実は食べ頃では無い。今後の成熟度による」
と、エロ神視点で答えた。
「供物を差し出せていないのですが…お願いがあります。明日の晩餐会に一緒に参加してください。一人ではつらいんです…」
「わかった。承る」
僕はキャッスルドランへ転移した。
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「晩餐会って、どんな服装だ?」
ハニーに相談した。
「女王様と参加となると、モーニング姿だと浮きますね」
衣装部屋で衣装を見るが、どれも着慣れていないので、違和感があるし…う~ん…
「王様の恰好で良いのでは?」
黄金のKIVAの鎧を着てみた。しっくりするなぁ…これでいいか?
「鎧でも大丈夫かな?」
「シュウなら問題無い♪」
ハニーが言うなら問題無いか。まぁ、これなら、クラリスを護れるし。
「あぁ、兜はダメよ。顔は晒しなさいね。あと、籠手も外して」
顔出しNGだよ。
「NGにするほど価値は無いぞ」
って、ばっさり斬り捨てるリヴェリア。まぁ、価値は無いけど…
「輪っかは載せてね。王冠代わりよ。角は出さないように!」
輪っかと共に角が出た。指摘をされて引っ込める。これでいいかな?
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翌日、少し早めにクラリスの元へと向かう。
「あぁ、シュウ様。クラリス様の衣装が…」
彼女の側近が悩んでいた。まぁ、体型を弄ったから、着る服が無いよな。全裸で衣装部屋で呆然としている彼女の傍に行き、彼女の体型にあった純白のドレスを創造して、着衣させた。
「クラリス、プレゼントだ」
「ありがとうございます…」
現状の体型に合う衣装を数点、衣装部屋へ転移させた。
「足り無かったら、気軽にユリスに伝えてくれ」
「はい♪」
表情が明るくなっていく。僕の『安堵』能力が効き始めたようだ。彼女の頭に、王冠を載せた。豪華ではあるが軽量にしてある。首の筋力が衰えているようだったから。
「じゃ、行こうか」
彼女に手を差し出すと、僕の手を軽く握り締めた。
「はい…私に勇気をください」
人の目にさらされるのが慣れていないもんな。『安堵』能力でどうにかなるかな?
二人並んで、会場へと向かう。扉が開き、赤い絨毯の上を歩く。女王様用の椅子を目指す。その隣には僕の為なのか王様用の椅子が用意されている。あれ?なんで?何かがおかしい。何かをやらかしたか?
クラリスを彼女の椅子にエスコートし、僕は彼女の隣の僕の椅子に座った。晩餐会がスタートした。
「シュウさん…ごめんなさい。形式上ですけど、シュウさんにはこの国の王になってもらいます」
クラリスへの挨拶に近づいて来たユリスが、小声で僕の耳元で囁いた。え?聞いていないぞ!
「サプライズですよ♪」
嬉しそうに言うユリス。彼女がクラリスに何かを合図すると、笑顔で返している。この二人に嵌められたのか?女は恐い…
クラリスに触れようとする男性客は、僕の側近達が排除している。今回、連れてきているのはエリカとゼノヴィア、アスナだ。腕力でエリカに勝てる人間はいない。
「おい!無礼だろ?小娘風情が!」
どこかの国のエライ人が、エリカに文句を言っている。
「どうかしましたか?」
「クラリス様をハグをしようとしたら、投げられたんだ!」
相手の側近達は物騒な物を手にしている。
「彼女には触れないで欲しい。そう、注意がなされたでしょ?」
「貴様も無礼だな。鎧姿で参加だと?お前のようなヤツはクラリス様に相応しく無い。おい、クラリス様をお連れしろ!」
「「はっ!」」
強引にクラリスを奪いに来た、どっかの国のエライ人。お付きの者共と一緒に、湖へ強制転移させた。物騒な一団が急に消滅したことに驚き、ざわめいている参加者達。こういうのは最初が肝心だと、誰かに習ったからなぁ♪
「クラリス、君を護る。彼と約束したからね」
「おじ様ですか。おじ様には、あなたと一緒になれと言われました♪」
そうか、ルパンがやらかしたのか…あのやろ~!まぁ、乗りかかった船だな。僕は立ち上がり、
「クラリスに手を出す者は、僕が許さない!物騒なマネをするのであれば、チームシュウが相手をする。各勢力のトップに告げる。やると言うのであれば、僕も躊躇無しで相手をする。覚悟しておけ!」
言い終わると椅子に座り直した。ソレと同時に、僕の後ろにミカエルと閻魔が転移してきた。
「我、天の国を治めるミカエル也」
「我、地の国を治める閻魔也」
「「二つの国を平和に統べる王に、我々は忠義を示さん。死した後も覚悟しておけ!人間共よ!」」
二人が物騒なことを言っている。死んだ後の魂をどうにかするのか?惨いな。僕は転生すら許さないので、魂を喰わせるけどね♪
『『アンタの方が惨いでしょ!』』
って、二人から念話が届いた。まぁ、そうかも。
参加者達の顔から血の気が引いているようだ。オーラが半端なかったせいもある。三名の怒りのオーラが、参加者達に恐怖という名の贈り物をした。この三名が揃うのはそうそう無いから、ラッキーと思って欲しいな。